灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第27話「美妖液」:感想

デジモンゴーストゲーム』第27話「美妖液」の感想です。

飛びぬけて悪いわけでもないけど面白くもなりきらず、淡白につまらない。そんな感じです。

 

 

■構成がちぐはぐな都市伝説ネタ

えー、まあ……。

今回の都市伝説ホラー、怖いかどうかはともかく『頑張ってる』のは伝わりますから、その『頑張り』は評価しますけど、……まあ……。

 

都市伝説ホラーあるあるタイムは面白かったんですよ。都市伝説でしか知らない、中途半端にしか知らない相手。それ以上を探そうとしても情報が出てこないという恐怖。敵の正体を知り得ない恐怖。怖いですね。

ヒロ達の怯える表情も、まあ、良かったですよ。うん、まあ。他の回でろくに怯えてくれないから、怯えの表情が見られたこと自体は良かったです。

 

……うん、いや、その、

もう正体知ってるじゃん……? スプラッシュモンって……。

 

怪異がデジモンの仕業ってもう分かってるヒロ達に「水音が3回聞こえると……どうなるんだ!?」って怯えられても……。いや、君らはデジモンと戦って倒すしかないだろ。君らにはその選択肢しかないし、他の一般人と違ってその力があるよね?

ヒロ達(先輩以外)については、今回怯えるなら他の回でも怯えろよとしか言えないしなあ。

 

デジモンの仕業だと分かる(怪異の正体がデジモンだと分かる)。

 ↓

都市伝説あるあるホラー(正体が分からない恐怖)。

 ↓

正体が分かっている敵デジモンをぶっ飛ばしてエンド。

 

構成がおかしいでしょ。

『正体が分からない』という意味では、怪異の起点はピッコロモンだけどピッコロモンに飛ばされた先で全然違う怪異(デジモンですらなくガチで正体不明)がうごうごしてた逢魔時回のほうが上手かったですね。

 

締まらないんですよね。

まあ、重要なカノーヴァイスモン初進化回にあんなずたずたな『どの要素も差替え可能』な脚本を出してくるような『ゴーストゲーム』にそこまで期待するのも酷なんですけどね……。

 

 

■都市伝説ネタをやるのが遅すぎる

構成が悪くて締まらないけど、都市伝説ホラーのターンは面白いのは面白いんですよ。『ゴーストゲーム』の舞台設定的には、こういうのをどんどんやるべきだったんじゃないですかね。

逆に、最初期に赤くしゃ都市伝説ネタやったあと、ここまで都市伝説テイストのネタをほぼやらなかったのは何なんですかね……? 都市伝説化してる怪異自体はあったけど、「都市伝説として中途半端に知ってるから追い詰められる(更に情報を得ようとしても出てこない)」みたいな都市伝説ホラーあるあるテイストのネタは赤くしゃ回しかやってなくないですか。

 

この「怪異の正体が分からなくて怖い」ネタって、「敵はデジモンじゃないかもしれない(ヒロ達の視点から怪異の原因がデジモンだと断言できない)」状態、つまり序盤しか成り立ちづらいと思うんですよ。今さらやったって、「いやデジモンの仕業でしょ?」「ここまでずっとデジモンの仕業だったでしょ? なんでヒロ達はデジモンの仕業だって思わないの?」にしかならないんですよ。

こういうネタはやれるうちに、つまり序盤に集中させておくべきだったと思います。※もちろん、都市伝説ネタばっかりに偏って飽きるのも問題ですが。

 

 

■敵がダサくて締まらない

そもそも『美妖液』っていうクソダジャレみたいなネタが寒いんだよな。作中でもトップクラスで「そんな事情かよ」つう感じですし、戦闘能力とは別のとこで間抜けに見えて怖くないんですよ。

あとスプラッシュモン自身も、作中では美形扱いらしいけどなんか美形になりきらない間抜けな造形ですよね。単に「自称美形(ぶっちゃけ客観的には大した美形ではない)」ってこと?

 

ついでに言えばなんですけど。

今回、『美容液』っていう、つまりコスメネタですよね。まあ……女性的なものですよね。美容液は男性も使うだろっていうツッコミはしなくていいですよ、一般的に『美容』というジャンルは女性的なものと見なされてますよねっていう話をしたいだけなので。

今回のスプラッシュモンの被害者が女性だけっぽいのは意図的なものなんですかね。これは、吸血鬼回での被害者がコスメやブランドに釣られる『愚かな女達』であると意図的に描かれたことへの恨みがあるから言ってるんですけどね。

今回のスプラッシュモン、切実な動機が描かれるわけでもなく、なんか間抜けでしたよね。『美容』ジャンルの動機を持ったデジモンの描き方が間抜け、ねえ。へえ。

いやまあ、邪推ですけどね。怪異の原因であるデジモンについてろくな動機が描かれないのはいっつもどおりだし、やってることが凶悪なくせに動機が無茶苦茶なので全体的に見ると間抜けであるのもいっつものことですよね。

 

 

■都市伝説調査=デジモン調査を考えるのが遅すぎる

ヒロ達が『都市伝説調査のために協力』をするのが遅すぎて笑います。それ、6話のカラオケ回ぐらいでやらないといけないことです。6話の時点で、何故かばらばらにわくわくホログラムゴースト巡礼ツアーやるんじゃなくて、「俺たちはデジモンのパートナーがいて、他の人達よりはデジモンによる怪異に立ち向かえる。これから一緒に協力して調査して立ち向かっていこう」と都市伝説調査倶楽部を全員の合意で結成するようなことをやるべきだったんです。

もちろん先輩は渋るだろうけど、『先輩の意見を聞かない』というのはそういうところで発揮するべきです。どうでもいいところで何度も何度も無視して先輩の意志や意向を軽んじるために発揮するべきではなく。

 

いや、ほんと、6話頃で都市伝説調査倶楽部(仮称)をまじめに結成する展開(※「一緒にやっていこうね」と合意する展開のことです。わざわざチーム名を決めるとかの『形』にこだわれとは言っていません。)を入れるぐらいはするべきだったんですよ。そんな集まりをさっさと結成するほどデジモンへの調査意欲やデジモン被害から町を守りたい意欲がある子達なら「ああ、その目的のためには多少の危険も犯罪も覚悟の上なのね」と納得はできたと思いますよ。肯定まではしなかったと思いますけどね。

特にヒロ。ヒロは第2話で、独自に都市伝説調査もしてましたからね。ヒロが調査隊結成を提案するほどの意欲がある子なら、第2話で博物館に不法侵入(正しくは不退去)してまでデジモンとコンタクトを取ろうとしたのも納得はできますよ、肯定はしませんが。

 

実際には、その手の活動のだいたいはルリのパシリで強引に集められるだけです。同意を取っていませんし、ルリに利用されています。

ほんとなんなんでしょう。この、仲間らしくない人達。協力して何かをするんじゃなくて、利用して&利用されて何かをするというのが常態化してる。友達みたいなツラしてますけど、それってほんとに友達ですか?

 

 

■疑似デジタルワールド化機能が無茶苦茶

カードによる疑似デジタルワールド化機能を利用した凍結は、発想自体は面白かったです。

……え? けどそれ、ロジック通ってる?

砂漠疑似デジタルワールド化(第17話「極寒地獄」)では体温や気温は上がらないけど、雪原疑似デジタルワールド環境下では水は凍るの? いやロジック通りそうと言えば通りそうだけど……それで正しいん?

ええ? 冷気を風で送り込んで急速冷凍して凍結させて倒した? ていうことは雪原疑似デジタルワールド環境下では気温がちゃんと下がってたんですよね? 第17話との整合性、無茶苦茶じゃないですか?

 

整合性の問題を無視してもですよ。

カードを利用する展開はカードを手に入れた直後にやれよって思います。初期カードの直後とは言わないです、新カード入手(第14話)のほうの直後で良い。今回が27話ですよ。カードの効果を活かすなんて、ゲットからまるまる1クールほど放置してからやる話じゃない気がします。

こんなふうに疑似デジタルワールド化機能を能動的に使うなら、三者それぞれが所有してる二枚のカード(計六枚のカード)にカス親父のどんなクソ思い出VRが封入されているか、カードをゲットした時点から早めに説明する(早めに登場させて見せる)べきでだと思うんですよ。カードのうち、先輩の手持ち新カードの中身にいたっては見てもない気がするんですけど……
 

更には、『やってみたけど使えねえ』のほうはだいぶ前(第17話)にやってるんですよ。『使えねえ』をやったあとに疑似デジタルワールド化機能は(人間世界と隔離するという初期からの意味合い以外では)放置だったので、もう疑似デジタルワールド化機能自体が「使えねえ」という意識になってるのだと思っていました。困惑します。

 

 

■ついでに:進まないカス父親関連の話

ってーかそう考えてみれば、カス父親関連の話、まるまる1クールほど何も進行しなかったわけですよね……父親探しの件の前回の進行って第14話の「父親からカス旅行自慢が届いた(=カードゲットした)」ときだよなあ。

ヒロ→父親の掘り下げは途中の第18話で「父さんは約束は守るんだ!」という常軌を逸したものがありましたがね……。中学生をネグレクトしたうえに怪物赤ちゃん押し付けたうえにわくわく異世界旅してるやつは『育児』という約束を果たしてねえんですがね……ついでに恐らく養育費も払ってない。

 

前回のデジタマモンに会ったとき、ヒロはデジタルワールドのことを聞く気満々だったようですね。

なんか、そういう「忘れてないよ」アピールがウザいんですよね。実際、最後にその話をしたのもういつだよ。忘れてただろ。

忘れてなかったとしても、アピールするだけして何も進行してないだろ。「ガンマモンはすごい! お前は何者だ!」シリーズも、アピールだけしてるけど何も進行してないからな。どっちもアピールうぜえよ。進行しろよ。

 

 

■『ご都合』でしか現れないブラックテイルモン

今回、敵を倒してブラックテイルモン強制送還コースでしたよね。

それがアリなら、前回もブラックテイルモンが来てさえくれれば、デジタマモンは殺さずに強制送還で良かったんでねえの……? ブラックテイルモンはなんで前回沸かなかったの……?

 

すっごいご都合主義ですよね。ご都合主義の時しかブラックテイルモンが沸かない。第20話「炎ノ監獄」のダークリザモンとセーバードラモンもあそこまで追い詰められる前にブラックテイルモンが回収してくれれば良かったでしょ。第21話「蜘蛛ノ誘惑」のアルケニモンだって、デジモンには害意はなかったんじゃありませんでしたっけ。ブラックテイルモンがさくさくデジタルワールドに回収してくれればそれ以上の被害は出なかったんじゃないの。

(逆に第13話「処刑人」のシールズドラモンはデジモン殺害が目的だったため、ブラックテイルモンがデジタルワールドに回収しても被害は押さえられませんでいた。なのでシールズドラモンの件についてはブラックテイルモンにはどうしようもなかったと考える余地があります。)

 

ブラックテイルモンは下手にデウスエクスマキナ的に『登場さえすればなんでも解決する』役回りで出てくるので、「お前が出てくれば解決するのになんで出てこないの?」になるんですよ。

今までは(ダークリザモンとセーバードラモンを含めても)助けてやりたいデジモンが少なかったので気にしてこなかったんですけど、前回デジタマモン=『元々はまともだったのに狂ってしまった』『メインキャラの親友』が死んだので「ブラックテイルモンが来なかったせいじゃねえか。なんでデジタマモンは駄目でスプラッシュモンは助けるんだよ」になるんですよ。

 

作中のブラックテイルモン(あるいはブラックテイルモンを派遣している何者か)も、制作スタッフも冷酷ですよね。ご都合主義すぎ、気まぐれで介入しすぎなので、『(介入できたと思われるのに)介入しなかったとき』があるから冷酷です。

 

 

■そのほか

・『ゴーストゲーム』って、冒頭に必ずモブが襲われるシーンがないといけないみたいなそんな謎縛りやってる? これは前回に犯人を事前ネタバレされた恨みからのツッコミです。

 

・素のガンマモン、いつまで赤ちゃんなんですかね。いつまで掃除機かじってるんですかね。こいつ、進化しない限り成長しねえの?

 

・ジンバーアンゴラモンさん、格闘家タイプであることによるダイナミックな動きがウリのキャラだろうに、全然枚数に恵まれねえな……。


・カノーヴァイスモン宣伝強化タイムもう終わったの!? それなら前回(アンゴラモン親友回)と回を入れ替えて、アンゴラモン親友回を実質アンゴラモン単独主役戦闘回にしてあげれば良かったじゃん!?