灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第18話「子供ノ国」:感想②

デジモンゴーストゲーム』第18話「子供ノ国」の感想②です。

 

例によって、長いので記事を二つに分割しています。

今回のメインテーマである「成長(子供のままであるべきだ←→大人になりたい)」を感想記事①で、その他の細かい話を②で書いています。


※初見直後に感想を書いていますが、初放送から時間をおいた段階での視聴となっています。

 

 

 

■先輩、お前まで犯罪をするな

先輩、お前までノリノリで犯罪しちゃダメだよお。泣くぞ。

 

先輩が今まで犯罪行為に関わらなかったわけではありません。

初担当回(第5話「神ノ怒リ」)からして大規模ハッキングでバーチャルお守りを作ったせいで騒動になっていますし、第7話「鳥」でもカラオケ店にハッキングをしかけました。第8話「百鬼夜行」では結局はジェリーモンと一緒にゴーカートを盗んだと言っていいでしょう。

 

ただ、先輩の犯罪行為は、その全てが『必要に駆られてのもの』または『周りに強制的にやらされたもの』でした。先輩自身が犯罪行為に乗り気だったわけではなかったのです。

確かにそこで毅然と断れなかったのは悪いかもしれませんし、他の手段でなんとか代替しなかったのも悪いかもしれません。でも、そこまでの強さを万人に求められるか? と言えばNOだと思います。

 

そもそも彼は、「電車に乗っているから電話には出ない。マナーは守らなきゃ」と考えるような人なんですよ。マンガチックなミラクル天才かもしれませんが、基本的には小市民で、善人です。

 

それが、アニメに影響された&調査に必要だったからって、「帰ってください」と断られているのにジェリーモンの力を借りて無理矢理鍵を開けて上がり込むだなんて、そんなのあんまりでしょう。

通報されても仕方ないですよ。「警察呼びますよ」とまで明確に警告されている(しかも該当のシーンは会話の途中から始まっているので、それ以前に重ねて「帰れ」と警告されていると思われる)んですから、通報されたら不退去罪で一発で負ける可能性が高いですよ。

 

法律の話まで行かなくても、

 

・子供が失踪したばかりの家に(※実際にはカズマの母親本人は記憶を操作されており自覚がない)

・怪しいコスプレ姿で訪問して

・鍵を閉めていたはずなのにいきなりドアを開けて入ってくる

 

なんて、それ自体が恐怖を煽るのだということぐらい、やる前に分かってほしかったです。(恐怖を含めた)人間らしい感情を作中で一番持っている、清司郎先輩には。

 

『ゴーストゲーム』は、事件の導入や解決を安直に犯罪行為に頼る傾向があります。

今回は確かに、カズマ母はカズマの記憶を消されているので、カズマの失踪のことで訪問されても家にあげるはずがない状況でした。その設定を優先すると、家にあがっての調査が困難になるというのはそのとおりです。

 

でもだからってそこでいきなり解決方法を犯罪に頼るんですか? もう少し何か方法を考えられなかったんでしょうか? 多少ご都合主義的でも構わないです。何故、普段のご都合主義が『メインメンバーに犯罪をさせない』ためには働かないんですか?

 

 

■「何に進化するか分かんない」←そうなの?

ヒロの「何に進化するか分かんないし」発言はやっぱりモニョりました。

うん……確かに一貫してそれっぽい設定で進んでるんですけど、いつそれが説明されたかよく分かんないんですよね。

さりげないセリフに説明を兼ねさせてるって意図なんだと思いますけど、その説明セリフの出し方が、「既にその情報は視聴者も知っていて、前提になっている。これはそのおさらいのための台詞である」みたいに聞こえるというか……

 

その設定をやりたいなら、『空を飛ぶ能力が必要だったからカウスガンマモンに進化するつもりだったのに、何故かベテルガンマモンになってしまって役に立たなかった』みたいな回が必要だったと思います。

カウスやウェズンの登場回を前倒ししていれば、そういう回をやる尺はあった(既存の回にその役割を兼ねさせることは可能だった)と思います。

 

 

■キモい以外はナイス害獣なピーターモンさん

ひたすらキモいピーターモンですが、勝手に自分の脳内で『約束』を作り出して、相手が同意してもいないその約束を破ったと言って襲い掛かってくる害獣っぷりは好きです。

そこだけ見るとモラハラマンみたいですよね。現実に学校の同じグループとか職場の同じチームにいると胃をイわしますが、

 

『今作のデジモンは害獣である』

『だからこのデジモンの害獣描写は故意なのである』

 

という前提に立って、視聴者として安全に見ている分には好きです。

まあ、「顔の形が変わるまでぶん殴られて蹂躙されて、自分のやらかした加害の罪の大きさを死ぬほど後悔してほしい」ほうの『好き』ですが。

 

顔の形が変わるまでぶん殴られて蹂躙されて、自分のやらかした加害の罪の大きさを死ぬほど後悔してほしかったなあぁ。

結局謝りもせず、いきなり出てきたキャプテンフックモンさんに救済されて去っていったんだよなあ。

 

でもピーターモンさん、「操られた子供のことは攻撃しづらいだろう」と子供を利用して敵の攻撃を封じるのは、貴方が言うところの臭い大人がやることですよ。

 

 

■『架け橋』はカズマ君とオルカモン達なのではないか

あんまりにさらっとやってるので一回目はさらっと流しちゃってましたけど、感想書きながら気づきました。

 

人間の子どもとデジモンが仲良くなってる。仲良くなってる!? マジで!?

 

いや、そりゃ、有り得るけど。

ヒロ達の物語が始まる前からヒロ達とは無関係に社会にホログラムゴースト=デジモンはちょこちょこ湧くようになってたんだから、ヒロ達と無関係なところで『子供とデジモンが仲良くなったケース』がとっくに発生してましたというのは有り得る話だけど。

 

なんでそれを、アニメで見せてくれないの? 1話か2話ぐらい使って描いてくれないの?

更には、これは個人的好みとか作品方針によるかもしれないけど、なんで『ヒロ達の協力で丸く収まって、人間の子供とデジモンは仲良くなることができました』にしなかったんだろう。

 

いや……これだと、ボコモン先生の言ってた「ヒロ達は人間とデジモンの架け橋になるかもしれんじゃい~」みたいなセリフは、ヒロ達よりもカズマ君&ホークモン達(オルカモン達)のほうが相応しい気がしてくるんですけど。

だってカズマ君達は、デジヴァイス無しの、自分達の心だけで友達になってるんですよ? 

カズマ君を守りたい心だけでオルカモン達は進化したんですよ。

 

それをヒロ達の絆より弱い(ヒロ達のほうが特別で、デジモンと人間の架け橋になり得る)って、どうして言えるんですか?

 

逆の言い方をすれば。

カズマ君&オルカモン達の友情を、きちんと説得力を持ってヒロ達は超えられるでしょうか。

 

 

■そのほか

・すみません、今回も「じゃあ俺達って記憶消されてるってこと……?」と脅えたり頭痛に苦しむヒロ達の表情が良かったんですが、今回はほんとピーターモンがキモすぎて印象に残りませんでした。記憶が消されてて「こんな子知らない!」と狂乱して言っている家族の描写も怖くてホラーらしくて良いんですが、最後まで見終わるととにかくとにかくピーターモンがキモいってことが印象に残りすぎて……

ただ、冷静に思い返すと、表情はほんと良いです。これで16話から3話連続で恐怖の表情の描写が優れていると思います。16話から方針変わったんですかね? このまま続いてくれると嬉しいです。

 

・ルンバガンマモン、可愛い(笑)。

ルンバガンマモンのシーンは2回ありますが、二回ともヒロが穏やかな表情をガンマモンに向けていて、ほのぼのとですが絆を感じられます。もっと早くからこれをやってくれ。

 

・細かいとこですが、今回の敵デジモン(ピーターモン)が人間もデジモンも無差別に狙っているのは良かったと思います。ピーターモンの目的に照らしてもそれで正しいと思います。

また、今まで『デジモンは容赦なく死ぬor死の危険に晒されるけど、人間は謎の鉄壁の脚本の意志で何故か死なない』が多かったので、デジモンと人間が無差別に対等に狙われていて逆に安心しました

 

スマホで状況を撮影し、翌日の自分にメッセージを残していたルリと、その行動をアドバイスしたと思われるアンゴラモンは賢い! 良いですね!

 

・なんでメインメンバーが仲間として行動し始めたのかは未だに納得できないんですが、みんなで集まってルリのスマホ映像を見ているシーンを見てると、メインメンバーが仲間として行動していることはもう理解できるなあと思いました。みんな、仲良くなりましたよね。いつ仲良くなったのかはよく分かりませんが。

 

・あの状況から「中から合言葉を言わないと開けてもらえない」=「中から合言葉を言うだけで開くから、中にオトリ(ガンマモン)を送り込んで合言葉を言わせれば良い」とまで判断したのはちょっと微妙に腑に落ちないんですが、まあ重箱の隅をつつく話ですね。

 

・テスラジェリーモン様に髪触手で画面外から引っぱって画面内に連れてこられる先輩の描写、とても好き

引っぱるテスラジェリーモンも好きだし、引っぱられてる最中は不服そうなコメディ表情をしていても特に文句も言わずにすぐに戦闘に参加して「フィサリスト!」と指示出しをする先輩も好き。

いやあほんと先輩とジェリーモンはこういうさりげない描写に恵まれてますね。脚本の人達は先輩を軽んじて良いと思ってても、作画(絵コンテ?)を描く人達は先輩&ジェリーモンを気に入っているのかもしれません。

 

ホークモン(鳥)がオルカモン(イルカ)になるの納得がいかねええ(笑)。種族も色も何もかも違うだろ。

デジモンの進化形態が案外かけ離れてることがあるのはデジモンにわかでもぼんやりとは知ってます、知ってますけど、納得が行かねえ! 気になって集中力が切れる!(笑)

でもオルカモンのイルカっぽい高周波みたいな技で子供たちの操りを解くのは良かったですね。多分、この技を使わせたいからオルカモンを採用→その進化前形態としてホークモンを採用って流れで役を決めたんでしょうね。

 

・キャプテンフックモンが出てきてピーターモンを回収して強制終了エンド、議論は尻切れトンボで終わりというのは出来が悪いなあと思います。

ですが、ピーターモン(ピーターパン)側がキャプテンフックモン(キャプテンフック)側に惹かれ、救われて終わるという意味では意外性があって良かったです。

 

・ところで、自分はデジモンにわかなんですけど、ピーターモンにしろキャプテンフックモンにしろ容姿が人間ぽすぎてびっくりしました。ピーターモンは顔の半分を隠しているのでまだしも、キャプテンフックモンは顔が全部露出しています。

人間型デジモンは顔の一部~全部を隠しているか、顔かどこかに『明らかに人間じゃないパーツ』を含んでるもんなんだと勝手に思っていました。

あんまりそこに意味はないとは思いますけど、人間型のデジモンと、デジタルワールドに入ってデータ化した人間の違いって何なんでしょうね? 人間型デジモンと、デジタルワールドに入って旅をしている北斗(ヒロ親父)の違いって何かあるんでしょうか。

 

・最後のヒロとルリの会話。

>「俺、あいつとの約束守れるかな」

>「いいのよ、守る気持ちがあればね」

良いセリフです。ルリの台詞が優しい。ルリが今までやらかしてきたことを気にしないようにすれば、ですが。ルリのテンションで「守る気持ちがありゃあそれで良いんだよ!」してたらピーターモンがブチギレて襲いに来そう

ルリ、最近なんか大人しくなってる(初期の害獣っぷりが息をひそめてる)ような気がしなくはないんですけど、かと言って印象を払拭するほどでもないので厳しいですね。

息をひそめてるったって、第15話「占イノ館」ではやっぱり自分から怪異に首突っ込みに行ったしなあ。大人しかったのはこの3話分ぐらいですかね。いや待て、第16話「人喰ノ森」では堂々と仲間(ヒロ)のプライバシー侵害やってたなあ。すいません、この2話大人しかっただけでした。