灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第9話のボコモン講義が異様に分かりにくい

デジモンゴーストゲーム』第9話「捻レタ時」のボコモンの実体化レベル講義について、何故異様に分かりにくいのかを考えるという話です。

 


※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです。

 

 

■ボコモン先生の実体化仕様講座

実体化レベルには以下の状態がある。

 

①不可視の状態。

人間には見えない(デジヴァイスを外すと見えなくなる)。何かにぶつかっても干渉されない、こちらから干渉もできない。デジモン同士なら見ることも触ることもできる。壁抜けができる。デジタル機器、ネットやデータの中に出入りできる。

 

②次の段階。

姿は見えないが物には当たる。ごく短時間なら物も持っていられる。壁抜けはできなくなる。

 

③人間がホログラムゴーストと呼んでいる状態。

物理干渉は受けるし人間にも触れる。慎重になら壁抜けできる。

 

④実体化状態。

(説明なし)

 

※ジェリーモンは例外で、実体化状態でも壁抜けできる。

 

 

うん……。

一回視聴しただけで理解できると思うなよこの野郎。

 

 

え? いや……録画で繰り返し視聴して考察班が喧々諤々の意見発表会をするようなオタク向け深夜アニメなら分かりますよ? ほんっとにこれを、メインターゲット層の子どもが、視聴一回で理解できると思ってる? 

俺の頭が悪いだけですか? 本当に? いや俺の頭が悪いかどうかはこの際何も関係なくないですか。重要なのは、

 

本当に、これを、子供が、視聴一回で分かってくれると思う?

 

それとも子供がみんな録画か見逃し配信で見てて、分からないとこは繰り返し繰り返し再生して見てくれる。そんな前提で作ってるんでしょうか。

まず説明がめちゃくちゃ頭を滑って何にも入ってこなかったんですけど? 子供でもアホでも分かるようにしてくれ。

 

ボコモン先生が悪いとは思っていません。明らかに作り方(つまりスタッフ)が悪いです。

以下、何が悪いかを列挙していこうと思います。

 

 

■まず設定からして悪い

ミもフタもないですが、こんなややこしい設定にした時点で間違ってます

だってさあ、絶対説明するときのこと考えずに設定しただろ。

感覚的な話で申し訳ないんですが、この設定で4段階も実体化レベルを設定する理由がわかりません。3段階なら分かるんですけどね。

 

分かりやすいのが壁抜けの話です。実体化レベル(先述の①~④を参照)と壁抜け可否の対応はこうなっています。

 

↑不可視状態

①壁抜けができる。

壁抜けはできない。

③慎重になら壁抜けできる。

④壁抜けはできない。(台詞での説明は無いが他の描写からそうなるはず)

↓実体状態

 

わかりますか?

「実体化度合い」と「壁抜けができなくなる度合い」が対応してないんです。なんで②で一旦壁抜けできなくなったのに③は壁抜けがギリ可能なんだよ。

設定が無駄にややこしくて、直感的じゃないんです。だからどうしても説明もややこしくなる。

 

『ゴーストゲーム』はアニメ作品です。必ずとは言いませんが、基本的には一回見ただけで必要な情報が分かるように説明するべきです。設定が複雑すぎるなら説明の仕方を工夫するか、設定自体を整理して簡素にすることも考慮する必要があります。

 

ていうか、②いらなくない?

②が無かったら設定がシンプルになるんですよ。

……って、あー。

ポルターガイスト状態(ホログラムゴーストじゃない人間に不可視の状態だけど物に触れる)を作りたいから②が必要なのか……それなら仕方ねーな……。

 

 

■実体化の各レベルに名前がついていない

①不可視の状態。

②次の段階。

③人間がホログラムゴーストと呼んでいる状態。

④実体化状態。

 

『②次の段階』ってどうよ。

各段階に名前がついてないから分かりづらい、というところはあると思います。

てーか最初に聞いたとき、①の説明で頭が滑り始めてたせいで②と③が違う(4段階ある)のが呑み込めてなかった。俺が悪いの? いやここはよく話を聞けてなかった俺が悪いかもしれないごめん。

 

これは重箱の隅をつつくような話だけどね、③もね……はっきり『ホログラムゴースト状態』って言い切っちゃえば良かったと思うんだよな。

今回の脚本さんがこう表現したのか、そもそもの設定を作った人がこういう表現をしていたから引きずられて脚本さんがそう書いたのかは分かりません。が、とにかくこの説明を「人間がホログラムゴーストと呼んでいる状態」って書いちゃった人、真面目で愚直な人だと思います。

うん、多分、デジモン達がデジモン達自身のことをホログラムゴーストと呼ぶはずがないだろう」って思っちゃったんじゃないかなあと。世界観設定を真面目に考えてね。気持ちは分かります。

①(不可能)と④(実体化)のあいだの曖昧な状態をデジモン達自身がわざわざあんまり名前つけて分けて理解しないだろって思っちゃったのかな。②と③に明確な名前がついてないの。

でも説明を分かりやすくするために名前ぐらいつけてほしかった

 

ていうかやっぱり②がいらなくない?

②が無かったら「不可視状態」「ホログラムゴースト状態」「実体化状態」で丸く収まるのに。

 

※ついでに言えば、

デジヴァイスを使って周囲の空間をデジタルワールドのような状態にする」技術のことや、

その技術でつくられた似非デジタルワールドについて、

未だに呼び名がついていないのもちょっとどうかと思います。

まあそっちは名前がなくても内容が明確なのでマシなのですが。

 

 

■最初から情報量が多すぎる

①の、不可視の状態の説明。

・人間には見えない(デジヴァイスを外すと見えなくなる)。

・何かにぶつかっても干渉されない、こちらから干渉もできない。

デジモン同士なら見ることも触ることもできる。

・壁抜けができる。

・デジタル機器、ネットやデータの中に出入りできる。

 

説明のしょっぱなから要素が多すぎるんじゃないすかね。

い、いや、どれも必要な説明なのは分かるよ。分かるけど、

これを矢継ぎ早に聞かされた時点で自分は「え? は? えーと待って待って待って?」な状態に陥って、後の説明をまともに聞けなかったです。

せめて『ネットやデータの中に出入りできる』の話だけでも別の機会に説明できなかったですかね。その話だけは、今回主に話していたことと別の観点だと思うので……

 

 

■図解がない

ボコモン先生が説明しているあいだ、棒立ちなわけではありません。ボコモン先生はヒロたちに分かりやすくなるように、ちゃんと不可視状態~実体化状態の各段階を実演しながら説明してくれています。

でも図解にしてほしかった。

別に、アニメ作中で現実に起こっている映像(ボコモン先生が実演している映像)にこだわらなくても、イメージ図解で良かったと思うのです。

ボコモン先生の実演にこだわったために、実体化レベルの段階が4段階存在することすらパッと分かりません。

まあ、設定自体がややこしいので図解に落とし込みづらかったのはあるんでしょうけど……。

 

※図解じゃなくても、『エピソード説明』でも良かったかもしれません。ややこしいことなんですから、諦めて開き直ってエピソードを使ってちょっとずつ説明しても良かったのでは?

第4話で「デジヴァイスで周囲をデジタルワールド化しているときに何かを破壊しても、現実世界には影響が出ない」というのはエピソードで提示されたので分かりやすかったと思います。

 

■いらんチャチャを入れてくるジェリーモン

ただでさえ説明本体がわかりづらくてめんどくさいのに、いちいち「自分は実体化状態でも壁抜けできる」と口を挟むジェリーモンがうるせえ。話の流れが切断されて説明が聞きづれえ。

 

うん、ジェリーモンが例外であるという説明は確かにまあまあ重要なんですよ。説明されないと「いやジェリーモンが壁抜けできるのはどうなってるねん」って言いたくなるのはそうです。

まあ個人的にはジェリーモンはキャラデザ的に「すり抜ける特殊能力持ちなんだろうな(ジェリーモンが特殊なんだろうな)」と思って気にしてなかったんですけど。

 

そこまであげつらうような茶々入れではないと言えばそうです。でも今回のボコモン講義が分かりづらいの、これだったり実体化レベルに名前がついてなかったりと言った細かい要素が重なって分かりづらいという面もあると思うんだよなあ。

 

 

■ついでに、説明するタイミングも悪い

この説明のタイミングって、今だったんでしょうか?

こんな基本的な説明、第9話になるまで引っ張るべきだったんでしょうか。

先輩&ジェリーモンの加入を待ってからボコモン先生に会いたかったという事情を加味しても、7話ぐらいに出来なかったのか……いややっぱそれでも遅い気がする。4話のアンゴラモンが説明した内容をなんとか理由つけて2話か3話に前倒しした上で、4話でアンゴラモンにこの内容を説明してもらったほうが……ううむ。

 

なんか、既にご都合主義で動かしすぎてるよーなイメージが漠然とあるんですよ。「今更そんな言い訳を言われても」みたいな気がするんですよね。

さっさと序盤でルールを提示して、その中で動いてるっていうことを分かりやすくしたほうが良かったと思います。

 

『ゴーストゲーム』は公式の説明では『新感覚ミステリー』だそうですが、ミステリーという割には全体的にルールの提示不足だと思います。あんまり推理するような要素はないですよね。推理要素とかを含まない意味で『ミステリー』という言葉を使ってるんですかね?