灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第40話「螺旋海岸」:感想

 『デジモンゴーストゲーム』第40話「螺旋海岸」の感想です。 エスピモンぐらいしか見所がないし、エスピモンも別に加点してるわけではない、みたいな回。

 

 

かなりどうでも良かったし、真面目に説明しなきゃいけないツッコミどころもなかった(それすらどうでも良かった)ので、短いです。

 

■どうでもいい

エスピモンくん、減点なし。良かったね。第40回の感想終わり。

……というのも流石にどうかと思うのでちゃんと書きますが、まあそれぐらいどうでもいい、いつもの『ゴーストゲーム』でした。

 

エスピモンもね、「初回は良いキャラに見えてもどうせそのうち崩れるんだろ。『ゴーストゲーム』の倫理観だし」という警戒の目で見ているので「減点がなかった」ことに喜べるんですけど、別に加点はしてないんですよね。エスピモンは登場初回がガンマモンを助けたり能力を見せつけたりと盛りだくさんだったのですが、その初回で語られたイメージ以上のこと今回は語られておらず、発展性に乏しかったです。まあ、(『ゴーストゲーム』の中では)エスピモンは見てて楽しいキャラなので、減点がないだけで加点みたいなところはあるのですが。

その意味では、ジェリーモンも今回は減点らしい減点がなかったと思いますが、ジェリーモンは普段が害獣すぎるので「減点がない」だけではダメです。

 

 

■怪異慣れしているねじれデジモン達(害獣)

エスピモン、登場二回目にして腕がねじれててめっちゃ可哀想。痛みが無さそうで良かったですね。キャラが明るくてコミカルなので救われます。

そういう意味ではジェリーモンもですね。害獣ですけど態度はコミカルなので救われます。

 

デジモン達は結局のところ、怪異慣れしてますよね。エスピモンもジェリーモンも、怪異で体がねじれても「不便」と思うだけで平気そうでした。人間にとっては未知の力による怪異であっても、デジモン達にとっては「まあそういう力を持ってるやつもそりゃいるだろ」程度という感じなのでしょう。害獣は害獣慣れしてるんでしょうね、うん。

 

 

■回をまたいで引っ張った「本物の天ノ河宙」がしょぼすぎる

瓜二つではないからエスピモンはヒロのことを「天ノ河北斗に瓜二つな天ノ河宙」だと認識できなかった。

しょうもなさすぎて逆にびっくりしました。いや、分かりますよ。ジェリーモンが言う通り、今作のデジモンらしい勘違いではあります。けど1話目(第37話)で言って、もったいぶって回またぎするような話か???

期待して損した。無駄に期待を裏切ってきますよね。……や、すまない。期待なんかそもそもしてなかった。どうせいつもどおりしょうもない話なんでしょって思って何も期待してませんでした。

でも、最初から期待せずに下げていたハードルを器用にリンボーダンスでくぐってきてビビったみたいな、悪い意味の驚きはありました。……それは驚きではなくて、「げんなりした」とかそういう表現のほうがふさわしいですが。

 

エスピモンは減点なしで良かったねと言ってなかったか、って?

え? これはエスピモンの減点じゃなくて、脚本陣のド減点なだけですが? 見せ方がクソ悪いだけで、これってエスピモンは特に悪くないと思いますよ。ジェリーモンの言う通り、害獣デジモンらしい勘違いだというだけです。

……確かに、これが普通のアニメなら結構な減点かもしれませんけどねえ……。これ、害獣デジモンが跳梁跋扈百鬼夜行な『ゴーストゲーム』じゃないですか……。エスピモンのその程度の誤解、可愛いもんですよ。

 

 

■ヒロとガンマモンの喧嘩がしょうもなさすぎる&一方的すぎる

ヒロとガンマモンの喧嘩がしょうもなさすぎてついていけないです。いや、単発回の兄弟ゲンカなんて冷蔵庫のプリン食った食われたみたいなしょうもなさでナンボって気はしますけど、そういう意味じゃなくて……。

・いつもどおり破壊行為をして。

・いつもどおり注意をされて。

・何故か拗ね散らかして。

・口も利かない。

ガンマモンに共感できるところが何ひとつない。不機嫌だったヒロがいつもより余計に怒鳴った、とかの「普段と違う事情」すらないですからね。ヒロは極めて冷静に……というかドライ&無感情のいつも通りの様子でガンマモンに対応していました。

あるいは「ガンマモンも反抗期が始まったんだ……」という話に持っていくならまだ理解できましたが、そんな話でもありませんでした。反抗期の話に持っていかれても、「何も理由がない展開よりはまだ理解できる」というだけであって、「ガンマモンおまえ、反抗期も何も、今まで成長もしてねえしヒロの言うことを素直に聞いて破壊行為をやめることすらしてねえじゃねーか」なのでそれはそれで不快な展開です。

 

……そう。今回、ガンマモンがこんなくだらないことで拗ね散らかしたことで、「破壊行為をするな」というヒロの今までの教育に全く効果が無かったこと、(進化なしの)ガンマモンが全く成長していなかったことまで描写されちゃってるんですよね。破壊行為をするな程度の基本的ルールさえ一向に身につかずにしょっちゅう破壊行為をしているガンマモン、本当に害獣です。

第19話「逢魔ガ時」や第32話「オマエハ誰ダ」などを参照すると、こんな状態から成長していないガンマモンが今はときどき自分一人で外を歩き回っているのだというから恐れ入ります。こんな害獣に一人での外出を許可して野放しにしているのだからヒロのほうもたいがい人の心がありません。

 

……第11話「カマイタチ」でもそうだったんですけど、何故か「メインキャラ同士の喧嘩」を描くのに「どちらにも事情があった」ではなくて片方が一方的に悪い状況を設定しています。第11話「カマイタチ」ではアンゴラモンがずっと落ち着いている中でルリが一方的に突然拗ね散らかして、今回ではヒロがずっと落ち着いている中でガンマモンが一方的に突然拗ね散らかしています。何故か一方的な構図で描いている。一方的過ぎて『喧嘩』ですらない。なんなんでしょうね。

まあ、一方的な構図で描いている自覚すら制作スタッフには無さそうに見えるので、単に創作が下手なんだと思いますが……。

 

 

■ガンマモンの心情が良く描きこまれているが、すぐにその心情を忘れる

前提の喧嘩がしょうもなさすぎて意味が分かりませんでしたけど、ねじれて怖がって泣いている凛ちゃんを助けようと「ヒロと仲直りして、凜を助ける」ことを目を潤ませて決意するガンマモンは非常に良かったです。珍しく心情が描きこまれていて、共感できるものにまで整えられていました。

 

……だからこそ、大泣きしてヒロに抱き着くガンマモンには「ええ……?」なのですが。いや……ヒロに対して反省をしたから謝るって流れじゃなかったでしょ……。「ごめん。おれが悪かった。だから一緒に凜を助けて!(ぽろぽろ泣く)」ぐらいにしてほしかったです。あそこでヒロのために大泣きしてしまうと、凜を助ける決意のほうを忘れたように見えてしまうんですよ。

 

……第29話「妖花粉」でも思いましたが、なんでせっかくゲストキャラを密度高めに描いてキャラの成長の動機に持ってきたのに、実際の話の盛り上がりのパート(=結果的に戦闘パート)に入るとそのことを忘れて「天ノ河君と月夜野さんが!(第29話の先輩)」「ヒロが!(今回のガンマモン)」と言い始めるんでしょうね。じゃあ動機もヒロやルリにしろよ。ゲストキャラいらねーじゃん。ゲストキャラを描くということは、それだけメインキャラの描写に使える尺を潰しているという意味でもあるんですよ? ……まあ、ゲストキャラがいる回じゃなくてもメインキャラの描写をしてないのが『ゴーストゲーム』ですが。

 

 

■1年近く経ってようやく父のデジタルワールド行きの謎を考えるヒロ

くだらなすぎて真面目にツッコむ気にもならないから、一言で済ませますね。

>父さんはどうやってデジタルワールドに……?

第39話にもなって言うセリフじゃねえ。

 

まあ流石にこの話は次の機会があるでしょうからそのとき真面目に言及しますよ……。その機会が存在さえしなかったらそれはそれで『ゴーストゲーム』の脚本がゴミすぎますが、まあ、まあ、流石にあるでしょ……。

 

 

■そのほか

・「螺旋海岸」サブタイトルがびっくりするほどダセえ。螺旋階段と引っ掛けているのでしょうけど、『ゴーストゲーム』の作風でそういうダジャレやるとギャップですさまじく寒いんですよ。そういうネーミングはもっとギャグ方面で真っ当に「しょうもない」アニメでやってください。『ゴーストゲーム』は真っ当ではない意味で「しょうもない」だけなのでダメです。

 

・タコツボで寝るジェリーモンは可愛かったです。絵が可愛いというよりタコツボで寝る行為が可愛いです。

 

・ヒロ、ねじれたもんを押して壊すな。公共物やぞ。……とは思いますけど、まあ流石に試すよな……。器物損壊なので犯罪なんですけど、あれはヒロじゃなくてもついうっかり試すような気がします。

 

・『ゴーストゲーム』でメインキャラがやった犯罪リストに、エスピモンの学生証盗難を含めるかどうか迷います。エスピモンは人間を相棒に持つわけでもない、完全にデジモン側の常識で生きるキャラだからなあ……。盗難(しかも後で返してくれる)なら可愛いほうっていうか……。