『デジモンゴーストゲーム』第25話「紅ノ饗宴」：感想③
『デジモンゴーストゲーム』第25話「紅ノ饗宴」の感想③です。
長くなったので①②③に分割しています。
今回の記事は①②で書ききれなかった残りかすみたいなもんです。
■ルリとアンゴラモンの絆って？
ルリ、やっぱ害獣で引くわ。あっちから呼ばれたのはそうだけど、未だに身の危険とか何も考えずほいほい釣られたのはルリだろこれ。
最初からアンゴラモンはきな臭さを感じていたんだから、恐らくルリについていこうとしたはずなんですよ。でも、「あたしは変なネットビジネスや会社には騙されないから大丈夫、って（ルリがそう言った）」というアンゴラモンの台詞から考えると、恐らくルリはわざわざアンゴラモンの動向の申し出を断ってると思われるんですよね。
……パートナー同士の絆って、何？
肝心なときに一緒にいないんですけど。
■仲間デジモン・進化形態の出番がやたらアンバランス
アンゴラモンがまた進化すらできずに退場です。
ジンバーアンゴラモンは登場も遅いのに、話の都合上進化ができなかったり、進化したと思ったら戦闘が実質終わっていたり、そんなことばっかりです。いい加減バランスが悪いと思います。
逆にテスラジェリーモンは進化はしているにも関わらず、美味しいところをあまり持っていけなくて戦闘では空気寄りだと思います。
ぱっと思い浮かぶ印象的な戦闘が、初進化の第10話「死ノ遊戯」と、ルリパートナー回の第17話「極寒地獄」ぐらいです。
ジンバーアンゴラモンもテスラジェリーモンも戦闘で空気ってことは、つまりこいつらあんまり連携できてないってことですよね……。ガンマモンだけいれば良いんじゃないかな。
というかベテルガンマモンだけいれば良いんじゃないかな！ カウスガンマモンとウェズンガンマモンもろくな出番がほとんどないですよね。複数の変身形態を持つキャラが結局は一番オーソドックスな最初の変身形態しか使わなくなっていくのはありがちな展開だという気がしますけど、それにしてもカウスガンマモンとウェズンガンマモンは出番と見せ場を作る努力すらしていないと思います。
あ、そう言えばカノーヴァイスモンが登場しましたね。これで多分、カウスガンマモンとウェズンガンマモンの出番は終了です。お疲れ様でした～～～！ 冷遇、ひっど。
■カノーヴァイスモンを脚本と演出が支えていない
カノーヴァイスモン。見た目はかっこよかったけど、それ以外は全部酷かったと思う。
「二人で乗り越えようぜぇぇぇぇ！！！」って熱く叫べばとりあえず進化できました、っていう脚本な時点でもう何もかも駄目なんですが、他もがたがたです。
まず、進化バンクがダサかったです。
赤ゲージマックスのカットは良いとして、その後のヒロ＆ベテルガンマモンが対になるカット→ベテルガンマモンのくるくる回転がびっくりするほどダサく見えました。名乗りのシーンも、背景カラーがまがまがしくて「何これ？」と思いました。
今までのバンクはかっこよかったのにどうしてこうなった。カッコいい進化曲の無駄遣いです。
また、進化後の戦闘も酷かったです。
肝心のカノーヴァイスモンＶＳヴァンデモンがろくに動かないんですよ。突撃時の勢いで誤魔化しているだけで大して枚数は使ってないようですし、カメラワークも単調です。やってることはヴァンデモンとの押し相撲、それだけ。なんだこれ。
本当に重要回なんでしょうか。第20話「炎ノ監獄」のほうが絶対に枚数もカメラワークも豪華だったと思います。……もしかして不正アクセス事件の影響がまだ残っているんですかね？ スタッフのほうも今回を重要回だと思っているなら、あんまりに出来がおかしすぎると思います。
脚本と演出が盛り上がってないせいで、初進化回なのにカノーヴァイスモンが空気でした。
攻撃が中断されてろくに活躍できなかったウェズンガンマモン初進化回のほうがまだ盛り上がっていたような気がしました。
■『正々堂々と』の説得力がない
クソどうでもいい細かいことですけど、カノーヴァイスモンの「姑息な真似をするな。俺と正々堂々と戦え。卑怯な真似は許さん」発言なあ。ヒロ達、そんな正々堂々としてないんだよなあ……しょっちゅう犯罪でどうにかするし、自慢の年輪を攻撃する嫌がらせをして敵を追い払ったこととかもあったし……
それにヴァンデモンからすれば、というかウイルス種デジモンからすれば、あれ（ウイルス攻撃）は別に卑怯な攻撃でもなんでもなくて通常の攻撃手段なんじゃあないんですか？
あと、今作『ゴーストゲーム』のデジモンってそんな『正々堂々』なんて言葉が通じるほど倫理観のある存在じゃないですよね。デジモンは『正々堂々』を美徳とする連中じゃあないと思います。よりにもよって、分かってて悪をやってそうなヴァンデモンにそんなこと言う？
■キモ中二病男のヴァンデモンさん
二週目を視聴しながら思ったんですが、アビエル＝ヴァンデモンの言動、いちいちキモッ。
女性がいちいち「あっ……///」って反応してるほうがキモかったのであまり集中して見てなかったけど、アビエルも気持ち悪かったです。
いちいち「今日の出会いは運命」とか言ったり、女性の肩を触ったり、「君を宝石に閉じ込めよう」とか、被害女性たちを「娘たち」と呼んだりとか。いや、そういう『外野から冷静に見てると気持ち悪い、女を口説くナンパ男の挙動をする』というシーンなので全然間違ってないんですけど。
で、そんな彼のネーミングセンスですけど、こちらです。（※明言は無いけど多分彼がつけたんだと思われる）
・ブランド名「緋色の風（スカルラット・ヴェント）」。
・ダイヤのイヤリング「深紅の退廃（グラナータ・デカデンツァ）」。
・新作スイーツ「深紅の美女（ベラドンナ・デイ・グラナータ）」。
・新作ネイル「鮮血のそよ風（エラロッソ・エオリカ）」。
鮮血のwwwwwそよ風wwwwwwwww
らしくない草を生やしてしまった。
い、いや、他はまあ目をつぶるとして、「鮮血のそよ風」はねえだろ！（笑） 他も失笑ものだと思いますけど、「鮮血のそよ風」は意味不明な上にダサッ！ 黒歴史中二病ですよ！
ヴァンデモンさんの「吸血鬼が世界で一番偉いので世界を支配する」も、吸血鬼としては割とよくあるパターンの願望なんですけど、他の言動がダサいのでその願望まで黒歴史中二病に見えてきます。
ついでにその黒歴史中二病マンに持ちあげられるルリはやっぱりメアリー・スーに見える。余計にそう見える。
■そのほか
・ルリが新作スイーツ試食会に行く日が翌日に迫っているのに、「（エッセヴのことについて）何かわかったら知らせるよ」と呑気なことを言うヒロも、それに頷くアンゴラモンもちょっとどうかと思います。まあ、大して調べようがないのはそうなんですけど。
・ドラクモンに怯えるルリの表情は良かったけど、ドラクモンの顛末があんまりに酷すぎて、大した加点になりません。
・ジェリーモン、第22話「悪夢」で格が個人的にガタ落ちしたので、引きずり回されてる先輩が可哀想でいけません……。
第5話の先輩＆ジェリーモン初加入回の時点でジェリーモンに嫌悪感・拒否感を覚えた人はずっとこんな気持ちで先輩＆ジェリーモン組を見てたんだろうなあ……。
・「ガンマモン、お前は何者だ？」シリーズ、結局なんにも話が進まないので萎えます。
・このままじゃグルスガンマモンが目覚めちゃう！ という前振りも滑ってます。おまえらそんなにグルスガンマモンを抑え込もうとしてないですよね。
第21話「蜘蛛ノ誘惑」でグルスガンマモンを目覚めさせてしまったことやグルスガンマモンがデジモンを殺してしまったことについてヒロ達が何も言わなかったの（むしろ話の流れとしては歓迎状態だったの）、まだ根に持ってるからな。
・カノーヴァイスモン、キャラデザは格好良いですね。キャラデザ自体は好きです。「○○ガンマモン」という縛りを無視して普通のネーミングになっていたり、ベテルガンマモンから進化したのにほぼ白基調でガンマモンカラー準拠ぽかったり（お腹のほうを晒している状態で見れば赤色＝ベテルガンマモンカラーの部位が多いのですが、パッと見の印象は背や翼の白だと思います）という、設定面からの観点では好きではありませんが。
グルスガンマモンの話はどうなったの（グルスガンマモンを無視して次の進化形態になっていいの）というのも気になりますが、この要素は回収されるとしても次回以降になるのは理解できるので一旦保留です。
・「ドラゴニア」を閃いて叫ぶヒロのカットは、なんだかやたら枚数が使われてたしよく動いて良かったです。
肝心のカノーヴァイスモンＶＳヴァンデモン戦に枚数回せよ。
・カノーヴァイスモン。そんなに情報をもりもり追ってるガチデジモンファンというわけでもないのに、公式ツイッターをフォローしてるだけで公式からネタバレが流れてきたので、姿は知っていました。
アニメ本編で公開前の進化形態のネタバレをするのは、デジモン界隈では常識なんだと思います。OPで堂々とバレてることもあるし、玩具・カード・ゲームなどを先に売ってるから公式情報をよく追っているファンには周知の事実ということもあります。けれど、OPにも姿がないからアニメ視聴のみのファンはまだ知らないカノーヴァイスモンを堂々とネタバレしているのにはビビりました。それが公式の方針だと言えば方針なんでしょうが、無神経と言えば無神経だと思います。
（俺は突然の公式ネタバレをうっかり見てしまって、「ええ……」と反射的に引いてしまいました。でも、その反応について「心が狭い」「デジモン界隈の事情や歴史に理解がない」と言われるならそれもそうだと思います。）
