灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第9話「捻レタ時」:振り返り感想

デジモンゴーストゲーム』第9話「捻レタ時」の感想です。

過去最悪を順調に更新し続けるルリ。もうリカバリ不可能な気がしますが、どこまで行ってしまうのか。

 


※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです。

 

 

■まだ株の下がりしろがあるルリ

クズすぎてびっくりしました。

結局、ヒロの心配をしたんじゃなくて自分がスイーツ食べたいからその近場の図書館に誘っただけです。

しかも、図書館に行ったせいで結局事件が起きてます。もっと正確には、図書館の怪異はボコモンバクモンがいただけで何も害はなかったのでセーフだったのですが、『ルリがガンマモン達をスイーツ店に勝手に連れて行ったことでヒロが一人になったせい』で事件が起きています

 

ルリがクズ行動をしなきゃあの事件は発生しない事象だったので、びっくりするほど最低です。

ここまで来ると、制作スタッフは何か彼女に恨みでもあるんでしょうか。その割にはどちらかというと原作メアリーっぽくも見えますけどね、なんか制作スタッフはこの子が『良い子!』『凛々しい! 強い! カッコイイ!』と思ってそうというか。制作スタッフによるキャラブレとか今回のみの脚本ミスとかではなく一貫してこんな感じの子なので恐れ入ります。

 

しかもアンゴラモンがルリに「もしかして(このスイーツが目的だったの)?」と言ってるので、ルリは『スイーツを食べに行く』という目的を明かさず全員を連行したようです。もう、最悪、最悪。仮に目的を明かしてみんなを連れていってたら、全員が『様子がおかしい主人公の心配<<<<スイーツ』ということになるのでもっと最悪ですが。

分かるよ、分かる気がするんだ。今までの貴方の性格と挙動から考えると、他メンバーが「ねえこれどこに向かってるの?」って聞いてるのに「いいからいいから!」みたいな感じで目的教えずに押し通したとか、そういう感じだろ……?

 

地味なとこにもツッコミを入れておくと、察しの良さそうなアンゴラモンさんでさえルリがスイーツ目的で動いていることを知らなかったあたり、ルリとアンゴラモン、マジで会話がありません。

アンゴラモンさんはルリをずっと気にかけてくれてるのに、ルリさんのほうは会話する気がずっっっっと無いご様子です。

 

あ、ヒロが最初に相談した時の「それ、私たちに相談されてもね……」という他人事な反応にもドン引きしました。おまえ……散々パシりに引きずり倒しておいて命も救われておいておまえ……。

 

 

情緒的に役立たずのガンマモン

あの状態のヒロを一人で放置して良いと思ってルリについていき、目を輝かせてパフェを食べてるガンマモンもたいがい酷いです。

ルリをひとつ擁護するなら、ルリがあのタイミングで抜け出したのはガンマモンに「ルリ、お腹すいた」と言われたからなんですよね。「お腹すいた」と言われたからという理由でめちゃくちゃ楽しそうに、悪戯っぽい笑みを浮かべてめちゃめちゃノリノリで抜け出したのです。

 

ヒロさん、直前に、結構深刻そうに膝をついてましたよね?

パートナーって一体、何なんでしょうね。

今作では『デジモンパートナー』とか『パートナー』という語は記憶している限り出ていないので、ただのお兄ちゃんと赤ちゃんの関係なんですかね。赤ちゃんだから、ちょっとルリに声をかけられたらお兄ちゃんの心配は忘れちゃって当然なんですかね。

デジタルワールド化が起きてヒロの危険を察してすぐに飛び出してったから何なんですか、まずヒロからパートナーの貴方だけは離れちゃダメだったんじゃないですか。役に立たねえなこいつ。

 

いや、ほんと……戦闘でいくら役立ってても埋め合わせができないぐらいに情緒的に役立たずですよねこいつ……。

 

ルリが『スイーツを食べに行く』という目的を明かしてガンマモン達を連れて行ったのかどうかはよく分かりませんが、ガンマモンは今までもチョコ>>>>>>その他という行動を取りまくっているので全く信頼なりません。

 

……仮にそのへん(ヒロの体調を心配しなかったこと)を許したとしても、ヒロさんだけスイーツを食いっぱぐれてお腹すかせてるはずなんですけど、パートナー的には何も思わないんですかね。

 

 

ディスコミュニケーションな人々の話

『ゴーストゲーム』は話が通じないやつらの話ではありません。

話を文字通りの意味で聞かないやつらの話でもありません。

けど、心を通わす気がまるでないという意味では、話を全く聞かないやつらの話です。

 

一番そういう意味の対話を試みてるのは先輩です。そしてジェリーモンは話を聞かないのでその試行は成功していません。

アンゴラモンさんもルリとまともに会話、というかコミュニケーションが成立してないのに大らかに泰然としすぎだと思います。まあ、あのルリ相手だと何をやっても無駄かもしれないですが。

 

 

■ボコモン先生の実体化レベル講座

長くなりそうなので専用記事を立てます。

言いたいことは、

「こんなもん、一回視聴しただけで理解できると思うなよこの野郎。

です。説明の仕方も説明が入るタイミングも何もかも悪くて0点です。マイナス点をつけないのはただの情けです。

ボコモン先生じゃなくて制作スタッフが悪い。

 

 

■ボコモン先生の実体化理論講座

不可視状態~実体化状態のレベルの話(ボコモン先生の講座の前半)が嫌がらせかと思うぐらいに分かりづらかったのに対し、後半の「どうやってデジモンは実体化するか」の話は分かりやすかったです。

 

心から湧き上がる感情が実体化のファクターなのだそうです。

感情があふれ出る状態、それはデジモンがデータではなく人間に近づく状態かもしれない、とボコモン先生は述べます。

ボコモン先生は人間の豊かな感情を信じて評価してくれているみたいですね。……今までの描写だと、人間のヒロとルリは割とそういう感情が欠損している傾向にありますが

 

ただし、人間の負の感情を楽しむことで自身の実体化を早めようとする悪質な連中もいるとのことです。これは次の展開につなげる布石でしょうね。設定としても素直に面白いです。

 

 

■虚無の心に、重なり合う要素はあるの?

ヒロの説明も何も無い「助けよう!」に即座に「助ける!」と乗るガンマモン→そして進化。

……いや、うん、ボコモン先生の言うように「心が重なり合った結果」と言ってしまえばそうなんですけど、ガンマモンが赤ちゃん過ぎて、お兄ちゃんであると教え込まれているヒロのイエスマンになっているだけにも見えるんですが。

セルフネグレクトマンのヒロと思考能力が育ってなくて感情爆発で全部解決する赤ちゃんガンマモン『思いが重なる』ところは虚無部分だけだと思います。

二人とも思考が回ってないところだけが共通してる。

 

ヒロは別に優しいキャラとか誰かを救いたい良心キャラだという説明は全くされてないんですよね。今回のような場合に、善意で「助けよう」と言い出すほどの善意キャラお人好しキャラあるいは正義キャラだと説明された覚えがないんですよ。

ヒロには、頼みごとを断ることさえめんどくさすぎて選択肢すら浮かばないセルフネグレクトキャラというイメージしかない。

 

今回の敵を助けたのはゆるやかな自殺願望、というか変形したミュンヒハウゼン症候群かと思いました。

白雪姫がね、小人の忠告を無視して変装した継母に三度も扉をあけて三度も死ぬというのは自分を粗末にするタイプの病理なのだっていう解釈があるんですよね。今回の主人公の「助けよう」はそれに近くないですか。

 

あとね、今作は敵デジモンを『倒さない』という縛りがあるみたいですけど、ヒロって、不殺を掲げてるわけではないんですよ。今のところ『結果的に不殺』なだけであって、信念として不殺を掲げてるわけではありません。デジモンを含めて全員助けるぞという気概があるわけでもありません。

 

かといってケースバイケースで考えて動いているというには、ヒロは感情や思考の過程が読めません。ヒロの基本的思考が分からん。

 

 

■そのほか

・序盤の幽体離脱は普通に怖いと思うのに、ヒロが怖がった反応をしてくれないので怖さを感じられません。すぐ「目覚まし間違えた?」と、遅刻したことの焦りのほうに話がいってしまいます。

今作、ホラーのくせに、『怖い』という感情をキャラの顔で表現してくれないんですよね(先輩除く)。ヒロとルリが怯えた反応をしてくれないからホラーらしくならないんだと思います。

今回はヒロが直接「怖くてさ……」と言ってた? うん、ヒロに今更「怖い」と言われても困ることに気づきました。
だってお前今までそんな、「怖い」という感情がはっきり分かるようなシーンがないし……今回の発言だって怯えて震えるみたいなのじゃなくて淡々と発言してるし。眠れなくてクマ作ってたのは可哀想だったけどさ。

 

・一人キャンプ……なあ……。いろいろ言いたいことはあるんですが、ヒロについての単独記事は書くと思うのでそのときに覚えてたら書こうと思います。

とりあえず、自分の良く分からない趣味に散々他人を振り回しておいて、他人の趣味には「一人キャンプ……」とドン引きしたように何度も繰り返すルリがド無礼だということだけ述べておきます。

 

・「ミーは人間の文化を勉強するため、いろんな図書館に通ってるさ!」ジェリーモンのこういう勉強熱心で努力を惜しまないところは良いですね。成果は他人や他デジモンに害を成さない方向に発揮してください。

 

・ボコモン先生とバクモンの登場は良かったです。キャラもそんなに変ではなくて、好感が持てます(今までのキャラ、主にヒロとルリがアレなので『変ではない』が評価点になります)。

また、新規に解説役が入ってくれたことで、展開がようやく動いた気がします。ヒロ達の『目標』がいまだ不在なのは変わってないんですけどね。

 

・ヒロがクロックモンに追い詰められて、深刻に感覚を狂わせて苦しんでいるところの表情描写は珍しく良かったです。

が、バクモンが認知を正常に戻してくれたら例によって例の如く、何事もなかったかのようにすぐ元気な顔になりました。ヒロもルリも、喉元過ぎれば全部忘れる人たちですよね。

 

・あー、ガンマモンの暗黒進化っぽい何か、そう言えばそんなのありましたね。第1話での出番があんまりな感じだったので忘れてました。

クロックモンに時間を取られると老化するんだから、つまり未来の姿になってしまうんですよね。つまり、ガンマモンは将来的に悪堕ちする(このままだと悪堕ちするのが正規ルート)ってことなんですかね?

 

・そのほかルリのドン引き発言集。

①「超~自慢してる」

(偉い学者だと紹介され、「それほどでもあるじゃい」と答えたボコモン先生に対して)

②「え? 遊びに行けないじゃない!」

(デジタルワールドに人間が生身で入ると無理矢理データ化されて黒焦げになるかもしれないと聞いて)