灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第44話「赤錆」:感想

 『デジモンゴーストゲーム』第44話「赤錆」の感想です。  

虚無。

 

 

 

■深刻に虚無

リアルタイムでブログ記事を読んでくれる人は分かると思うんですが、この記事は放送日から実に二週間以上も後に投稿しています。いや、中の人(グレイ)のリアルが忙しくて記事の執筆が滞っているのが一番の原因なんですが、その……。

今回に関しては「エスピモンもっと映せよとしか感想が無い」と述べた第42話以上に虚無しか無くてですね……。書く内容に困って執筆が滞っていた側面は無くは無いです……。

 

あのですね、……今作の怪異役であるデジモンは、基本的に話が通じない『害獣』という立ち位置で、それはそれで設定として正しいことはこのブログで自分は繰り返し執筆していると思います。人間(=視聴者)の感覚ではまったく共感できないその感性(害獣っぷり)は、ある意味でとても見ごたえがありますので自分は一面では支持しています……が、その支持の仕方はとてもイレギュラーなものであることは自覚しています。普通に言えば、今作『ゴーストゲーム』の敵デジモンはキャラとしての愛着が湧かないものであるという指摘も繰り返しこのブログで書いています。

 

今回第44話の怪異デジモン、アンティラモンって、今作の中では比較的害獣っぷりが薄いんですよ。

・一応「人間の依頼を受けたから」動いているんですし、

・周囲の鉄分を消費するのもアンティラモン達当人としては「そりゃ物を作るんだから原料がいるのは言わなくても当然のことだろう」ぐらいの気分でやっているのだと思いますし、

・依頼した本人(のパソコン)からじゃないとキャンセルを受け付けないというのも真っ当と言えば真っ当ですし(運営都合でのキャンセルもできる契約にしていないジェリーモンが悪い)、

・融通が利かないだけで本人たちは善意ですし(彼らは何も見返りを求めていないため、本当に他者の役に立ちたいだけ)、

・そそのかした屑パパンがアホ巨悪なだけですし。

 

アンティラモンは比較的、害獣ではないんですよ。

けど、害獣ではないせいで空気虚無なんですよね。

 

確かに他のド腐れデジモンどもに比べればまあまあまとも! でも別に良いヤツと思うほどの情報量も無い! 迷惑すぎるからツッコミを入れざるを得ない他の怪異デジモンどもと比較すると、良くも悪くも無さ過ぎて印象が無い!

……なあんかね、本当に、キャラを好きにならせるのが下手だなって……。だいたいのデジモンが迷惑害獣でクソ、だけど迷惑性を引っこ抜いたらただの空気敵キャラでクソって……。だいたいのデジモンがその場限りの使い捨てキャラだから、どうでも良いんだとは思いますが……。

更に言えば、害獣の害獣っぷりを割と喜んで見ている自分(中の人:グレイ)であっても、害獣の描きっぷりがいっつも代わり映えしなくて飽きてきた気がするっつーか……。個人的には害獣っぷりで最後に良かったのが第26話「飢餓屋敷」、最後のスマッシュヒットが第17話「極寒地獄」かなって思っているので、遠い昔ですねえ……。

 

 

■すべてを失った深津君と、彼を放置して終わらせる作風の冷酷さ

今回アンティラモンに大量注文していた後輩、深津君。あの子ってつまり、友達(かまってくれる人)が欲しいけど友達の作り方が分からないから物品をバラまいて周囲の注目を集めようとしていたっていう、卑近な悩みの卑近なキャラだったんですよね。

そこで「自分のお小遣いを使って(あるいは親の財力を使って)」というのではなく、怪しいサイトに頼むことで自分の懐は傷めずにバラマキを実行するのがなんというか『ゴーストゲーム』のキャラらしい倫理観が狂った自分勝手さで逆に新しいですが。

彼は卑近でベタであるがゆえに共感を集めやすいドラマ性を持ちえたキャラだったはずなんですよ。例えば彼が、建物が倒壊して死にそうになっていても「それでも僕は注文をキャンセルすると友達がいなくなっちゃうんだ」と悲痛に叫んでアンティラモンへの注文をキャンセルするのを必死で拒むキャラだったとしたらどうですか? ヒロたちは深津君をどうにかして説得する必要があり、そこにドラマが生まれたはずです。ヒロが「じゃあ俺たちが友達になってやる」と叫んでもいい(ヒロはそんなめんどくさい長期的行動をするキャラじゃないというのは置いておきます)ですし、「馬鹿野郎、命が一番大事だ」と無理矢理連れ出しても良かった(ヒロはどう見ても人命を重視したキャラじゃないというのも置いておきます)ですし、「物で釣られた友達なんてそんなの友達じゃないよ」と諭しても良かった(ヒロはまともに友達を作ってないというのも置いておかざるを得ない)のです。

 

でも、実際の展開はどうでしょうか。

ヒロ達(というかジェリーモン)は深津君の『パソコン』に干渉しただけです。彼自身には何も干渉していません。彼が何を思ってアンティラモンに他人のぶんまで商品をせっせと注文していたかを、ヒロ達は全く気にしていないと思います。

深津君は結局、教師の善意によって助けられました。事件の真相を全く知らない人の善意です。確かに彼は命は救われましたが、彼の行動が結果的に事件を引き起こしてしまったことやそんな行動を取っていた理由どころか、そんな行動を取っていたこと自体(彼の心の動きに無関心なヒロ達以外には)誰にも知られませんでした。

 

そして深津君自身も事の真相を知らないまま終わりました。「美味い話には裏がある」と言ってしまえばそれまでですが、自分が悪いとも知らされず、一方的に商品が消えて終了です。

ヒロたちは商品を消す代わりに鉄分を復旧させて原状回復させてめでたしめでたしと思っているようですが、深津君のことを考えると何もめでたくないんですよ。だって彼、今回の件でつるし上げ→まず間違いなく総スカンですからね。確かに美味い話に乗った彼が悪かったかもしれない。でも、友人が欲しかっただけの彼って、そこまで酷い罰を受けなきゃいけない存在だったんでしょうか。

 

『ゴーストゲーム』の一回ぽっきり使い捨てキャラにそこまで手厚い描写がないのはいつものことですよ。1話で怪異の解決まで描かなきゃいけないから常に尺がカツカツなのも理解するところです。

でも、深津君をこの設定にしておいて、深津君の救済に使う尺を最初に確保してから全体の話を考えようとは思わないところが『ゴーストゲーム』の一貫した冷酷さだと思います。

 

ふう。虚無過ぎて書き出すのに困っただけで、書こうと思えば結構書けるな……。でも、「実際に視聴した感想」の心の動きの大きさと比べると過剰に文字数を使いすぎて書いているという気はします。別に無理やり絞り出して書いてるわけではないんですけど、実際には「あっはい、いつもの冷酷な作風ね、はいはいそんなのとっくに知ってる」ぐらいにしか心が動いてないんですけど、説明のためには文字数が必要で、文字数使って書くとなんかめちゃめちゃ心が動いたみたいに読めちゃうっていうかさあ……

 

 

■ジェリーモンの株は爆下げ

え? ジェリーモン? どうでもいい。株を上げたと思えば激下げするのやめてほしいとは思いました。今回は株上げ回じゃないですよ、自分の感覚ではむしろ株の爆下げ回ですよ。せっかく前回(第43話「赤目」)ちょっとだけ株を上げたのに。

初登場第5話から謝ってほしかったのを第44話にもなって今さら謝罪されても、ジェリーモンにじゃなくてジェリーモンの後ろにいる制作スタッフに「へー、謝らせなきゃいけないっていう気はあったんだ、へー……」って思うだけです。そもそも、今回の件についてしか謝罪してないですし。もっと謝らなきゃいけない蛮行、いっぱいあったと思いますし。

強いて言えば感情任せではなくしっかり理を説いて叱った先輩(というかジェリーモンがあまりに理を外れたことをするので自分に被害は無くてもガチギレしていた先輩)はちょっとだけ株が上がりました……が、ジェリーモン反省回も先輩がジェリーモンをちゃんと叱れるようになる回も、遅くとも2クールぐらいでやってほしいです……。

 

あと、公式ツイッターなんですが、↓

絵文字使いまくりでジェリーモンの謝罪を褒める公式はやっぱり倫理観がカジュアルに無いなあと思いました。ジェリーモンの悪行はタチが極悪なので、そんなにギャグに扱っていいようなものではないです。

 

 

■カス親父は常に株が右肩下がりでもはや絶壁

今回もカス親父のせいだったわけですが、カス親父の株を下げることしかしないのはなんなんでしょうね。メインキャラは「制作スタッフは面白いと思ってた」だけだと思いますが、カス親父だけは本気で故意に株を下げてる勢いです。

「制作スタッフは面白いと思ってた」でレッツラ軽犯罪パシリ魔パシラレ魔先輩いじめやるような制作ですから、カス親父のことも面白いと思ってやってるのかもしれませんが。