灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第41話「道化師」:感想

デジモンゴーストゲーム』第41話「道化師」の感想です。

特に言うことがない回。強いて言うなら、またメインキャラの犯罪が発生しました。

 

■犯罪+1(ルリ)

ルリの犯罪ポイントがまた増えました。良かったね。流れるように窃盗してましたね。宣伝チラシ(のようなもの)だからって、配ってる人の意思に反してもぎとるのは当たり前に窃盗ですよ。思いっきり嫌がられて止められてるのに「ありがとね!」ってそのまま去っていくルリ、サイコパスすぎる。普段はサイコパスという定義ブレしやすい上に俗語としておもちゃにされてる言葉を使うのは好きませんが、今回のルリの窃盗シーンは満場一致レベルでサイコパスだと思います。

 

これ視聴者層に何歳を想定してるアニメなの?

 

 

■「ホログラム技術が進んだ近未来」という設定を活かす気が無いサーカス模様

どうでもいいっちゃ良いんですが、ホログラム技術が当たり前に存在する近未来なんですよね。サーカスという大掛かりな舞台ですよね。空飛ぶライオンや舞い散るトランプなんて、逆に「ああ、ただのホロかー」と思ってしまって凄く感じられないと思います。

だって『ゴーストゲーム』の舞台って、ガンマモンが「俺、ホログラム!」の一言で誤魔化せちゃう時代なんですよ。しっかり質感を持った物理的な存在(実体化したデジモンなど)と出来のいいホログラムは見分けがつかない時代なんてす。なら、サーカスの内容だって「ホログラムだと思わせないような地に足ついたものにする(現実離れしすぎていないものにする)」か、「ホログラムではないことを強調する演出を伴わせる」になってくると思います。そういう、「実体と見分けがつかないホログラムが存在する時代では、生活はどのように変わるか?」という目線がなっていません。

 

……まあ、ね。高度すぎる指摘だと思います。これはSF(あるいはガチガチの本格ハイファンタジー)の文法による指摘ですし、SF作品でもそこまでの突き詰めができていないというのはよくある話です。

さらに言えば、俺(中の人:グレイ)が見た範囲では、デジモンアニメシリーズ自体がそういうSF的目線が弱いシリーズです。デジモンは「デジタル」を題材に上げているにも関わらずあくまで題材止まりで、そこからSFらしい視座を持って展開することは少ないイメージです。仮にSFっぽい題材を扱っていても根底にSFらしい思考はあまりありません(例外の作品もあるらしいとは聞いています)。デジモンシリーズ自体がそうなのに、SFやサイバーっぽさを押し出さずに怪奇方面を突き進んでいる『ゴーストゲーム』にこんなことを指摘するのも酷である気がします。

 

でも。『ゴーストゲーム』って、作風的にはリアリティラインが高めな現実寄りの作風なんですよね。

・日常怪奇ホラーというジャンル選択。

・近未来というSFチックな要素も交えた、現実世界を舞台とする設定。

・派手さがなくて地味めな、明確な目的を持たないキャラ。(意図的に一人だけ漫画的な誇張したキャラ付けをしていると思われる先輩を除く)

・(犯罪行為をしまくったりやたらクズで冷酷だったりという、恐らくは制作の故意でそうなっているのでないと思われる箇所を除けば)現実的で卑近なキャラ。(※そんなに『除いて』しまうと、ほんとは何も残らないですが。)

・キャラが死ぬときは死ぬ、シビアな展開。(人間だけやたら謎復活をすることも多いですが……)

そのほか、モブの描き方だったりなんだったりと、漠然と「雰囲気」としか表現できないところも含めて「リアリティライン高め」の作風だと思います。

そのリアリティラインに実際は全然ついていけてないだけで。

 

……いやあ。作風から想像されるリアリティラインから考えれば、『ゴーストゲーム』はもっと真面目にリアリティを描くべきなんですよ。コミカルなんでも有り時空ではないはずです。

多少真面目にSFに足突っ込んで、「ホログラムが実用化された社会ではどんな文化や生活になっているのか」……ぐらいは考えて、作品の各パーツから想像されるリアリティラインについていく努力ぐらいするべきだと思うんですよね……。「コミカルなんでも有り時空の作品にする」っていう選択を最初にしなかったんですから、そういうことは誠実にやりましょうよ……。

 

 

■ゲストデジモン達が可愛すぎて浮いてて引く

フレイウィザーモンにトブキャットモン。可愛すぎます。

 

………。

今のセリフ、「可愛すぎます♥(めろめろ)」ではありません。「可愛すぎます……(若干引きながら)」です。急にやたらマンガチックに可愛い連中が出てきたので世界観から浮いてて、引いてる。

 

こういう言い方もどうかと思いますが、『ゴーストゲーム』ってデジモンのデザインもぱっとしなくて、ぱっとしないところでバランス取ってたところがあると思うんですよね。

例えば可愛いデザインのメイクーモンはずぶ濡れのおっさんにする。原色カラーのフロゾモンは彩度を落とした着色にする。わざと目立たないデザインにしている印象があるんですね。自己主張が激しいデザインのキャラがいないし、いてもわざと丸められているのではないかという印象があります。

 

なのにフレイウィザーモンにトブキャットモン、可愛すぎる。声も可愛いので、世界観から浮いています。どこから来たんだお前ら、別のアニメに出る予定だったのに道を間違えたのか? 制作側が登場デジモンと作風のバランスを考えてなさそうで、引きます……。

 

……と言いつつ。フレイウィザーモンにトブキャットモン、普通に可愛いです。最初からこれだけとんがったデザインの子たちが出てきてくれれば、例え害獣だろうとデジモンたちにもっと愛着を持ちながら話を見ることができたと思います。

 

 

ナチュラルに「デジモンならヤっても良い」と言い出すカスのアンゴラモン

ピエモンにやられる直前のアンゴラモンのセリフ。

>ここはデジタルワールドじゃない、こんなことは許されない!

その理屈もクソだと思いますよ。そのセリフだと、デジタルワールドでデジモン相手なら良いってことになりますからね。

 

つーかアンゴラモンもアンゴラモンでデジモン視点から考えると常識がイカれてる個体なんじゃないですかねえ。

第26話「飢餓屋敷」からずっと思ってるんですが、アンゴラモンはアンゴラモンで「人間(というかルリ)>>>デジモン」という極端な思想なんですよね。人間は好きにしていい玩具ぐらいの認識を持っているデジモンたちが大半と思われるのに、人間を殺したからという理由で親友のデジモンをぶち殺して悲劇面するアンゴラモンもそれはそれでかなりおかしいんじゃないんですか。

 

セリフ内容はカスでしたが、絞り出すような声優さんの演技は名演でした。

 

 

■勇気ではなく蛮勇を揮う、楽観的行き当たりばったりのルリ

弱者は強者に従うもの。ピエモンが言ったことは、まあ『ゴーストゲーム』が一貫して描いてきたことなので目新しさはないです。ただ、それを改めて言及したことには目新しさというか「おっ、まともにやる気か?」という小さな驚きはありました。

 

たださあ……その「弱者は強者に従うもの。なので強弱をはっきりさせよう」の実装がさあ……。

 

人間とは勝負したことがあるか。人間と勝負して人間が勝ったら言うことを聞け。

その勝負とやらが肉弾勝負じゃなくてトランプ勝負であることを想定しているのはだいぶ楽観的すぎる気がします。直前まで肉弾勝負の流れじゃありませんでした? 実際、ベテルガンマモン達は肉弾勝負してるわけですし……。

しかも勝負内容も先に何の勝負が来るか想定してたとか、自分たちでもなんとか勝てそうな勝負内容にしようと試みたという話ではありません。ヒロ&ルリ達は何も事前に準備していません。今回って結局またいつもの「ルリは勇気ヒロイン! かっこいい!」という持ち上げでしたけど、トランプで勝負してくれること&勝てる余地がある内容のトランプゲームで勝負してくれることを楽観的に想定して勝負するのはどう考えても勇気じゃなくて蛮勇の類です。

 

ヒロの「迷わず引けー!!!」にも引いてしまいます。これ、ただの運ゲーですが? そこまでの道筋をルリが実力で勝ち上がっていってたけど最後が運ゲーになってしまって躊躇したって流れなら「迷わず引け―!」も分かりますけど、最初から運ゲーなんですよ? 「迷わず引け」しか最初から選択肢はないでしょうが。

 

んでルリが事件の発端であること&ヒロはガンマモンのサポートに回らなきゃいけないことを鑑みると、ルリがピエモン勝負に向かうのは勇気じゃなくて当然なんですよ。
しかもルリが賭けてるのが自分の手足や命だからっていう理由で「勇気!」と主張するならさておき、賭けてるのってガンマモンの手足ですからね?

 

 

■そのほか

・どうでも良いんですが、本編のホラーが「鳴かず飛ばず」どころか「常に虚無」みたいな状態になってきた今では、名作ホラーから名シーンを借りパク……名シーンのパロディで構成されているOPが一番まっとうに「怖い」です。未だにOPはワクワクすると思います。本編の情報はろくにない、借りものの映像ばかりのOPですが。

 

・先輩、「フォーラム行き」っていうたった一つの動機でもう3週ぐらい欠席してますっけ? 2週ですっけ? 話の流れで邪魔だから参戦させないってのは『ゴーストゲーム』ではよくありますが、ここまで露骨に出番の差を作りますか。へえ……。

 

アンゴラモン封じも「またかよ……」としか思いません。しかもルリのせいなのでその意味でも「またかよ……」です。守る守る言ってるのに完封されて参戦すらできないことが多いよな、アンゴラモン。