灰色の本

アニメ他の創作作品の感想とか。更新がある日は、22:00に予約投稿します。

MENU

『デジモンゴーストゲーム』第13話「処刑人」:振り返り感想②

デジモンゴーストゲーム』第13話「処刑人」の感想②です。

 

本当はもっと細かいことにも言及すべきなんでしょうが、

『今回のデジモン殺し事件関連の設定や描き方が全部悪い』

これ以上の言及をする気が起きません。

 

※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです……と言いたかったんですが、「情緒的な話(=本筋)は今は言及する元気がない」と書いてあった+本筋に関係ないどうでもいいツッコミが残されていたぐらいでした。思い出して書きました。

 

 

 

■ガンマモンは別にボコモンに愛情を向けたことはない

ボコモン先生の死が本当にお涙頂戴・ショッキング狙いのもので最低でした。ガンマモンを適当に感情爆発させて、最後に大泣きさせておけば泣けるでしょうという底の浅さが見えて、憤りを覚えます。

 

だって、確かにボコモン先生はガンマモンを心配して可愛がってくれていましたけど、それに対してガンマモン側からボコモン先生に何かを返してあげたいと思ったような描写はないんですよ。

ガンマモンがボコモンに会いたがるような描写もなかったんですよ。

ガンマモンは誰にもそういう感情を向けたことがないのはそうですけどね。

 

確かにガンマモンはボコモンに嬉しそうな顔を向けていました。

今、目の前にいて、チョコをくれるボコモン先生に。

『今、目の前にいないボコモン先生を思い出した』と言うような描写はありませんでした。

ボコモン先生がほぼ毎回チョコをくれるのが裏目に出て、チョコなしでボコモン先生とガンマモンが仲がいいのかは描写されていないんですよ。

 

・ガンマモンとボコモン間の関係が、チョコ餌付けでしか説明されてない。

・ガンマモンの優先順位がチョコ>>>その他であることはひたすら描かれていた。

 

この二つを合わせると、ボコモンが死んでガンマモンが泣いてるのは、

ガンマモンにとって『ボコモン=チョコ(をくれるやつ)』

だからです。

 

 


今までの描写だと『チョコがもらえなくなるから悲しい』にすぎないはずのものなんですよ。なのに、『大切な友人が死んだから悲しい』みたいに演出してる時点でもう腹が立っていました。

こういう流れにしたかったならボコモン先生の初登場が遅いですし、ボコモン先生とガンマモンの友情(または漠然とメインキャラ達との友情でもかまいません)をピックアップして描く回をやってないのが神経を疑います。ボコモン先生、初登場回以外はずっとサブだったじゃないですか。

 

うん、まあ……。

脚本側が『ボコモン先生との友情は十分描いている』という前提で今回の話を描いているのは分かりますよ。その前提がきちんと立っていたなら、ショックと悲しみに包まれる良回だったでしょう。

その前提にひたすら同意できねえ。それだけです。

 

 

◾︎死の意味が分かるんだ?

「え、ガンマモンがここで癇癪大暴れ→大泣きするってことは、死の意味が分かるんだ……?」と思いました。

デジモンなのにデジモンという言葉の意味すら知らないガンマモンでしたが、死の意味は分かるんですね。それとも、細かいことは分かってないけど「ボコモンは二度と帰ってこない」ことぐらいは分かったという話でしょうか。そこまで分かってるなら十分な気がしますね。じゃないと大泣きしないですよね。

 

(先述の通り『そもそも友情度がないのにそんなに大泣きするのはおかしい』と思いますが、仮に真っ当に友情度があったという前提だとして、)

脚本が『ガンマモンが泣く』を選んだなら、そのことには文句はありません。グラスガンマモンに進化させたいというのが今回の脚本の意図なので、ガンマモンが癇癪を起こしてくれないと困りますからね。

ただ、ガンマモンのキャラとの兼ね合いを考えると、

 

・ボコモンの死にショックを受けるヒロ達。

・死の意味が分からず、ボコモンが死んだことも分からないガンマモン。ヒロ達の様子がおかしいのは分かるので、「どうした? お腹痛いのか?」と心配そうに聞く。

・分かっていないガンマモンを見て余計に痛ましい気分になり、「ボコモンはもう帰って来ないんだよ。死んだんだ」と説明して泣き崩れるヒロ。

・なんとなくだが話を理解して泣き始めるガンマモン。

 

などといった流れのほうが悲壮感は出たような気がします。

 

 

◾︎泣くほど仲が良くないから泣かないヒロたち

といってもですね。

ヒロ達も別にボコモン先生と仲良いというほど仲良くないんですよね。ボコモン先生と友情を築く回なんてなかったんですもの。ものすごく良い隣人ではあったんですけど、一般的に言って、友達までは行かない良き隣人の死に泣けますかね。

 

で、実際、ヒロ達って泣かないよね。グルスガンマモン戦の直後でそれどころじゃなかったとは言えますが。

怯えるわけでも無し、泣くでも悲しむでも無し。相変わらず人の心がない人達です。こういう展開をすることが決まっていたなら、最初からこういうときにちゃんと泣けるようなキャラ達にしておくべきだったのではないでしょうか。

 

 

デジモンの1000人キルなんて可能なのか

ところで、今回の話だけで殺人鬼によるホップステップ1000人キル(+別人(ガンマモン)による殺人鬼1人キル)が発生しました。

世界観的な話として、「デジモンが作中舞台近辺で何人ぐらいいる中の1001人殺害なのか」ってことぜんっぜん考えてねえんだろうなあと思いました。

 

100人ならまだ目をつぶるけど1000人て。いや100人でも全然ダメだけどね、100人死んでて呑気にしてるのも十分世紀末だよ。

1000人死んでおいてデジがまだ呑気にしてるあの環境、デジの全体数が軽く一億人ぐらいはいらっしゃいますかね……? 日本の人口規模でも同一犯の事件で1000人死んでるらしいってなったらおおごとだと思うよ?

しかも作中描写からすると、ずっと前からそういう噂があった、という様子ではありませんでした。短期間で1000人もデジモンがばっさばっさ殺されてるみたいなのに、人数少なそうなデジモンコミュニティ、呑気すぎやしませんかね。

 

あと1人で1000人キルって、1日に10人殺しても100日=3カ月以上かかります。

期間的にぎり納得がいくのは1日毎50キル×20日がかりぐらいですが、1日50キルって何のスタイリッシュアクション(G18)をしていらっしゃるんです? まず1日に50デジに遭遇できるんですかね?

 

 

■グルスガンマモン登場。展開を深めていけるか

グルスガンマモンにも一応言及しておきましょうか。

 

グルスガンマモンは今回が初の正式お披露目となります。歴代で言う『暗黒進化』、分かりやすく言うと『悪堕ちフォーム』にあたる進化形態で、性質は邪悪で乱暴者であるやつです。

ガンマモンお前、「空を自由に飛びたいな!」って言ったらグライダー生えてくるし、やっぱ「力が……欲しいか……」「欲しい! あいつに復讐する力をーー俺にくれ!!!」ってしたら力が生えてくるんですね。おまけに知能まで生えたんですけどどういうことだよ。

 

グルスガンマモンが以前に匂わせで登場した時は、いずれもガンマモンがクロックモンから『時間を奪う攻撃』を受けたときでした。そのときに、『ガンマモンのちょっと上にグルスガンマモンの姿が浮かび上がった』のです。

クロックモンに時間を奪われるとあっという間に時間が過ぎ去り、老化します。このとき、老化までの一連の姿がビジュアルとして『被害者のちょっと上に浮かびあがっていました』。

 

ということは、素直に考えれば、グルスガンマモンはガンマモンの未来の姿なのでしょう。アンゴラモン曰く、「デジモンは長い時間をかけて進化するのが普通」。このまま放っておくと、長い時間をかけてガンマモンはグルスガンマモンに進化するのではないでしょうか。

実際、ガンマモンはほっておくとひたすら面白がって破壊行為をします。それだけならまだ「赤ちゃんだから……」と言えなくもないですが、前回第12話で、ザッソーモンに取り憑かれたヒロのスマホを「やな感じ!」と怒り狂って踏み潰して壊したシーンは(ザッソーモンの対処としては正解だったとしても)ガンマモンの破壊衝動を表しているかのような凶暴なシーンでした。彼の成長した姿が凶暴なグルスガンマモンであるというのは特段おかしくはない考えではないかと思います。

 

ということは、妥当に展開するなら、ヒロはこれからガンマモンを『グルスガンマモン以外の姿に進化するように』育てていく、とかそういう方向になっていくんですかね。それともシリーズの基本に従って、いつまでも基本フォームはガンマモンのままなのかな。

とにかく、グルスガンマモンになり得る彼の『衝動性』『暴力性』を押さえていくとか、そんな感じの話になるのではないかと思います。

 

個人的には敢えてこのままグルスガンマモンになってほしいけどな。他のアホなガンマモンに比べて頭良いから会話は成立しそうだし。

……冗談は置いといても、『本来はグルスガンマモンになる』というガンマモンの個性をあまり否定して欲しくないです。

 

『暴力的だが、好き勝手に暴力を振るうことはなんとか抑制する。みずからの暴力性と戦い、なんとか折り合いをつけていく』。そんなグルスガンマモンの姿とそれを支えるヒロという関係を見てみたいです。レッパモン達が「斬りたい」衝動をなんとか誤魔化しつつ折り合いをつけて頑張ってみることをひとまず選んだように。

まあ、そんな期待ができるほど、デジモン公式がデジモンの『個』を尊重した制作を行ってるとは全く思っていませんけど。

 

ところで、ガンマモンが将来的にグルスガンマモンになり得る可能性を知っていたなら、

ヒロにガンマモンを押し付けてきた北斗(ヒロ親父)はほんとカスだと思うよ。