灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第17話「極寒地獄」:感想②

デジモンゴーストゲーム』第17話「極寒地獄」の感想②です。

例によって、長いので記事を二つに分割しています。今回は主だったこと(最初に強く感じたこと)を①で、その他の細かい話を②で書くという構成にしています。

 

 

※初見直後に感想を書いていますが、初放送から時間をおいた段階での視聴となっています。

 

 

 

■仲良し描写が光り続ける先輩&ジェリーモンコンビ

「早く浴衣着るさ~」とか言いながらプログラムメンテをする先輩の視界を邪魔するジェリーモンと、もはや動じずにプログラムメンテを続ける先輩のコンビがクソほど可愛い(笑)。

この二人はほんと仲が良いですね。二人のエピソード専用回はそれほど無い気がする(初担当回の第5話「神ノ怒リ」と初進化回の第10話「死ノ遊戯」ぐらい?)んですけど、脇のさりげない描写でちょっとずつ仲が進行していっているので、「いつの間に仲良くなったの?」という疑問は沸きません。「いつの間にか仲良くなってるよね、良いね」です。

 

ジェリーモンは分析屋なところがあって、清司郎のこともただダーリンと妄信突撃するんじゃなくて良く見て言語化しています。

>「自分が安全なところにいると強気になるさあ。今日のダーリンはやけに強気さ!」

ジェリーモンによる清司郎評。いやー、ほんとこいつら、見てるだけでおもしれえ(笑)

 

ジェリーモンは元々がクズ害獣で、先輩に故意に過度な迷惑をかけ続けるというドマイナスからのスタートなんですよ。だからこそ、

>「その赤いスイッチを押してください……」

>「これえ?(清司郎の要求に反発せず従う)」

これだけで何故か株がちょっとあがるので強いですね。

いやマイナスからのスタート過ぎるのは悪いんですけど、悪いはずなんですけど、結果的に『仲良くなった』ことが強調されるというか。

 

 

三者三様のさりげない頭の良さ

疑似デジタルワールド化で砂漠を出すことで場の気温を上げようとする試みは良かったです。久々にヒロが機転が利くところが見れました。結果的には効果が無かったのが残念。

機転とは少し違うかもしれませんが、「駆けつけても間に合わないから、ルリの現在位置をセンサーで把握して隔壁閉鎖で支援。同時に温度センサーもチェックして、まだ凍っていないブロックに誘導して逃がす」という先輩の行動も有能で良かったです。

ルリも脱出した直後にさっさとかまくら掘って体温回復に努めるのは頭良くて良かった。今回は三人ともそれぞれ頭が良かったですね。それがどのぐらい実際に効果があったかはばらついていますが……

 

 

■人間が技名を言わないとデジモンは技を使えないのかどうかが不明

寒さで技名が言えないヒロという描写は良かったですが、『人間が技名を言わないとデジモンは技が使えない』というはっきりした説明は今までにないので、『技が出せない→このまま戦っても勝てないので逃走』という流れがばしっと決まらないですね。

むしろ『グルスガンマモンはヒロが技名を言わなくても自分で勝手に技を使った』のほうは描写してしまっているんですよね。グルスガンマモンのほうがいろいろ例外っぽいんだろうなーとは察せるものの。

 

『ゴーストゲーム』はこういう、情報の流し方の順番が良くないです。基本ルールをはっきり説明せずに、先に応用ルールや例外ルールのほうを説明する描写を入れてしまう傾向にあると思います。まあ多分、説明してないというか、『制作スタッフは説明した気になっている』んだと思いますが。実際、そういうルールなんだろうなと視聴者側で善意の補完ができないほどではないんですよね……。

 

『ゴーストゲーム』のこういうところは、人によってはオートで善意補完が働いてしまって違和感なく見れるのかもしれないとは思います。

ただ、自分は「いや、そりゃあこっちで補完できなくはないけど、はっきり説明はされてないけど?」と思ってしまっていちいちスッ転ぶ。それだけだと思います。

 

 

■今週のびっくりどっきり害獣・フロゾモン

フロゾモン、めちゃくちゃに害獣で笑う。害獣オブ害獣、なんなら前回第16話のジュレイモン(年輪のためなら人を食うぞガハハ)より害獣かもしれません。

除雪に命を賭けるが、その除雪行為で人間が死のうと建物が壊れようとどうでも良いってなんだよ。「止めろ!」って言われたらムキになって更に突き進むってなんだよ。最悪にクズ害獣で笑うわ。

 

>「俺達を凍えさせるような攻撃をする奴が、『ヒートソード』だと!?」

>「除雪用だァ!」

このやりとりもクズ害獣すぎて爆笑しました。フロゾモン本人にとっては一貫してるんですよね。

急に知能が上がって解説役に回ってるベテルガンマモンにも笑うわ、ジョジョに出てくる戦闘の解説実況役のキャラじゃねえんだぞ。すげー好き。


フロゾモンは、たまたまルリが「私達の仲間も助けて!」って言ったからヒロ達を『救助対象』と認識したけど、そうじゃなきゃヒロ達が死んでも構わない、むしろ邪魔者なので積極的に殺しに行くっていう挙動なんですよね。どういう理屈だよ。ポンコツロボットかよ。マシーン型ってことはほんとにポンコツロボットだな。オッケーグーグル、こいつにロボット三原則のプログラムを突っ込んでくれ。

 

こいつある意味ジュレイモンとかフェレスモンとかよりも生かしといちゃ駄目だぞ。あいつらは『人間を襲って目的を達成する』ために分かってて人間襲ってるけど、こいつ直進したいだけだから何回でも繰り返すぞ。反省してないし。

あーーーー、クソ害獣すぎて好き。そうですよね、今作のデジモンはこういう連中です。こういう連中だという世界観です。世界観に沿ってクズで好き。ホログラムゴースト状態(=集中すれば壁抜けが可能)なのに、直進したいからわざわざ壁突き破ってくるクソバカ害獣っぷり好き。

 

これほんとに素直に感心してるんですけど、よくもまあこんなに毎回毎回『今週のびっくりどっきり害獣』を出せるなあ!?

倫理観イカれたキャラを出すのって、倫理観がそこそこ普通のキャラを描くより何倍も難しいと思うんですけどねえ。しかも『ゴーストゲーム』では毎回『新キャラ(ゲストキャラ)』でぽんぽん出すんですよ。倫理観がイカれたキャラを毎回毎回新しくキャラメイクしてるんですよ。すげえわ。

 

 

■モブデジモンも害獣っぷりが光る

無邪気にフロゾモンを支持して「邪魔になるものは全力で排除!」と笑顔で持ちあげてるモブデジモン達も可愛い顔してだいぶ害獣です。

フロゾモンが「邪魔になるものは全力で排除!」をした結果、目の前で「ようやく助かった」と死にそうな顔で言ってるヒロ達がどんな目に遭っていたかという考えが全く回らないらしいですね。

いやあ、ほんとデジモンだわ。(※今作の場合、『デジモン』という単語はもはや罵倒文句にすることが可能です)

 

 

■そのほか

・身も蓋もへったくれもないことを言うと。今回が良かったのはルリ(とジェリーモン)がかっこよかったからですが、見やすかったのはルリの害獣っぷりが大人しめだったからです。害獣っぽいムカつく挙動をしていないわけではないけど今回だいぶ大人しかったし、共感できるところや頭良いなと思えるところがあったから見やすかったんだと思います。

 

・冒頭「誰のせいでこんなことになったんだ」と振っておいてやっぱ先輩のせいだったというオチ、まーた制作スタッフが「先輩をいじっておけば良い」と思ってやがるなと思いました。先輩いじりが不快なだけでなく、「どうせここでわざわざスタッフが言うってことは先輩のせいなんだろ」と安直で先が読めてつまらないです。普段の害獣行為はルリのほうが多いんですけどね。作中で大してあの場面が重要だったわけでもないし、冒頭まるごといらんかった。

 

地熱発電所のコントロールルームを目をきらきらさせて見学して、先輩を尊敬した目で見るヒロ。いやあ良いですねえ、表情豊かで爽やかな良い子、良いヤツです。良いヤツすぎて誰だてめえ。今までのヒロをこのヒロとチェンジしてくれ。

 

地熱発電って環境に優しいエネルギーだって聞い(たけど……)」というアンゴラモンのセリフにかぶせて嬉しそうに説明する先輩、めんどくさくてうぜえ(笑)。相変わらず良いキャラしてます。生き生きしてる。

 

「キヨシロウはやっぱりキヨシロウだな」ガンマモンの台詞。あーあー……悪い保護者(ヒロ)の影響受けて先輩を軽んじるようになっちゃって……。ガンマモンお前さあ、お前がディスってるそいつ、託児所で赤ちゃんのお前を無料でお世話してくれてる奴だぞ?

あの状況で先輩が「今すぐやめろ」と勧告するのはまあまあ仕方ないでしょ。対話するんじゃなくて「やめろ」とだけ連呼したのは迂闊だったかもしれないけどさ。ていうかそんな言い方するなら、その場にいたガンマモンが先輩の「やめろ」連呼を止めろよ。

 

・カメラ越しにぎろりと見るフロゾモンのシーンは、もうちょっと怖い演出でも良かったかも。

>「俺の邪魔をしてる奴らは……そこか!」

フロゾモンはこのセリフを言う前にカメラを見ているんですが、敢えて遅らせて「そこか!」のところでこちらを見たほうがもっと良くなるかなと思いました。

 

デジモン達も、人間達の世界(物理世界)上での寒い暑いとかの感覚があるんですね。非実体状態でも暑さ寒さの影響を受けるんでしょうか?

 

・ヒロは「直進どうぞ!(良い声)」じゃねえんだよ。人に迷惑がかかるところは迂回させろよ。死人出そうになったんだぞ。

今回はヒロは空気なのにいつもどおり倫理観がダメでした。ヒロは一貫してめんどくさがりで、後に悪影響があることが明白だろうとその場しのぎの解決法に走るんですよね。お前はデジモンの世界に行ったほうが倫理観が一致してて幸せに暮らせると思うよ。頑張ってデジタルワールドに行ける方法を探そうね!


・先輩、「発電所止めたら怒られるだろうなあ」以前に、ありのままじゃなくて良いから、発電所がぼろぼろにぶっ壊されたことを報告しようね。いくら先輩が作ったようなものな発電所だからって、あそこまでぶっ壊されてたらもう先輩の手に負える範疇じゃないと思うよ。

だーいじょうぶだって、どう考えても人間業でできる壊れ方じゃないから、「知らないけど来てみたら既にこうなってたんです! 僕のせいじゃありません!」って嘘つけばどうしようもないって。実際、発電所がぼろめきょになったのは先輩のせいじゃないし。先輩がいなくても発電所はフロゾモンの直進経路にあったというだけでぶっ壊されてたはずだし。そのぐらいの嘘は許されるはずだよ。

発電所のオーナーは泣き寝入りで可哀想だけど、『建築物が天災で壊れる』リスクはもともとオーナーが負うべきものだろうしねえ。正確な状況を把握できないのは年齢的には子供である清司郎パイセン一人に任せて、自社の人間を派遣しなかったのが悪いので自業自得なんですよ。いくら天才だろうと子供を守ろうとする構えをしてないのは悪いですよ。仮に「害獣デジモンに目をつけられた」なんていう一般的には想定外すぎる現象が起きていなくても、もし万が一のアクシデントが起きていて、何かしらの重大な決断が必要になった時に外部雇われと思われる清司郎先輩しか決断者がいないのってそれだけでやばいと思いますし。

 

・今更なんですけど、ゴーストゲームって大人の登場が少ない上にカスばっかですよね(怪奇現象の被害者は除く)。登場したのは北斗(ヒロ父親・カス)、ヒロをパシリにしたモブ教師(カス)、あとはカラオケ店員もカスだったような。

『登場しない』こと自体がカスなのは、ヒロ母親と、今回の電力会社社員です。

カスじゃなさそうなのはガンマモンに部屋中かじられていた教頭と、あと先輩の同僚(?)の教授、コエモン回の旅館の人たちぐらいかな?

 

 

■おまけ・発電所のプログラムメンテについて

これは完全に趣味観点の重箱のスミをつっつきまわる遊びなので、描写や舞台設定を非難する意図ではない与太話だと思って欲しいのですが。

あれって、実地(山奥)に行かないとできないプログラムメンテナンスなんですかね?

高いセキュリティ性が求められる企業のプログラムは一般のネットワーク上に置かず社内ネットワークからのみアクセスできるようにしていることは多いです(※なので個人の端末やネット環境ではアクセス不可能で、IT企業なのに在宅勤務が不可能ということもある)。

が、社内ネットワークに接続できる端末を用意すれば遠隔操作は可能である場合はそこそこあって、個人宅の在宅勤務という意味でのテレワークは無理だけど、企業が認めた特定のオフィス内で企業が準備した専用端末からアクセスする形なら、実際にプログラムが稼働する場所(この場合は山奥の発電所)に行かずに作業することは可能だと思います。

 

発電所のプログラムということなのでハード(実際の発電機械のパーツなど)を動かすから、現地じゃないとメンテナンス作業ができないよ。ということなら、恐らくそのハード部分の確認は清司郎パイセンではできないと思います。先輩がプログラムを修正して、ハード部分の技術者チームが本当に動作に問題がないかをチェックすることになるのではないかと思います。

 

あと、繰り返し言いますがほんとにこれは与太話なのでジョークとして読み飛ばしてほしい。発電所レベルのプログラムを「ここのプログラムメンテは僕しかできない」=本来は何人~何十人、もしかしたら何百人ものプログラマーチームが年単位かけて作ると思われるプログラムを一人でしかもこの年齢までに組んだ清司郎先輩は鬼すげえけど、他人が分かる仕様書を残していないってことだと思うのでほんっとクソ野郎(笑)

 

いやあ、ほんとに現実にこんな人がいたとしたら、

「とりあえず発電所のプログラムは急ぎで全部作ったよ。これから後付けで仕様書を書いて、その際に何か不具合や仕様ミスを見つけたら順次改善していくね。そっちで引継ぎ用の技術者はおいおい準備しておいてね、仕様書が完成したら教育するから。仕様書作成と技術者育成が終わるまでは僕がプログラムメンテをやるねor立ち会うね」

ってやれば30年ぐらいは食いっぱぐれないですよ多分。ナチュラルにド天才でクソ野郎だなあ(笑)

それに発電所システム構築を一手に背負ってさくさく完成させた時点でシステム構築報酬はほぼ一人で総取りなんでしょうから、こいつ『(極端な贅沢をしなかった場合の)一生の生活資金』はもう稼ぎ終わってるんだろうなあ~~~有能クソ野郎~~~(笑)