灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第19話「逢魔ガ時」:感想②

デジモンゴーストゲーム』第19話「逢魔ガ時」の感想②です。

今回、分割すると中途半端になるのでちょっと迷ったんですが、やはり長いので記事を分けています。

 

※初見直後に感想を書いていますが、初放送から時間をおいた段階での視聴となっています。

 

 

 

■パートナーの名前を呼ぶというベタネタ王道展開

『パートナーの名前を呼ぶ』というバディものあるあるなネタが解決に導いてくれるのは、ベタですが良かったです。名前を呼べば時空を超えて相棒を呼ぶことができたのがご都合主義だ? こまけえこたあ良いんだよ。普段は細かいことを気にするけど、この展開にあんまり細かいことを突っ込むのは野暮でしょうよ。

 

ただなー、この展開もっと早くやっといたほうが良かったんちゃうかとも思っちゃう。

 

1クール中ぐらいの序盤にこの回をやって、「もうパートナーとここまで仲良くなってるんだよorこの回で仲良くなったんだよ」ってことをさっさと見せつけておけば良かったんですよ!

VS

いーや! もうパートナーと仲良くなってるから名前を呼ぶシーンが映えるに決まってるだろ! このタイミングでこの回をやるのは全然間違ってねえ!

 

俺の中で、上の2人がくんずほぐれつの大喧嘩してます。うーん、個人的にはどちらとも決め難いですね。

 

それとは別問題として、1クールまでのメインメンバーは(先輩&ジェリーモンが例外ぽかったですが)名前なり愛称なりを呼び合う機会自体がやたら少なかった気がします。最近緩和して呼び始めてる印象があるので、このままお互いを呼ぶ機会が増えていってほしいですね。ツンケン系のバディならともかく、仲良しバディものならお互いの名前を呼んでなんぼですよ。

 

……書いてたらどうでも良いことに気づいちゃったけど、ルリ、最初期に先輩をひがっちキヨっちと勝手に呼んでから、そもそも先輩を呼んでるシーンが(ほぼ?)なかったよーな……。今ルリは先輩のことをなんて呼んでるんでしょうね。ガンマモンが「キヨ」呼びしてるのがルリからうつったせいと考えれば、キヨっち呼びなんでしょうか?

 

 

■2連続で『デウスエクスマキナ』みたいな終わりは……

オチ、『ゴーストゲーム』の中でもトップクラスの尻切れトンボだなーと思いました。トップとは言いませんがトップクラスです。消化不良で良くないです。

しかもピッコロモンが改心しないまま友達になってくるのでムカつきます。お前なんかドノツラフレンズだよ。

 

なんか、別に誰かに介入されたわけでもないのにデウスエクスマキナくさい終わり方なんですよね。前回、キャプテンフックモンがいきなり出てきていきなりピーターモンを回収して強制終了したときのようなモヤっと感がありました。

あーそうか。『過去のガンマモン』『未来のガンマモン』がデウスエクスマキナ役(脈絡なく突然介入して無理矢理話を終わらせる上位存在)なのか。デウスエクスマキナが発生しているにも関わらず、そのデウスエクスマキナシーンが視聴者に見えてないっていう造りなんですね。

 

 

■ずっと調査をしない、ずっと怠惰

この展開、露骨にガンマモン関連設定の匂わせで、萎えますね……。個人的には萎えました。いかにも「ここに謎があるんですよ~! 面白いでしょ~?」と制作スタッフがちらちらさせてるようで寒いです。そのくせ大した情報量はないっていう。

結局ヒロ達(というか、ガンマモン・アンゴラモン・ジェリーモン達)ではピッコロモンに成すすべがなかったってことですよね。詰んでたんですよね。なのに怯えるでもなく、実際ピッコロモンは過去ガンマモンに勝手にぼこぼこにされて帰ってきたので怯える必要もなく終了って。すげー肩透かしです。

いやうん、そこをこってり描く必要はないのかもしれませんけど……。『5秒後ピッコロモンは勝手にボコられて帰ってくるのでもう心配はないです』って、そんなことが分かってるのは脚本側(メタ目線)だけですよ。そんなこと知る由もないヒロ達はもっと慌てなきゃいけなかったんじゃないですかね。

 

あとさあ、ヒロ達は次の回で、ピッコロモンを踏んづかまえて『何を見たのか』吐かせるべきです。ガンマモン本人にも改めて過去の話の聞き取りをすべきです。グルスガンマモン問題の対策のため、情報はいくらでもほしいでしょ?

でもどうせそんなことしないんだろうなあ……友達になったっぴ☆ とか言いながら、再登場しないんだろうなあピッコロモン。仮に再登場しても、第13話「処刑人」のときのクロックモンみたいなほぼモブに近いぐらいの役割なんだろうなあ。

 

取れる情報量を取りに行かないから、今回の匂わせが寒いんですよ。

『ゴーストゲーム』は相手となる敵デジモンについてや、デジモンという種族についてや、デジタルワールドの仕組みなど、情報が重要となるシナリオです。父探しのためにデジタルワールドの情報を集めることが一応の目標でもありますし(個人的にはその『父探し』って動機がずっと同意できないんですが……)、格上であることが多い害獣デジモンの攻撃を止めさせるにはそのデジモンの情報を得てなんとか和解なり停戦状態なりに持ち込むのが重要になってきます。

それなのになんか積極的に情報を集めてるイメージが全くねえ。毎回場当たり的です。

まあその回の敵デジモンについて事前に調査するのは難しいため、毎回アンゴラモン先生の解説や敵デジモン自身の発言に情報を頼りがちになるのは仕方ないかもしれません。

でも、長期的な調査が必要な『デジタルワールドの情報』についてもろくに調査をしている印象がありません。せっかくボコモン先生が登場してしかも近くに引っ越してきてくれるという最高の機会が転がり込んできたときも、ヒロが毎日ボコモン先生に教えを請いに行っていたとか、そんな描写はありませんでした。

グルスガンマモン進化という危機的事態が発生しても、その進化を抑えるためのヒントになる情報を探ろうとはしません。そもそもメンバー間でグルスガンマモンについてよく話し合うことすらしません。

情報を求めることもなくだらだらと話数だけが進んでいくんです。今回のピッコロモンは絶対有用な情報を持ってるのに、どうせよく聞き出してみようとはしないんですよね? 今までの『ろくに調査をしてない』印象があるから、今回のにおわせが寒いんです。

 

 

■ガンマモンの未来ではなく、過去がグルスガンマモンだったのか?

一応真面目に、ガンマモンについて、現段階での自分の考えをメモしておきますね。

ピッコロモンをボコった過去ガンマモンがグルスガンマモンだとすると、素直に考えればクロックモンの技でグルスガンマモンの姿が見えたことと矛盾するんですよ。

クロックモンの技は時間を奪い、老化させる性質のものです。つまり、ガンマモンの成長した未来の姿がグルスガンマモンであるはずなんです。グルスガンマモンはガンマモンの進化後の形態(のひとつ)なのですから、ガンマモンから成長してグルスガンマモンになるというのはおかしくないですよね。

なのに、過去のガンマモンがグルスガンマモン(のように聞こえる、強い存在)である? しかも未来のガンマモンとはどうもそれともまた違う、ピッコロモンの尊敬を一発で集めるような姿である? 素直に考えれば、矛盾しています。

 

ただ、こう整理すれば、ある程度筋は通る気がします。

 

過去のガンマモン=闇堕ちグルスガンマモン。

成長後のガンマモン=闇堕ちグルスガンマモン。

未来のガンマモン=光堕ちガンマモン(仮)。

成長後のガンマモン≠(ピッコロモンが見に行った時点での)未来ガンマモン(光堕ちガンマモン)。

 

仮説。ガンマモンはもともとグルスガンマモンまで進化していたが、別の進化ルート(光堕ちガンマモンルート)を辿るために退化させられている。つまり、下記のような経緯を辿っている。

 

①ガンマモン。元々の状態。

②グルスガンマモンに進化。

③ガンマモンに退化。(ヒロ達と今一緒にいるガンマモンはこれ)

④光堕ちガンマモン(仮)に将来的に進化。(ピッコロモンが見に行ったのはこれ)

 

多分、こんなかんじの複雑な経緯なんじゃないでしょうか。

 

で、③に退化したあとにガンマモンはヒロと出会っているわけですが、何故ガンマモンはヒロに出会ったんでしたっけ。

北斗がヒロに押し付けた。

北斗がグルスガンマモンの脅威を知って、何らかの手段で退化させてからヒロに押し付けたという可能性は十分考えられるのではないでしょうか。北斗はグルスガンマモンの危険性を分かって、手を講じていたのです。

 

うん、それはそれとして、やっぱ何も知らないヒロに押し付けてるのはカスだな。

 

 

■そのほか

・勝手に誘拐した挙句に「お礼はあとで良いっぴよ」と言い出すピッコロモン、まじで害獣です。普段なら自分は「害獣だから好き」とか言い始めるんですが、今回は改心せずに友達になろうとしやがるエンドなので許してないぞ、許してない。このドノツラフレンズめ。仮に再登場してもドノツラフレンズって呼んでやるからな。

 

・ピッコロモンがヒロ達を飛ばしたのは過去の時代であるっぽいですけど、真っ黒な人影が歩いている様子は明らかに『ただの過去の世界』じゃないですよね。ピッコロモンの能力がよく分かりません。

 

・「もうあっちに(ヒロとルリが)馴染んでるころだっぴ」ピッコロモンの台詞。直前に飛ばされたヒロとルリが『馴染んでる』のなら、それより前に飛ばされたモブ人間たちはみんな『馴染んだあと』つまり死んでる気がするんですが……。帰ってきたのは『影』のほうなのでは?

 

(ベテルガンマモンに進化したのを見て)「それじゃ飛べないさ!」「大丈夫やれる!」

これ、なんだったんでしょう? 進化のランダム出目で失敗したんですかね? その割にはベテルガンマモンは自信満々ですし……。ベテルガンマモンのソルショット+テスラジェリーモンのパニッシューネの合体技で勝利したので、結果的にはベテルガンマモン進化で良かったわけですが……。

 

アンゴラモンは初進化が遅かったのに、ルリがいないから進化できない回が続いていて出番が少ないですね……。今回もジンバーアンゴラモンに進化こそしたものの、そのときには既に戦闘が実質終了していました。しょんぼり。

 

「こいつ(デジヴァイス)はもういいって感じ?」テスラジェリーモンが清司郎の腕を取るシーン。

ほんと、こういうさりげない描写で先輩&ジェリーモン組は仲良しぶりを見せつけますね。やっぱ作画班(絵コンテ班?)に先輩&ジェリーモン好きがいると思う、脚本にはそんなに恵まれてない気がするのにこういう脇の描写にずっと恵まれている。

ジェリーモンはピッコロモンに「デジヴァイスのことはもうどうでもいいのか」って聞きたいだけなのは分かってますよ。でも指さすだけだって良いし、「デジヴァイス」とか「腕輪」って言ってもいいじゃないですか。そこを、わざわざ、先輩の手を取るんですよ。ほんと仲良しを見せつけてくるよな。ずっといちゃいちゃしててくれ。

 

「なら俺達を元の時間に戻してくれ! おまえが今まで飛ばした、他の人たちも一緒にだぞ!」異界から元に戻る前のベテルガンマモンの言葉。

偉いぞ、ベテルガンマモンに進化してるとは言えど、知能が生えてる。知能が生えてきた。成長しましたね。『はじめてのおつかい』ってそういう方向の成長を見る趣旨でしたっけ……?