灰色の本

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『デリシャスパーティ♡プリキュア』第26話「ここねのやくそく!ピーマン大王への挑戦」:感想

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第26話「ここねのやくそく!ピーマン大王への挑戦」の感想です。 

ピーマンを生でまるかじり……。ちょっと話の前提から理解がつっかえますね……。

 

 

■「ピーマンを生でまるかじり」がちょっとついていけない

コメコメにピーマンのことを教えるゆいのセリフ。

>ピーマンだよ。生で食べても美味しいよ。

流石にそれは結構に特殊寄りな人のセリフなんですよ……だいぶ急成長しているとは言えど赤ちゃんなコメコメが、ただでさえ苦手な子供が多いピーマンを生でまるかじりできると思わないでほしいんですよゆいさん……。

なんならゆい、ニンジンをまるかじりしてるのも結構特殊ですよね。できないとは言わないけどやらない人はやらないし無理ですよ。

 

更には、ピーマンを怖がるコメコメについてパムパムが一言。

>化ける能力が上がってもまだまだ子供パム~。

ぱ、パムパムさん? い、いや、ピーマンを『生でまるかじり』することに対してそんなこと言われても……。

 

更には、ここねが幼少期の思い出を語りながら。

>実は、幼いころ……

>素材の味を確かめていた母の真似をして、ピーマンを……。

>それがすごく苦くて。それ以来食べてない。

おいしーなタウン、ピーマンの生食が当然の文化なの????? い、いや、料理研究家? のような職業であるここねの母がピーマンを生食してみること自体は分かるんですけど、ピーマン生かじりを当然と思っているキャラを連続で出されると……ごめん、ちょっとついていけないです。

 

まずコメコメに言ったげるべきは「生のピーマンは苦いから食べられない人がいるのも不思議じゃない。料理して食べてみよう」だと思います……。いや、実質的にそのセリフと同じ役割を果たしているのが、ゆい達がピーマンを『料理して』ここねに食べさせようと四苦八苦するシーンではあるのですが……。

で、でも、ここねがピーマンを食べられるようになったきっかけは、「苦いピーマンを生ではなく調理して食べたから」ではなくて、ピーマンの農業見学に行ってピーマンに親しみを持ったから、なんですよね……?

ちょ、ちょっと、本筋の理屈がドタバタしてて、納得ができませんね……。

 

 

■拓海がブラックペッパーに変身する意義は出てくるのか(ゆいとの関係においての意味で)

拓海&ブラックペッパーの現状はかなり不思議ですね。

ブラックペッパーとしては一向に仲良くならない(情報共有するようなネタが拓海側にないと言え、プリキュア達と話し合いすらしない)のに対し、拓海としてはちょこちょことプリキュア変身前のメンバーとつるんで友好度を稼いでいます。

 

既存のベタな話では『逆』かなと思うので、変わってますね。

例えば『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面=千葉衛は、(正体が割れる前の初期の)千葉衛としては主人公・月野うさぎに嫌味を言ってくるタイプの男キャラだったかと思います。タキシード仮面として惚れられるのが先で、正体の千葉衛のほうは「初期は主人公に嫌われているタイプのラブコメのお相手役男子」だったかと思います。

そういう既存の物語パターンと比べると、拓海は変身後のブラックペッパー状態でゆいの好感度をそんなに稼げていないんですよね。「あわよくばゆいに良く思われたい」という下心部分が全力で空回りして、「ゆいを守りたい」の部分だけが機能しているのです。

一応言っておきますが、既存の話と比べて変わってるからダメと言いたいわけではありません。正体の状態でラブコメができる拓海のポテンシャルは高いと思いますし、見ていて微笑ましいです。ただ、彼がブラックペッパーに変身する意味が上手く機能しているのかは、ちょっとまだ判断ができませんね。

 

と言っても、今述べたのは「ゆいとの関係において」拓海がブラックペッパーに変身することが物語に活きてくるのか、という限定的な意味での疑問です。仮にその意味でブラックペッパーというキャラが空振りしたとしても、ブラックペッパーの存在には「父のデリシャストーン」という謎を物語に持ち込むという意味があります。彼がブラックペッパーに変身することの物語上の意味は既に担保されているので、そこは安心して見られる点です。

 

 

■特定の料理を抹消したい、スピリットルーの思考が興味深い

スピリットルーはまた興味深いことを言っていましたね。

>おいどんの頭の中に、抹消したい料理のリストがあるでごわす。

>そこに「苦くて嫌い」だとあるでごわーす!

スピリットルーはもともと「食事は無駄」と考えているキャラであって、素直に考えれば無差別に食事や料理が嫌いなはず。頭の中に「抹消したいリスト」とやらがあって、優先順位があるというのは意外な設定でした。

セクレトルーが「っていうかそのデータ、ナルシストルーがインプットしたわけ?」と言っていましたが、スピリットルーの言葉尻からは確かに「もともとは彼自身の考えではない」ように聞こえます。ナルシストルーがデータをインプットしたというのは正しいのでしょう。

となると素直に考えればナルシストルーが自分の嗜好を元にスピリットルーのデータを入力した=ナルシストルー自身がピーマン嫌いということになりそうですが……? 個人的にはその仮説も意外ですね。ナルシストルーも食事について妙な憎悪を抱いているらしいセリフが散見されますが、それは精神的なもので、「特定の食べ物がまずくて嫌い」という偏食の話ではなさそうに感じられていたからです(彼自身は食べ物の好き嫌いがそこまで無さそうな印象さえ受ける)。

さて……。今後どう転がすつもりの設定なのでしょうか。

 

個人的には、ナルシストルーはそこまで食の好き嫌いはないけど、(他人との?)食事自体に対する恨みがあるから『スピリットルーに食への憎悪を植え付けるために、一般的な食のデータを「食事が嫌いになる」ような要素に偏らせてスピリットルーに入力した』……あたりだと面白いなあだと思います。

 

 

■食材を褒めながら殴る『デリシャスパーティ♡プリキュア』独特のシュールさ

バトルの後半。

>「ピーマンは美味しいよ!」

>「栄養も豊富だ!」

>「食物繊維もあるし!」

>「ビタミンCも含まれている!」

>「美容にも良いわ!」

これを言いながら全員でモットウバウゾーをぼこすか殴ってるのがシュールでした。(ローズマリーは直接戦闘に参加できないので、一人だけポーズしながら言っているのも更にシュール。)

うーん、『デリシャスパーティ♡プリキュア』でもないとなかなか見られない光景でしょうね。シリアスな笑いがこみあげてくる、コミカル良シーンだったんじゃないでしょうか。

 

 

■スパイシーの新通常技のお披露目←精神的成長は良いが、唐突では?

今回はスパイシーの新通常技「クラスティパンバリア」のお披露目回でしたね。

プリキュア側の強化が突然生えてきてモニョるというのは前回の感想でも書いたとおりですが、強化されているのがあくまで通常技なのでハートジューシーミキサーにもまだまだ出番があるというところは個人的には評価できますね。

 

しかし、ここねに単独ハートジューシーミキサーをさせること自体は評価できるのですが、三人合体ハートジューシーミキサーと単独ハートジューシーミキサー(とフィナーレのクリーミーフルーレ)では技の威力は変わらないのでしょうか……。

 

※「強化が突然生えてきてモニョる」とは書きましたが、今回のスパイシー=ここねの心情&心理的成長は妥当に描きこまれていたと思います。精神的な意味では強化技が生えてきたのは納得ではありました。

ただ、精神的な成長で強化技って生えてきて良いんでしたっけ? っていうのがちょっと納得できてないだけです……。『デリシャスパーティ♡プリキュア』は割とそういう流れだよね? と言ってしまえばそれはそうです。

 

 

■そのほか

・マリちゃんのデリシャストーンは、スペシャルデリシャストーンと呼ばれる特別性のものだったのですね(ブラックペッパーのものは通常デリシャストーンということでしょうか)。しかも、もうスペシャルデリシャストーンを作れる人はいないとか。

……第1話でマリちゃんのデリシャストーンが壊れたのは実質ゆいのせいだったと認識しているのですが……。ゆい、大変なことしちゃってるんですよね。ゆいに自覚はないようですし、マリもゆいに悟らせるような迂闊な真似はしないでしょうが……。

 

・ピーマンを食べる食べないの小さな話から、「ここねはゆい達と知り合ってから世界が広がっている」という大きな話に持っていったのはなかなかやるなあと思いました。そうですよね。コメコメのために「自分がまずピーマンを食べる」と勇気を出したここね……という構図は、ここねがコメコメや、ひいてはゆい達と知り合わなければ起こり得なかったものですものね。

 

・スピリットルーが天然で偉そうな(というか実際の身分関係を無視した対等な)態度を取っても「フッ、面白いやつだ」で済ませてくれるゴーダッツ様、太っ腹です。ゴーダッツ様、キャラが濃いというほどの印象はありませんが、今のところ良い上司ですね。

 

・スピリットルーがゴーイングマイウェイすぎてセクレトルーを振り回してるのもツボ。セクレトルーにとっては、あるいはナルシストルーより扱いづらい相手なのかもしれません。

 

・さりげないですが、ここねが決意して今まさにピーマンを食べようとした瞬間にレシピッピをぶんどるスピリットルーは嫌らしいですね。彼が意図したわけではなく単に脚本の話ですが。(そして、脚本が意図したタイミングの嫌らしさを褒めています。)

 

・スピリットルーの応援スキル、ほんと便利ですね。一時バフはプリキュア達との戦況から考えても普通に強いスキルだと思われますし、脚本としても使いやすそうです。

 

・今回なんとなくコミカル表情やコミカル演出の雰囲気がいつもと違う? 感じでしたね。演出さんか作画さんが違ったのでしょうか? ……いや、脚本からして今回はなんだか独特だった気もします。無駄に壮大な音楽をかけながらピーマン大王と対決するここねでAパートを切るあたりとか。