灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第22話「悪夢」:感想

デジモンゴーストゲーム』第22話「悪夢」の感想です。

不正アクセス事件は予想できたものではないので仕方ないのですが、せっかくの復帰回なのにパッとしませんでした。

 

 

 

■犯罪発生数+1

復帰早々に、開幕3分ぐらいでホップステップ犯罪だったので笑いました。この『3分』というのは主人公サイドが出ない前置きシーンも含めての数字なので、主人公サイドが登場する本編から数えるともう5秒とかそこらで犯罪しています。いやあもう、ここまで来ると逆に、この倫理観の低さだからこそ『ゴーストゲーム』ですね。こうじゃないと務まりません。

今回の罪状は、詐欺と経歴詐称と言ったところでしょうか。いやー、犯罪がでかいですね。先輩&ジェリーモン組はヒロ組ルリ組の軽犯罪ラッシュとは違って、でかい犯罪をやらかす傾向にありますね。ごめん、言っておいてなんだけど五十歩百歩だと思う。

 

しかも今回に関しては、事態を引き起こしたピロモンには悪意も何もありません。ただただジェリーモンに協力しただけです。夢を制御できずに他人を悪夢に巻き込んだのは悪いですが、制御できなくなったのは体調が悪くなったせいで、体調が悪くなったのは人の夢を食べすぎたせいで、人の夢を食べすぎたのはジェリーモンのせいです。全部ジェリーモンのせいです。

 

いやあ、ジェリーモンの害獣っぷり、最近は大人しくなっていたんですけどね。強烈なのが来ましたね。久々に「こんなヤツをパーティに置いてて大丈夫? 正気?」と思いました。

個人的には、このレベルだと流石に「なあなあで犯罪を手伝っている先輩もどうよ?」と思います。明らかに他人を巻き込む行為なので、流石に毅然と断らないといけないと思います……毅然と断ったからといって言うことを聞くジェリーモンではないというのが問題ですが。

 

 

■ホラー要素は低調

今回のホラー要素は『骨デザインで元々怖いビジュアルのスカルグレイモンを持ってきた』、それだけでした。せっかく悪夢という独特のフィールドを使っているのに、活かせていません。ホラーではない普通の冒険ものアニメの『悪夢の中に入る』回でも、同じような筋書きになると思います。平々凡々でした。

 

ただ、『スカルガンマモンから一定距離離れるとループ地点に戻されてしまうので、いちかばちかスカルガンマモンから離れつつ仲間と合流することで仲間と一緒にループ地点に戻る』とか、『水中に落ちることで(水中でも息ができていることから)ここが夢だと改めて認識し、明晰夢を利用して事態を切り抜けることを思いつく』という細かいギミックは面白かったです。そういう細かいギミックは頭が良くて気が利いているのに、大筋がそもそもしょぼいのでイマイチ活きません。残念です。

 

 

■ヘルプをスルーして寝る主人公

ヒロは相変わらず冷たいなあと思いました。

遠すぎて間に合わないのは仕方ないんですけど、バクモンを送ってそのまま放置、無事に終わったことを知らされたときには既に寝る気満々の体勢ってどうなんでしょうか。ヘルプ連絡が来てて実際にピンチが発生してることは分かってるんですよ? 「バクモン送ったからこれで安心! 帰って寝るぜ!」ってどういう神経?

 

ルリは、メッセが既読にならないというだけで部屋こじ開けてパソコンハッキングさせて遠方と思われるキャンプ地に先輩引きずって来てくれるんですよね。それに比べると、ヒロ、ほんと冷たいし面倒くさがりですよね。

いやそんなルリも全力でキモいし、キモい以前に犯罪だしプライバシーという感覚が無さすぎて凶悪なので、比較対象にするのは間違っているんですが。

 

なんか……極端と極端しか無いんかい、お前ら。

 

 

■限凸に今さら説明がつくのか?

最後、先輩が自分の謎能力『限凸』に気づいたようなそぶりで終わりました。困惑しました。また先輩が中二病を発揮しているというギャグオチなのか、真面目に今後のネタ振りをしているのか判然としなかったからです。

 

まあ普通に考えたら後者なんですけど、そうだとしたら個人的にはしょっぱいです。限凸は謎能力で良いと思っているからです。

いや、別に「実はちゃんと理屈がある能力でした」でも良いんですけど、そうしたら先輩ばっか能力が高くなって、相対的に「何も持ってないヒロとルリはしょぼいな」になりません?

 

正直、メインキャラ達の中では一番まともにキャラ立ちしているのが先輩です。掘り下げの余地はそりゃありますが、現状でもそこそこ完成しています。キャラさえまだふらふらしているヒロとルリを差し置いて、先輩の限凸なんかに構っているヒマがあるのかなあ、と思います。そんなの「はいはい謎能力謎チート」って流せる範囲でしょ。

 

「限凸なんかに尺を使うのが悪い」んじゃなくて、「今までのヒマな尺でヒロとルリをまともに固めてないのが悪い」だけではあるんですけどね。

 

 

■やっぱり触れられない前回の殺害

前回第21話でアルケニモンを殺害したグルスガンマモンさんのことをヒロ達が何も咎めずにスルーしたこと(咎められないにしても『気にしている』という表情の描写ひとつなかったこと)について、やっぱり何も触れられませんでしたね。どうせそうだと思ってたよ。

 

メインテーマをそんなに雑に扱っちゃダメだと思いますが、『ゴーストゲーム』のメインテーマが『グルスガンマモンに殺害をさせたくない』とかそのへんにあるという解釈から間違っているんですかね。それとももうどうでも良いんですかね。

 

 

■ボコモン関連の倫理観は常に最悪

バクモンがようやく再登場しましたが、大した役回りではありませんでした。夢・悪夢モチーフならそりゃバクは出るよね、ぐらいの扱いでした。

 

バクモンに、ボコモン先生関連の展開を全くさせませんでした。

制作スタッフ、倫理的にカスだなって淡々と思いました。

 

 

■そのほか

・ルリさん、ジェリーモンの悪行にガチでがなりたてて怒っていましたね。声優さんの演技が上手すぎて、声優さんではなくルリの印象が悪いです。そりゃあそんだけブチ切れても仕方ない話ではあるんですけど、ルリは特に1クールのあいだ、ジェリーモン以上に事件を不要に呼びこむ害獣っぷりでしたからね。他に怒らなきゃいけない回もいっぱいあったと思いますし、そういうジェリーモンだと知りながら意気投合して害獣コンビ同士で仲良くしてたのもルリです。どの口が言ってるの、と思いました。

 

・ガンマモンは相変わらず害獣です。害獣です。チョコ害獣です。こいつが最強(=チョコ)の話題を出すたびに「結局こいつ、チョコ以外はどうでも良いんだな……」ってなります。

 

・分身するジンバーアンゴラモンは見た目通りなので別に良いんですが、巨大化するテスラジェリーモンが絵的に分かりづらくてモニョりました。巨大化したのが絵から汲み取りづらくて台詞内容と台詞のエフェクトから察するようになっているのは、アニメ表現として下手だと思います。

いや、そんなの、比較対象になるキャラなりオブジェクトなりを画面に置いて「こんなに大きくなったよ、こいつのサイズがこれなんだから比べれば分かるよね」とベタに見せれば良いだけじゃないですか? それなのにどのシーンも中途半端にしか映っていなくて、「はあ?」と思いながら見てしまいました。で、せっかく先輩と一緒に映るシーンはジェリーモンが顔しか映ってないからやっぱりサイズ感がよく分からないし。

その程度の絵も描ける人材がいないんでしょうか。それとも、その程度の絵すら入れられる予算がないんでしょうか。今回は特に下手だと思いましたけど、別にこれが初めてという印象はないんですよね。『ゴーストゲーム』はもともと『絵で説明する』が下手な部類のアニメだと思います。

 

・ピロモンはせっかくの悪意無しデジモンでしたが、空気でした。せっかく害獣じゃないデジモンが出てきたのに、やっぱり愛着の沸きようがありません。

 

 

■簡易まとめ

・犯罪発生話数+1(現在の犯罪発生話数は11/22話、50%)

・話は特に進まない

・ホラーは低調

・悪くは無いがつまらない、虚無寄りの回

・バクモンが出たからボコモンの話もさせよう、とはびたいち思わないスタッフ