灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第47話「永遠ノ記憶」:感想①

 『デジモンゴーストゲーム』第47話「永遠ノ記憶」の感想①です。 長くなったので記事を①②に分割しています。 

 

 

■ゲストキャラから既にやる気の無さが漂う

保さん、モブくさい顔のゲストキャラですね……。そりゃ、『ゴーストゲーム』のことだからこのキャラを再登場して物語の積み重ねをさせる気はからきし無いのでしょうが、第43話「赤目」のエマと比べるとやる気の無さが著しいです。エマよりもこの保さんのほうがよほど先輩と友好的に関係性を積み重ねているらしく見えるんですけどね。

……ぶっちゃけた話、『ゴーストゲーム』の制作スタッフはかわいいおにゃのこキャラ(※)のガワが好きなだけで、男性キャラ(年齢問わず)や、女の子キャラの具体的な内面がどうかっていうことに興味が無い気がします。ルリはまだ「可愛いと思う要素を詰め込んだら邪悪な要素が混じっていたこともありキメラ化したのだが、そのことに気づいていない」と考えられる余地もありますが、エマはキャラメイクの意図からして詮索クズですからね……。

(※)萌えられる年齢で萌えられる外見をした女の子キャラ、という揶揄としてこの語を使っています。具体的にはルリやエマ、あとは第30話「悪友」のゲストキャラ・カヨノぐらいの女子。(萌えって表現ももはや古い気がしますが、分かりやすさのため使っています。)

 

ここまでの話は保の外見(キャラのビジュアルデザイン)についての話でしたが、保さんは「今回の被害者」以上の設定が見受けられません。その点でもやる気の無さが漂いますね。「被害者」で、話を簡略化したいから既にメインメンバーのことを知ってて頼ってくるキャラにしたい。今回は先輩の知り合いということにしてみよう。じゃあ、先輩の友達か。先輩の友達なら、研究繋がり。先輩と同じ研究室に属しているなら、プログラマ系。先輩の友達でプログラマなら、当然オタク。……そういう、安直な連想ゲームで全部説明できてしまうと思います。もうちょっと捻ってくれたって良いのに。

 

 

■久々の登場、デウスエクスマキナのブラックテイルモン

手紙展開をまたやるの、今さらかよ!? って思いましたけど、そういえばブラックテイルモンの登場自体がこないだの手紙受け取りシーン以来な気がしますね。具体的には最後の登場話が……えっと、何話だ……? 確か、第31話「辻斬リ」が最後……だったような……? ちょっと自信ないけど、1クールは前で良いですかね……。

思い返してみると、エスピモン登場前のしばらくの期間って特に虚無だった気がしますね。気分的には新しい進化形態も打ち止めになってきて(そもそも進化があるから盛り上がるという物語構造が整っていないのですが)、ブラックテイルモンもグルスガンマモンも出なかったって、ねえ。話を進める気がないのはいつものことですが、流石にやる気の無さが漂いますね。

エスピモンが登場したからといって何か話が進んだわけではないのですが、まあ一応進めようとする意志を取り繕ってはいるので……。『意思』ではなくて、さっさと『結果』を出してもらいたいものですが。

 

んで、制作スタッフにとって都合が良いときしか回収に来ないブラックテイルモンって、いったい何なんでしょうね……。都合が良いときというか、話がどうにもならなくなった「都合が悪いとき」に何もかもを解決する「都合が良い」手段としてブラックテイルモンは存在するんですよね。デウスエクスマキナモンか?

 

 

■ナノモンは良い害獣キャラだが、マミーモンとの扱いの差が無茶苦茶

今回の害獣、ナノモン。クソ害獣だけど理屈は理解できるし、最近の虚無害獣に比べるとめちゃくちゃ出来が良い害獣だなあと思いました。マミーモンが何故か仲間枠として受け入れられているのがおかしいだけで、同様のマッドサイエンティストキャラですよね。

んで、今作のデジモン達は人間のことを「食料食べ放題、なんと今ならタダ」とか「殴ると変な液を出してつぶれる面白い虫。おもちゃ」ぐらいに思っている害獣なわけですよ。じゃあ、「デジモンの死亡を回避する研究をするための実験材料にしたい」というのもまあ普通なんじゃないですか? 人類だってモルモットを実験台にしますし、「実験台」という意味でモルモットという種族名を使うことすらありますよね? それを極悪非道みたいなノリで扱うのはどうかと思いますし、極悪非道みたいに扱っているのに「こいつまたやりかねないよねえ、どうしよう?」と苦笑しながら語ってるメインキャラどもも神経がどうかしてると思います。

 

あ、ナノモンを回収して強制帰還させたブラックテイルモン(&その裏にいるような気がする指示を出している誰か)の行動は正しいと思います。それはナノモンの言動が『ゴーストゲーム』の害獣としてのデジモンとしてはまあ理解できるものなのではないか=デジモン的にはそう責めるものでもないのではないか、という話と両立します。

ブラックテイルモンは(何故か)人間の倫理観で動いているデジモンであって、「人間にとって」どうしようもないデジモンをデジタルワールドに強制帰還させることでバランスを保とうとしています。やることは一貫しています。

 

 

■シェイドラモンに御都合主義が発動しないのがむしろ御都合主義的

シェイドラモンの死亡展開について。

そりゃあシェイドラモンが最終的に死ぬのは道理は道理なんですよね。もともと死んでるんですから、都合良く生き返るのはおかしいでしょう。

 

……『ゴーストゲーム』、都合良いことの連続な作風だと思うんですが……?

これだけ御都合主義な作風です。そして今回は正直、脚本家のお気持ちひとつで結末を変えられるような話でした。わざわざシェイドラモン死亡エンドにする意味が何かあったんでしょうか? 俺にはそう思えませんでしたね……。

だってこの話、仮にシェイドラモン生存エンドにしたところで、シェイドラモン死亡エンドと比べてヒロ達が得たり失ったりするものに何か差があったでしょうか? シェイドラモンの死亡からヒロ達が何かを得る・学ぶ描写がなくて、感慨深そうにつぶやくだけで「深そう」に見せて終わりなんですよ。

これ、生存エンドにした場合と何か変わったんですか? 死亡エンドにする意義があったんですか?

逆に言えば生存エンドにしたからといってヒロ達に得られるものも特に何もなさそうなんですけど、少なくともシェイドラモンは死ななくても良くなったわけで。どちらも大差ないのに、わざわざ脚本上でシェイドラモンを殺害するルートのほうを選ぶ意味があったのか、というところを問うています。

 

もうちょっと別の側面から言ってみましょうか。

例えば、シェイドラモンに「人間に迷惑かけてまで生き返りたいなんて言ってない!」ぐらい言わせてからの、シェイドラモン自身が諦めて納得したうえで死亡するようなエンドにはできなかったものでしょうか。

他には例えば、「俺は生き返りたいんだ、人間が死のうと知るかあ!」ぐらい言わせて『生に執着しているだけなので可哀想だが、振る舞いは完全悪役』というキャラにしてからの断末魔での死亡エンドにはできなかったものでしょうか。

 

後味悪い系エンドだと解釈するにしても、なあ……。後味悪い系エンドって「残念ながらこの人物たちでこの展開ならそりゃそうなるよな……」がしっかりしてるのが基本じゃないかと思うんですね。今回のシェイドラモンは生存しようと死亡しようと制作スタッフの胸先三寸で、どっちに転がろうと御都合主義っちゃ御都合主義なんですよ。素直に「うっわ……後味最悪……」って言えないといいますか。

例えばブラックジャックの「ふたりの黒い医者」の回で医療としては救った患者が突然に事故死してキリコが高笑いして終わる……のような、突然の展開での後味悪い系エンドもありますが、現代の創作ではそこまで多くは無いパターンだと思いますし、展開自体は突然でもテーマからは逸れていないと思います。(昔の演劇だと悲劇ジャンルで「この後最終的に全員死にました」エンドはある印象ですが。)

 

どの観点から見てもすっきりしないんですよね。

 

あ。死亡展開のほうが御都合主義感が薄いのは認めますよ。シェイドラモンはもともと死んでたんですもんね。

でも、その「死亡展開のほうが御都合主義感が薄い」ってのも短期スパンの話だよなとも思います。『ゴーストゲーム』が基本的に「長期でサブキャラを運用したくない」っていう御都合に沿っているということを考えると、サブキャラを死亡展開でぽいぽいゴミ箱に突っ込むほうが制作スタッフの御都合にはかなっているんですよね。
いやまず、なんなのその御都合。同じ声優さんのスケジュール抑えるのがめんどくさいとかそんな話ですか。ただでさえ話の進行がないんだからサブキャラ増やすぐらいの色気出してくれても良いだろ。

まあ出番多めのサブキャラになった前例がマミーモン(マッド医者)なわけですが……

 

 

エスピモンの与太話は引っ張らないほうが良いのを制作スタッフが分かってなさそう

エスピモンの「ホンモノのアマノカワヒロを探すんだ~」って与太話、引っ張れば引っ張るほどハードルが上がるんですが、制作スタッフはそのへん分かってなさそうだよなあと思います。既にとんでもなく「しょうもない」話である気しかしないのに。


エスピモンの「ホンモノ」与太話、今のところ物語の進展に関わってくるわけではありません。話に加入しない動機にしかなっていません。エスピモンさんは「それでも巻き込まれてくれる」ほどの超お人好しキャラではないのでほんとに加入しない回のほうが多いです。「それでも巻き込まれる」ときは巻き込む周囲がカスなわけです。全方位的に利点がない、ダメ設定だと思います。

エスピモンの登場で話が急速に進展してくと思った? そんなわけないんですね、『ゴーストゲーム』なので。流石に将来的には話に関わってくる設定であるはずですが、その「将来」とはいつになることなのやら。グルスガンマモンが再登場に20話以上かかっていることを考えると、1クール(13話分)は軽く先でも驚きません。加えて言えば、エスピモンの伏線回収が最終回1話前ぐらいの遅さでも全然驚きません。

 

 

■そのほか

・最近の描写から分かって来たんですが、人間の社会に出てきたデジって物理的な食料を食わないといけないらしいんですよね。なのにエスピモンを正式に家に入れてない=食料(餌)を継続的に提供していないというのは、エスピモンがどこからか食料をパクってきてるのを容認してることになるんですよね。第44話「赤錆」の作中でもちらっと触れられたとおりです。ヒロが自分の財布からお金を持ち出してまでエスピモンに餌を供給してやる筋合いがないっちゃそうだけど、うん……ホントニソレデイイノカナ……。
第13話「処刑人」を参照するに、『ゴーストゲーム』の人間社会ではデジモンの1000人辻斬りが可能であるほどデジモンが人間社会に来てる状況です。つまり、1000人どころではない大量のデジモンがやって来て(人間目線で言えば)潜伏している状況です。デジモンにばかすか食料がぶんどられてる計算になりそうなものなのですが……。

 

エスピモンさん、居候キャラとは言われてないですよね? ヒロの家に『居ついている』とは言われてましたけど『住んでいる』とは言われてないですよね? たむろしてるだけですよね?

あんまり説明なしに「エスピモンはヒロの家にいる」ってことにしないでほしいんですけどね、その設定……。まあしょっちゅうたむろしているなら、間違いではないか……。

 

・保とシェイドラモンの分離のためにテティスモン進化を使う展開は熱かったですね。あくまで戦闘のためでない進化なので、戦闘後に進化をしているのが良かったです。瞬間移動でシェイドラモンを引き抜くっていう発想については御都合主義チックだなとは思いましたが。