灰色の本

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『デリシャスパーティ♡プリキュア』第7話「強火の情熱!きらめいてキュアヤムヤム!!」:感想

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第7話「強火の情熱!きらめいてキュアヤムヤム!!」の感想です。

良かった。らんらんちゃん、すごく好き。

 

 

■他人にも美味しいと思ってもらいたい、という願いに情熱を注ぐらんらんちゃん

らんちゃん、個人的には一番好きかもしれません。好感度がうなぎ登りです。

今までも「自分ひとりで自分のご機嫌を取れる子で偉いな~その点だけで純粋に尊敬できる素敵な子だな~。プリキュアになっても食い倒れひとり旅&SNS投稿はやめないでほしいなあ」と思っていたのですが、主役回になったらもっと好きになりました。

 

らんらんちゃんは一人でもゴキゲンな子ですが、実際には他人の存在が常に前提にある、視野の広い子なんだなと思いました。視野が広くてポジティブで前向きで、大人が求めるような型にはまった『良い子』ではない意味ですごく良い子です。自由に幸福に生きていく力が強そうという意味で理想的な子です。

 

やりたいことも既に明確です。彼女はおうちのラーメン屋さんに誇りを持っていることから見ても、SNSで美味しいものを発信していることから見ても、『他人に美味しいと思ってもらいたい。他人と美味しいものを美味しいと共有したい』子なのです。

『美味しい』を追い求めているため、料理研究にも熱心です。おうちのラーメン屋のラーメンの味を向上させる=自分で美味しいものを作ることにも、他の飲食店で美味しいものを発見することにも熱意を注いでいるのです。

いやあ、おうちのラーメンについて目に炎を浮かべながら語るほど情熱的な子だとは思っていなかったので、びっくりしました。びっくりしたあと、また好きになりました。

 

ここまでの回のかんじだと「食い倒れ趣味なんだなあ、自分の趣味に全力で素敵だなあ」ぐらいの認識をしていたのですが、ちょっと違うようですね。

らんらんちゃんの中には『美味しい』を求めるという一本の芯が有って、その努力の方向が「美味しい料理を探してSNSで紹介すること」にも「実家のラーメン屋を手伝うこと」にも向いているというのが正しいのでしょう。そして、彼女の努力は努力でありながら非常に『喜び』に近くて、努力を努力とも思わず自然体で情熱を傾けているのでしょう。とても素敵な子だと思います。

 

そして、そんな彼女がおうちのラーメン屋の味を奪われたとき。

彼女は「らんらんがレシピッピに会いたいなんて思ったから……」と深く後悔して涙します。

その思いが彼女をデリシャスフィールドに招いたとき、ジェントルーを見つけた彼女は何も迷うことなくジェントルーに「お願い、うちの味を返して!」と叫び、威勢よく立ち向かっていきます。

ジェントルーの言葉で一瞬心が折れかけたけど、それでも最終的には勇ましく向かっていくのです。プリキュアに変身メン!」と唐突なことを言われても、「なんでも来いだよ!」と微笑んで。

 

 

■天真爛漫で全力で生きている女の子・らんらんちゃん

思ったより情熱的な子だった、ということ以外の点でもらんらんちゃんは魅力的でした。

 

「あ! ラーメンの妖精!」と(他の人には見えない存在であることはらんらんちゃんも知っているのに)素直に口に出すらんらんちゃん、ちょっと危なっかしいけど天真爛漫で可愛いです。元気すぎて言動がアホの子っぽい印象もありますけど、頭が悪い子では決してなさそうですよね(抜きんでて頭が良いほうの子でもないでしょうが)。

これだけ天真爛漫だからメンメンを見てもすぐに「レシピッピがいるんだもん、他の妖精だって全然あり! むしろウェルカム!」と喜んで受け入れることができたのでしょう。この会話をしてるときのらんらんちゃん、無駄にくるくる回ってるのも好き。『デリシャスパーティ♡プリキュア』はもともと表情がコミカルによく動くアニメですが、らんらんちゃんはトップクラスでコミカルに表情も動きもころころと移り変わって、見ていて楽しいです。

 

で、メンメンと円滑に自己紹介を済ませたら、あっという間に「オトモダチ記念にツーショット!」と言い出して二人で写真を撮っていて、微笑ましくて笑ってしまいました。全力で生きてる感じがして好ましいです。

 

あ、レシピッピについてとりあえず図書館で調べてみようとするところも好き。好きなことについてすぐに調べてみようと動ける子で、勉強熱心ですよね。

 

あとは、彼女をそこまで突き動かす情熱が生まれた経緯とか、その情熱が向かう先についておいおい掘り下げてくれれば完璧かな。

ああもう、表情や動作や発言を見てるだけでも楽しいし、やりたいことがはっきりしているうえに自然体で勉強熱心な努力家で人間として尊敬できるレベルだし、好き。少なくともこの1話で描かれたことは満点だと思いました。

 

 

■やるべきことは押さえて、ちゃんとパートナーをやっているメンメン

メンメンは薄味な処理でしたが、それでも重要な説明は的確に押さえていると思いました。

 

ラーメン屋で目に炎を燃やして情熱的に語っているらんらんちゃんを、メンメンが既に目をきらめかせて見つめている描写がとても良かったです。メンメンはこのとき既に彼女に惹かれていたんですよね。

そこかららんらんちゃんと仲良くなるのも、らんらんちゃんの天真爛漫なキャラを使って無理がない流れで進みました。アニメ本編ではカットされた部分でもどうやらいろいろとおしゃべりをしたらしいことも分かります。一緒にツーショットを撮るまでの描写で既に良い感じだったし、らんらんちゃんはメンメンと別れるときにわざわざ「またね、メンメン」と声をかけて去っていったので、仲良く和やかにいろいろお話ができたんだろうな、と想像することができます。

 

ゆい達が戦闘のためにデリシャスフィールドに向かう中、メンメンは自分かららんらんちゃんの元に残り、彼女を支えます。らんらんちゃんがデリシャスフィールドに乱入してジェントルーに「客が楽しみにしていたのは半額という値段じゃないのか?」と言われて心が折れそうになると、こう伝えます。

>みんなが美味しいって思ったから、ほかほかハートがあふれたメン!

これは、単なる客観的事実です。実際にらんらんちゃんのおうちのラーメンは美味しいのでしょうし、美味しいからほかほかハートがあふれてレシピッピたちが呼び寄せられたのでしょう。

でもこの事実をこのタイミングで、らんらんちゃんの心を支えるために伝えることができるメンメン。なんと的確で、優しいんでしょうか。

 

メンメンが言った言葉はささやかなものだったかもしれません。けれど、ゆい達の「ラーメンが美味しかった」という声で立ち直りかけていたらんらんちゃんは、そのささやかな言葉で完全復活します。らんらんちゃんとメンメンは目を見交わして、はにゃ!」「メン!」と頷き合いました。

 

よくできてる。よくできてます。拍手を送りたいです。

メンメンの描写がそんなに多かったわけじゃありません。でも、らん&メンメンの本格登場の1話として、やるべきことはきちんと押さえていたと思います。

 

 

プリキュアたちの三者三様の食への思い

これでメインプリキュア三人の食に対する意識が出そろいましたが、面白いですね。

 

ゆい=プレシャスは食べること自体が大好きで、どんなものも美味しく食べます。逆に、味にはそこまで執着心がないのかもしれません。いわゆるグルメなものを食べたい美食趣味ではなくて、よほど失敗した料理でもない限り美味しいと思うタイプの子なのでしょう。食べること自体が好きなので料理にも興味があり、一般的な家庭料理ぐらいなら作れる腕があるようです。また、味の良し悪しにそこまで拘泥しないとは言え、らんちゃんの家のラーメンの隠し味を一口で「こんぶ」と当てる舌の鋭さは持っています。

変身時の名乗りの最後は「おいしい笑顔で満たしてあげる!」です。他二人と比べると分かりますが、食の何を重要視するかといった方向性が特にない台詞だと思います。食べるとおいしい、おいしいと笑顔になれる、おいしいのは素敵。そういうシンプルな世界観なのだと思います。

 

ここね=スパイシーは裕福な家庭の生まれで美味しい料理は食べ慣れているため、逆に味に頓着はしていません。もともと食事にそこまでの興味がなかったぶん、今まで自分で料理することはあまりなかった様子です。ゆいと出会ってからは『友人と一緒に分け合って食べること』に重きを置いています。

変身時の名乗りの最後は「分け合うおいしさ、焼きつけるわ!」です。『分け合う』、つまり誰かと一緒に食べることが重視されています。『分け合うおいしさ』という表現から考えると、ここねにとっては『分け合うから美味しい』のです。

 

らん=ヤムヤムは料理店の生まれであり、自分自身も料理研究への強い熱意にあふれています。ゆいと同じく『美味しい』ということに価値を置いていますが、ゆいが味にそこまでこだわっていないように見えるのに対して、らんは「他の人にも美味しいと思ってもらいたい」という願いがあるので(客観的な)味にもこだわりが見えます。知らない飲食店を開拓することや開拓した飲食店をSNSで紹介すること、おうちのラーメン屋を盛り立てることにも熱心です。

変身時の名乗りの最後は「おいしいの独り占め、ゆるさないよ!」です。独り占めを許さない。これはここねと同じように『誰かと一緒に食べること』を重視していると取れます。ですが、ここねの名乗りと比較すると、食べ物が美味しいのは既に前提として「独り占めを許さない」と言っているように聞こえます。『美味しいものをみんなで食べたい』がらんの望みなのです。

 

 

■ちゅるりんアカウントの件は次回持ち越しか?

これはどちらかと言うと前回の評価点の書き忘れなんですが、SNSをサーチするという形でここねがらんらん(ちゅるりん)をブンドル団の関係者ではないかと睨んでいるのは、結果的に誤解だっただけでgood jobだと思いました。実際、「ブンドル団に狙われた料理が全部紹介されているアカウントがある!」なんて怪しいですもんね。ブンドル団について独自で調べようとしていて(ほんとにブンドル団を調べるつもりで検索していてちゅるりんアカウントを見つけたのかは知りませんが)、ここねちゃんは働き者だなあと思いました。

 

ただ、その前振りが今回第7話であんまり活きなかった気がするのはちょっと気になります。前半でここねがらんちゃんを見ながらゆいに「もしかしてちゅるりんさんって……(らんなのでは)」と言ったっきりでした。ゆい&ここねがらんを疑ったり探りを入れてみたり、逆に「らんちゃんはクラスメイトだよor良い子だよ! ブンドル団じゃないと思うよ」とらんを信じたいという流れになったりはしませんでした。

(ラーメン屋を出た後のナレーターの「美味しすぎて何か忘れてるみたいよ」の台詞、初見だと『らん=ちゅるりん=ブンドル団という疑惑を調査することを忘れてる』と言いたいのかと思ってしまいました。実際にはメンメン忘れのことでしたが。)

 

うーん、前回の前振りからは、ゆい&ここねが『らん=ブンドル団の一員かも?』と誤解しているせいで起こるどたばた騒動が見れることを期待していたんですけどねえ。

でもあんまり『メンバーが次の加入メンバーの素性を疑う』をやりすぎてもギスギスするかもしれないから、これで良かったのかもしれませんね。

 

次回第8話でちゅるりんアカウントをやめるやめないの話をするようなので、そっちが本番ということでしょうかね。次回に期待しましょう。

 

 

■そのほか

・らんらんちゃんの乱入に反応して突然「はらペコった」と言い出し、らんらんちゃんのおうちのラーメンがいかに美味しかったか語り始めるプレシャスには笑ってしまいました。格好良い意味ではないけど、美味しいところを持っていったと思います。主人公なのに他のメンツに押されて空気気味なので、こういうとこで美味しいところを引き続き持っていけると良いですね。

プレシャスに釣られてしまって「食べたくなってきた」と言い出すローズマリーも、釣られて語り始めるスパイシーにも笑いました。特にスパイシー、貴方そんなに語る子じゃなかったでしょ(笑)。(※ただし、このスパイシーは「ギャグだとしてもキャラ崩壊かもしれない」と、笑いながらちょっとモニョりながら笑いました。先述したとおり、スパイシー=ここねはそこまで『味』にこだわる子だという印象がないからです。)

 

・バリカッターブレイズ、麺をリング状にして投げる技なんだ。麺を新体操のリボンみたいに伸ばして攻撃する技とかじゃないんだ、と思いました。ちょっと驚きました。

 

・最後にみんなでらんらんちゃんのおうちのラーメン屋でラーメン食べてるシーン。もうどこがどうとかでなく全部ほっこりしますね。順調にみんな仲良くなってて微笑ましいです。特に好きなのがコメコメ・パムパム・メンメンが同じどんぶりから一本ずつ麺をすすって美味しそうにしているところと、「マリっぺ!」と呼ばれたローズマリーが一瞬たじろぐけどすぐに「悪くないかも」と嬉しそうな表情に変わるところです。

 

・生徒会長、突然に悪役面で登場して笑ってしまいました。少なくとも視聴者には正体を隠す気は全然ないようですね。

作中世界でも、らんらんちゃんが「ラーメンとセットで一品半額にして客引きすれば良いって生徒会長に教えてもらった~」または「生徒会長もレシピッピが見えるんだって!」とゆい達に伝えるだけで一発で怪しまれてしまう状態になりました。結構あっさり敵バレする方針で進めていくのでしょうか?

 

・余談。一般的にラーメン屋のような回転率重視・薄利多売タイプの飲食店は期間限定値引きセールはあんまりやっちゃ駄目とはよく聞きますね。なんでも値引きしたほうの価格が正常な価格に思えるようになってしまって、値引き前の元の価格が相対的に高く感じられるようになり、逆に客足が遠のいてしまうのだとか。

どれぐらい妥当な説なのかは分かりませんが、もしある程度本当なのだとしたら、レシピッピを集めたいという利己的な理由で値引きセールをそそのかした生徒会長=ジェントルーは罪深いですね。(それ以前に、レシピッピを盗むことで料理の味を狂わせて、飲食店の客に「こんなものを出すなんて……」「もう二度と来ない」と言わせている時点で相当に罪深いのですが。小さな個人店なら悪い口コミで吹っ飛びかねない話です。)