灰色の本

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『デリシャスパーティ♡プリキュア』第6話「学校!怪物!大パニック!?ねらわれたエビフライ!」:感想

 『デリシャスパーティ♡プリキュア』第6話「学校!怪物!大パニック!?ねらわれたエビフライ!」の感想です。

 

 

■地道に積み上げている良回

全体的には良い回だったと思いました。ここねの心情は(細かい粗を除けば)ざっくりとした観点では上手く描かれていると思いましたし、最終的に友達ができるというオチにはほっこりしました。

パムパムがここねを心配しているという描写も良かったです。パムパムが事件発生までしか目立たないし、自分ひとりで心配しているだけでここねと絡まないので、もうちょっと関わってくれるとなお良かったですが。

 

強いて言うなら、今回の話があるなら前回5話はいらなかったんじゃないかなー……というところが残念に感じました。いやね、5話が嫌いなわけではないんですよ。むしろ5話は好きなほうの回です。ただ、5話って結構4話とかぶる情報が多くて、情報量が薄いんですよね。これなら4話のあと直接今回の第6話に入っても良かったと思うし、第5話で今回第6話で友達になるモブ女子3人についてもうちょっと語っておく手もあったと思いました。

 

主人公ゆい+コメコメ+ローズマリーでだいたい3話、ここね+パムパムでだいたい3話という構成なのかな。では次回からだいたい3話ほどらんらんちゃん+パートナー妖精のターンなのかな? らんらんちゃんの妖精はまだ出てないですが、大丈夫でしょうか。

 

 

■ネタをポイ捨て気味なのは残念

『ここねがお弁当用に大量のパンを作った』『学校の家庭科室に、付喪神系の怪談の噂がある』は、流れに必要な『ここねがゆいにパンを分ける』『パムパムが家庭科室の怪物と誤解される』という要素だけを使ってすぐポイ捨てしてて、残念でした。せっかく転がす余地がいろいろとありそうなネタなのに。

今回の敵は水切り器のデザインでしたが、ここねの家にあるとは語られていても学校にあるとは語られていない水切り器が突然使われて唐突でした(初見ではうっかり敵発生シーンを見逃したので、水切り器デザインだということすら理解できませんでした)。家庭科室の怪物=ヤカンの怪物と思われているんだから、学校の家庭科室のヤカンから敵が発生するべきだったと思います。

 

 

■二人の視点からの台詞が描けている

一方で、パムパムが家庭科室の怪物と誤解されて「ヤカンの怪物が~!」と言われているのに対してゆいとここねが「ブンドル団の仕業か?(ヤカンの怪物=ウバウゾーか?)」という反応をしているのは良かったです。そりゃその二人ならその反応になりますよね。ちゃんと二人の視点(二人の手持ちの情報ならどう考えるか)に寄り添って台詞を書くことができていると思います。

 

 

■影薄めのジェントルーはこれから巻き返し展開か?

戦闘に出てきているにも関わらずジェントルーはキャラが薄いですね。今のところ可愛いキャラデザだけのキャラです。一応いろいろ試行錯誤して襲ってきていることがブンドル団拠点のシーンから分かるので、無能という印象もないですが。

 

今回の話の流れを見る限り、ジェントルー=生徒会長ということなのでしょうか。若干キャラデザが遠い気はしますが。

仮にそうだとしたら『生徒会長をやるような子がブンドル団に入ることになった経緯』というのは面白く転がせるネタなので今後の扱いに期待です。それとも逆なんでしょうか? 『ブンドル団が、何らかの理由があって配下のジェントルーを生徒会長として送り込んでいる』なのでしょうか。

 

 

■ブンドル団、逃げの戦略

「ことごとくプリキュアが邪魔してくる」→「プリキュアに邪魔されないようなところでレシピッピを奪う!」

逃げの戦略ですね(笑)。でもそれで良いと思います、賢いと思います。

 

結局は『邪魔されないと思って学校を選んだのにプリキュアはその学校の生徒だった』ということで妨害されてしまいましたが、ジェントルーはプリキュアの変身前を見てはいてもどの学校の生徒だとかの細かい情報はなかったと思うので仕方ないでしょう。今度はそこらのオフィスの社食とか狙ってみたらどう?

 

 

■天然ウィットなここねの発言が可愛い

生徒会長のパトロール中に飛び出したゆい&ここねのやりとり。

>「おばあちゃんが言ってた。同じ浜のごはんを食べた人とはずっと友達だって!」

>「釜ね」

>「えっ、同じ『釜』? 同じ『浜』じゃなくて?」

>「それじゃシーフード限定になるから」

ここねの「それじゃシーフード限定になるから」の返しがウィットに富んでいてなんだかクスッと来てしまいました。前回第5話であれだけ(俗語で言うと)コミュ障っぽい言動をしていたここねだから尚更面白いです。ウィットと天然の中間っぽい按排で良い感じ。面白いし可愛い。

 

 

■雑学やことわざを出すのは良いが、使い方が良くない

『デリプリ』がところどころ雑学なりことわざなりといった教育的小ネタを出してくることは、個人的には好意的に見ています。今回は『生ハムメロン』『同じ釜の飯を食う』かな。ただし今回は使い方はいまいちでしたね。

 

怪物の正体がパムパムだった=分かってしまえば怖くない、という例えをするのに『生ハムメロン』を出すのはおかしいと思います。まず、生ハムメロンって見た目としては怖くはないじゃないですか。変な食べ方、どまりだと思います。

それなら、ゆいが生ハムメロンという食べ方を知らなかったことにして「ええ~生ハムとメロン? まずそうー」ってドン引きして気持ち悪がった後、実際に食べると美味しくてばくばく食べてしまって「よく分からずに怖がっちゃダメだね」と笑う、ぐらいのエピソードは冒頭で描いておくべきだと思います。(でも食が大好きなゆいが生ハムメロンを知らないのも、いきなり「まずそう」と反応するのもキャラのイメージではないのでこのまま採用するのは難しいかな。やっぱり生ハムメロンという選択がちょっと適切ではない気がします。)

あるいは、ゆいはそういう『ちょっとズレた変なたとえ方』をする子なんだということにする手はあったかもしれません。ここねに「何言ってるんだろ?」というちょっときょとんとした顔(漫画表現の汗タラをしてる感じの顔)をさせれば、それで済んだかも。でもここねもちょっとズレた子なので、これも難しいかな。

 

『同じ釜の飯を食う』は本筋に関わってくるぶん更に良くなかったです。結局ここねが言いたかったのって、現実的に考えれば「同じクラスメイトだから助けたい」ぐらいのことなんですよね。わざわざ「同じ釜の飯を食べた」という表現をしたせいで、「何も一緒に食べてないし同じものを食べてもなくない? 給食制じゃないし、お弁当持参可能だから学食すら必須ではない学校だよね?」と困惑しました。

逆に、本当にあの『三人(友達候補女子モブ三人)』と「同じ釜の飯を食べた仲間だから助けたい」と思ってるなら、ここねちゃんは毎回毎回友達への愛が重くて引きます。誰でも友達に見える方向に認知が歪んでます。ちょっと関わっただけで突撃がぶり寄りをしないでほしい。その突撃癖があるのによく今まで大人しくしてたな。

 

 

■友達エンドなほっこりオチ

最終的に、ここねと助けたモブ女子3人が友達になってほっこり終わったのは良かったです。前半で出しておいたじゃんけんの下りの再演は、ベタで良いですね。

友達が欲しかった子に、友達ができた。

これを喜べるのは、4~6話としっかりここねの悩みを追ってきたおかげだと思います。

 

厳密にはちょっと気になるところがあります。ここねは学校で『高嶺の花』扱いで遠巻きにされていた子だということです。モブ女子3人から見ると、「物置に閉じ込められてしまった自分達を格好良く助けてくれたここね」はますます高嶺の花になってしまうのではないでしょうか? モブ女子3人がここねを『高嶺の花』でなく『友達の一人』として見るようになるには、ここねのヒロイックな活躍ではなく、ここねは意外と普通の、可愛いところがある女の子だよねというエピソードだったのではないでしょうか?

 

その点は疑問だったものの、後味は良かったです。有り得ないほどおかしいという筋ではありません。「そうはならんやろ」→「なっとるやろがい!」で済ませて良いところかな、と自分は思いました。

 

 

■どこまで秘密?

今作がいわゆる『変身魔法少女の正体バレ』に対してどういうスタンスなのか、明確な説明がないのでちょっと首を傾げてはいます。

とりあえず、変身前の姿でジェントルーの前に出るのは平気なんですよね。でも一般人には見られたくないのかな。

 

コメコメやパムパムの存在を隠すのもちょっとよく分からないですね。そりゃあ特殊能力持ちの小動物の存在がバレたらめんどくさくはなると思いますが、素直にそれだけだと思っていいのか、それともそれ以上の理由が何かあるのでしょうか。

 

 

■そのほか

・リモート(ビデオ通話)で料理を教えるという発想が現代的で良いなあと思いました。

ハートキュアウォッチというプリキュア用のイレギュラーアイテム(ファンタジー要素)の力で「通話画面を空中に表示させている」のは近未来ガジェット的。現代と近未来、ファンタジーとSFが奇妙に同居しているような不思議な感覚で、面白かったです。

細かいことなのですが、こういう『現代』っぽい描写が挟まると、現代に合わせてきちんと感覚をアップグレードしながら作っているのだなあと感心します。商業アニメなんだからそんなアップグレードぐらいやって当たり前と言ってしまえばそうかもしれませんけどね。

 

・料理に慣れないここねがキャベツを派手に散らかすというポンコツお嬢様ネタ自体は個人的に食傷なのですが、『通話画面に映っていない=ゆいに見えていないところでキャベツを散らかしている』という処理の仕方は地味に新鮮でした。

 

・家庭科室のお皿が落としても割れない素材でできている、という細かいリアリティに笑いながら感心しました。そうだよね学校用のお皿って割れないような素材になってることあるよね(もちろん学校によりますが)。

効果音もちゃんと『割れないお皿が落ちた音』(固めの音ではなくて、ちょっとくぐもったみたいな音)でgood。

 

セクレトルーは相変わらず「……っていうか、(嫌味発言)」だけでキャラが濃いのでオトクなキャラですね。

>「っていうか、私はタルタルソース派」

どうでも良いよ(笑)。好き。