灰色の本

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『デリシャスパーティ♡プリキュア』第3話「コメコメのおつかい! まいごで大騒動!!」:感想

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第3話「コメコメのおつかい! まいごで大騒動!!」の感想です。

 

※リアルタイムより遅れて視聴していますが、初見状態で執筆しています。

 

 

 

■多くの要素を並行で進める手堅い脚本

今回は妖精枠であるコメコメの深掘りがメインです。

コメコメを中心に描きながら、その一方で新キャラ・パムパムを紹介し、プリキュアになる前のここねを描き、ここね-パムパムの初邂逅も描いています。

たくさんの要素を無駄なく、しかし無理なく1話に入れています。手堅い脚本だなと思いました。情報量は多いのにくどくなくて、後味はあっさりさっぱりとしているのに満足感が高かったです。

 

 

■サブキャラを固める描写が良し

ローズマリーの描写(とローズマリーが隣に住むなどの土台設定の整え)に振った前回に続いて、今度はコメコメ回。新規仲間回収回ではなかったので驚きました。

 

サブキャラを先に固める判断が良いのかどうかまでは自分にはよく分かりません。しかし、先のことや物語全体のバランスはひとまず考えないことにして、第3話単体で見ると良く描けていたと思います。

未熟だけど褒められたくて頑張るコメコメは健気で可愛らしかったです。戦闘という意味ではちょっと存在価値がまだ分かってないんですが、マスコットとしては可愛い良い子で良いですね。

ただ、ちょっと気になるのは、赤ちゃん形態になれるという設定の意味がよく分かりません。マスコット形態のコメコメと人間赤ちゃん形態のコメコメで、できることが変わらない気がするんですよね。どちらの形態も喋れないし、現段階では何か不思議な力を使えるわけでもないですし。おもちゃを売るためと言ってしまえばそれで終わりなのでしょうけどね。かわいいし。

 

それに対してパムパムは(コメコメと同じで喋れないのかと思っていたら)突然流暢に喋り出して、しかも自信にあふれたナルシスト系のやな奴。かと思ったら、最後まで見ると別に他者をないがしろにするような子でもなくてほんとにポジティブに自信があるタイプなだけの良い子でした。

ローズマリーもバランスをどこで取るか検討した結果あのキャラになってるんだろうなと思ってるんですが、パムパムもそうなんでしょうね。バランスをどこで取るか検討した結果、「このバランスなら見てて不快にならないだろう」と思ってこのキャラにしてるんだと思いました。とりあえず今のところは、今作のそのバランス感覚は支持しています。

 

 

■『引っ込み思案系主人公』にも似た女の子、ここね

プリキュアのここねは、思ったより内気・引っ込み思案系統のキャラでしたね。キャラビジュアルから勝手に、クール系寄りの理知的な大人っぽい子だと思っていました。喋り方の感じからして喋り下手でもありそうです(今回だけなら、ぎりぎり『人見知り』+『明らかに普通の存在ではないコメコメやキュアプレシャスを見て混乱していた』で収まりそうな範囲でもありますが)。

 

親が不在がちで家では一人で食事を摂っているという描写もあったので、寂しがり屋設定もつくかもしれませんし、親との確執ネタをやる回もあるかもしれません。浅く撫でて終わるだけの親子確執ネタは個人的には食傷なので、がっつりやる気じゃなければやらないでほしいかなとは思いますが。かと言って、がっつりやってしまうと今作の作風に合わないと思うので、あっさり割り切って流してくれたほうがありがたいなあ。あくまで個人的にはですが。

「一人で食事を摂っている」という描写をしてしまった以上、今作の主題と照らし合わせると「みんなで食べると美味しいね!」という流れの回を入れるのが一つのノルマになるのでしょうが、その「みんなで食べると美味しいね!」の主張が押しつけがましくないと良いな、というのが個人的な希望です。一人で食い倒れ紀行して写真撮ってるランランちゃん、自己肯定的で自立してて好きなので。

 

初回としては、感触はとても良かったです。決して派手な筋ではありませんが、引っ込み思案ながらも優しい彼女の性格が無理なく優しい筆致で描かれていました。

今作の主人公はゆい/キュアプレシャスでしょうが、キュアプレシャスに抱かれて空を飛んでいるここねの姿は、プリキュアではない別作品の『主人公』のように見えました。引っ込み思案で地味寄りの女の子が先輩魔法少女に憧れて、自分も魔法の力を手に入れて変わっていくタイプの物語の『主人公』です。これからプリキュアになるここねにも、良い変化が訪れると良いですね。

 

 

■そのほか

・たくさん他のことをしていた回なので仕方ないのかもしれませんが、ゆいとローズマリーが空気なのはあんまりよろしくないです。特に、主人公のゆいが第2話第3話と続けて空気なのはちょっとしょっぱいなあと思ってしまいました。

ゆい、第2話ではローズマリーとしっかり絆を築いて、第3話ではここねを抱いて先輩魔法少女的に空を飛んでと、やることはやっているはずなんですよ。でも何故か全体的な印象としては「第2話も第3話も空気」でした。しょっぱい。

 

・戦闘は良かったです。コミカルな戦闘、という作品方向性がちゃんと固まってるみたいですね。

『コミカル』が一種のノルマだから逆になのかもしれませんが、ギミックが凝っていて良かったです。「真っ向勝負ではダメ」という流れで、寸胴鍋の形をした敵の中に飛び込んで攻撃が届かない場所から殴り続ける→敵も身体を回転して抵抗する、という展開はどちらも「おお、そう来るか」意表を突かれました。映像から展開がちょっと分かりづらいところがあったのが玉にキズかな。

第1話第2話から見てゆいは盲点になるところは盲点になったまま突撃してしまうタイプのようですが、頭が悪い子ではないのは好感が持てます。頭が悪くなくて判断力が高いからこそ、自分勝手な行動をして問題になることが少ない→大きな問題になってこなかったから自分勝手さが温存されちゃってるタイプの子かな。まあ、基本的に善意方向オンリーに突っ走る子なんでしょうし、まだ年齢も中学二年生ですしね。