灰色の本

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『デリシャスパーティ♡プリキュア』第28話「コメコメの力をみんなに…!パーティキャンドルタクト!」:感想

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第28話「コメコメの力をみんなに…!パーティキャンドルタクト!」の感想です。

 

 

■筋は納得できるので、もっと尺を使って丁寧にやってほしかった

今回の強化は物語としても納得がいくものだったと思います。

コメコメの成長については十分に描けていたかと言うと正直「まあ及第点は取ってるかな……」ぐらいでそこまで高い評価は自分はしていないのですが、プレシャス達がそれぞれコメコメとの思い出を思い浮かべるのには不足しない程度の話は描けていたと思うのでそこまで引っかかりませんでした。

コメコメ×あまねの組み合わせについては回想するためのシーンが足りなかったんだなってのはちょっと思いましたが……。

 

……が。「筋として納得がいく」というのと、「話の出し方・持って生き方が唐突である」というのは別であって……。

今回はバトル連戦で忙しく、駆け足な内容の回です。コメコメの葛藤やコメコメを大事に思う仲間たちの思い自体は納得のできるものであっても、どたばたしてる間にセリフだけで済まされてしまったという印象は否めませんでした(特にコメコメへの思いを戦闘中にセリフですべて述べてしまうプリキュア達)。『デリシャスパーティ♡プリキュア』が比較的なんでも分かりやすくセリフで述べるほうで、作風としても口に出しての話し合いを良しとする作風ではあるのですが……もっと丁寧にドラマを作ってほしかったかな、と思いました。

 

序盤の敗退後、「それでもハラペコったからとりあえずご飯を食べよう」と無敵のメンタルで前向きに唱えるゆいとその態度を受けて前向きになっていく仲間たちのシーンが非常に良かったことも逆に「もっと丁寧に時間をかけてやってほしかった……」と思う原因になりました。あのシーン、かなり良かったので、もうあそこで一話を切っちゃっても良いように見えたんですよね。

①ナルシストルー再登場からの敗退→その後のご飯シーンまで。

②ご飯シーンの後からナルシストルー撃破まで。

上記のように回を分けてしまえば、回ごとの戦闘回数も1回ずつになりますし、増えた尺でコメコメとプリキュア達の心情をより丹念に描写することができたと思うんですよね。前回第38話のナルシストルー再登場からの回またぎは魅力的な引きだったので、上記の分け方だとその引きがなくなってしまうのが難点ですが。

……それとも、負け戦のまま回またぎすること、その回のメイン戦闘が負け戦で終わることがシリーズ的によろしくないんですかね?

違法アクセス事件で話数が飛んだからそんなヒマないよ! と言われればグウの音も出ないですが……。『デリシャスパーティ♡プリキュア』、話の情報量が多くて忙しいですからね。

 

 

■メンタルの強さで株を上げるメンメンと、メンタルが強すぎて成長性がないゆい

メンメンはメンタルが強いですねえ。おそらくコメコメ・パムパム・メンメンの三人のエナジー妖精たちって、コメコメが赤ちゃんなのは置いておいても、子供ぐらいの精神年齢を想定されているキャラだとは思うんですよ。パムパムが知恵者(子供の中では、ですが……)でよく喋るのでそのぶんしっかりしているように見えますが、パムパムもメンメンも子供。おそらく泣きたい気持ちは同程度の強さなのに、メンメンは泣きそうなのを堪えて他二人の涙を拭いてあげるんですよね……マイペースで影が薄めの印象だったり滅多に本気を出さないと言われてたりしますが、なかなかどうして強い子です。

 

一方で、ゆいがメンタル強すぎて……うーん。ゆいは最初からずっとメンタルが強いんですよね。メンタルが強すぎ&最初から『デリシャスパーティ♡プリキュア』が提唱したいテーマの体現者すぎて、成長しません。『デリシャスパーティ♡プリキュア』は何故かゆいだけは個人回らしい個人回も無い仕様なので、ゆいだけが掘り下げが進んでいない妙な状態です。個人的にはこの状況はあまり好きませんね……ゆいを好きになるにも嫌いになるにもパッとした情報がないというイメージです。

 

ただ、今回のゆいに関してはそのメンタルの強さがかなり救いになったと思います。彼女はたとえ変身解除するほど追い詰められて負けようと、いつもの明るい声で「とりあえずご飯を食べよう」って言い出せる子なんですよね。前述した通り、このシーンは非常に良かったと思います。

 

 

■よく考えれば独自の信念が不在に見えるフィナーレ=あまね

キャンドルタクト時の掛け声。

>プレシャス「笑顔のパワー!」

>スパイシー「分け合うパワー!」

>ヤムヤム「情熱のパワー!」

>フィナーレ「正義のパワー!」

うーん、絶妙に統一感がない(苦笑)。まあ、正直に言えば名前(プリキュア名)の時点で統一感ないですもんね。

 

特に気になったのはフィナーレの「正義のパワー!」です。

フィナーレ以外の3人はそれぞれの食への信念を言ってるんですよね。プレシャス=ゆいは「料理は笑顔」だと思っていて、スパイシー=ここねは「料理は分け合うことが素晴らしい」と考えています。ヤムヤムだけはちょっと彼女の食に対する考えとは直接繋がらないようなことを言ってますが……ヤムヤム=らんの考えは「美味しいものをみんなにも教えたい、みんなにも食べてもらいたい」で、それはらんにとっては料理研究だったり食レポSNSにアップしたりなどの努力や情熱で叶えるものですので、らんにとっては「料理は情熱」というのは間違っていないでしょう。

 

そんな中でフィナーレ=あまねだけが「正義」と、食への信念と関係なさそうなことを言っています。そもそもフィナーレは他3人と比べて食への信念があるという印象がないんですよね……。描写がジェントルーであったことへの葛藤やナルシストルーとの因縁に吸われていて、食事をどう思っているかの描写が少ないと思います。

もちろん、「パフェのような人になりたい!」という彼女のセリフはちょっと突飛だっただけに印象に残っている人も多いのではないかと思います。それは確かにあまねの食への信念です。……けどこれって、「みんなを笑顔にできる、パフェのような人になりたい!」(※第18話のセリフより引用)なんですよね。彼女の信念は、とどのつまりプレシャスとだだ被りなのです(内訳は若干違いそうですが短い掛け声セリフにしてしまうと一緒になる)。

 

うーーーん……プレシャスと被るわけにもいかないし、喋らせることがなかったんだろうなあ……。あまねが正義の人であるのは間違ってないんだけど、食とは特に関係ないですよね……?

 

 

■一貫して保護者であるローズマリーと、あまねの因縁の終わり

ナルシストルーを制圧した際のマリちゃんのセリフ。

>「どうしてそこまでして他人を傷つけようとするの!」

マリちゃんは一貫して『保護者』なんですね……。敵悪役であるナルシストルーに対して怒りを露わにするシーンのセリフであっても、まるで悪さをした子供を叱るような響きが含まれています。

 

マリに庇われた形になり、状況を見届けたフィナーレのセリフは

>「みんなとおむすびが食べたいな」

でした。

ナルシストルーが挑発した通り、内心は恐らくわだかまりがあったと思われる彼女です。が、マリに庇われコメコメに寄り添われた彼女は、そのわだかまりを表明すること――ナルシストルーに復讐することを選ばず、それよりもみんなと食事をしたいと言いました。

これからもあまね=フィナーレとナルシストルーとの因縁の描写はあるかもしれません。が、これはあまねの、ひとつの因縁の終わりなのだろうなと思いました。

 

 

■ナルシストルーの意外な投降エンドと、スピリットルーの意外な高速退場

ナルシストルーが和解しないままに投降エンドでひとまず終わったことは意外でした。確かに和解できるほどナルシストルーの情報が今まで出ていないのですが、それでも1話で駆け足で無理やり和解エンドで終わらせることはできなくはなかったと思います……というか、それで「雑だな」という評価を受けようと、そうやって敵陣営の話をあっさり投げ捨てることがあるのが『プリキュア』シリーズという勝手な偏見がありました。

ナルシストルーは人気キャラで制作スタッフ側としても重宝しているらしい様子なのでそこまであっさり投げ捨てなかったとしても、その場合は何やら言い訳を並べてナルシストルーとの戦闘自体を引き延ばすor後回しにするのだと思っていました。

というか、そのためのスピリットルーだと思っていたのでスピリットルーの退場が早すぎてびっくりしました。最後の意味深なスピリットルーの映し方からすると、スピリットルーの再登場自体はあると思いますが……恐らくそのときには、セクレトルーによって内部データを操作された別人格、実質別キャラとして立ちはだかるのではないかと思います。

セクレトルーにスピリットルーの内部データやプログラムをいじくるようなプログラミング能力があるのか? ということは置いておくとします。それは「話の都合」で流しても良い範囲だと思いますし。

 

 

■そのほか

・特にそのシーンが無くても成立するのに、ギャグ描写のためだけにマリちゃんの開けたドアの一撃を食らう拓海、可哀想(笑)。今回はずっとシリアスな調子でほぼずっとバトルしっぱなしなので、ちょっとした息抜き、ブレイクのシーンですね。

 

・本筋を動かしている横でさらっとブラペの正体バレ未遂を挟んでくるのが芸コマ。このシーンがあったせいで後で「あ! 分かった!」ってプレシャス=ゆいちゃんに気づかれちゃう……みたいな展開があるのでしょうか。

 

・地上戦を挑むブラペとローズマリーは、アニメとしても展開としても熱かったですね。今回は全体的に動きも気合が入っていたと思いますが、ナルシストルーVSブラペ&ローズマリー戦が一番気合が入っていたように思えたのは展開の熱さによる錯覚でしょうか。

 

・パワーアップフォームのプリキュア達のデザインは、統一感はやっぱり無いですが個性的で良いですね。今作のパワーアップフォームは結構カラフルなデザインなのが好印象です。プリキュアシリーズはパワーアップフォームになるとカラーリングがほぼ白になってしまうことが多く、作品によっては「パワーアップフォームなのにむしろ地味、没個性的、弱そう」となることがある印象だったので。

 

・『キャンドル』タクトなので、キャンドルを吹き消すところまで技に含まれてるのが好きです。「キャンドルを吹き消す→ごちそうさまでした」の流れも良い感じ。