灰色の本

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『デリシャスパーティ♡プリキュア』第18話「わたし、パフェになりたい! 輝け! キュアフィナーレ!」:感想

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第18話「わたし、パフェになりたい! 輝け! キュアフィナーレ!」の感想です。

う、うううううん。ごめん。ぜんっぜんついてけませんでした。

 

 

■あまねはどうしてそこまでレシピッピを神聖視する?

ごめんなさい、今回はほんとについていけなかったです。絶対評価で最悪というわけではないのですが、『デリシャスパーティ♡プリキュア』は普段の平均点が高いので「今回は間違いなく今まででワーストだな……」と思ってしまいました。

 

「ジェントルーの時は洗脳されていて、あまねが自分本来の意思でやったことではない。それは本人もよくわかっているが、自分がやってしまったという感覚、自分が汚れてしまったという感覚が忘れられない。自分を許せない」という描き方をしたのは秀逸だったと思います。「洗脳された状態でやったことなのに?」という疑問にシンプル&ストレートに答えつつ、リアリティがある罪悪感の抱き方でした。そういう罪悪感の抱き方をしてしまう真面目で責任感が強い心の持ち主なのだ……ということは改めてよく伝わってきました。

 

ですが、

プリキュアはレシピッピを守れる唯一の存在。

>そして、ほかほかハートは、お料理への感謝の気持ちから生まれる……。

>そんな神聖なものに、私が相応しいはずがない……。

ここまで語られると、「な、なんでそこまでレシピッピ&ほかほかハート(とそれを守るプリキュア)を神聖視してるの?」って引いてしまいました。

 

料理への気持ちから自然発生するもの(発生しても一般人には大して意味がない)と、その自然発生物が沸くところにふわふわ集まってくる知能が薄そうな謎マスコットですよね? パフェのレシピッピの例から実際にはそこまで知能が薄くはないと考えても、パフェのレシピッピを参考にするなら割と(創作上では)そこらにいそうなキャラ付けの、つまり俗物ですよね。そこまで持ち上げる感覚になる???

 

ほかほかハートはお料理への感謝の気持ちから生まれるから神聖ってこと? なんで??? まあそりゃ良い感情ではあると思うけど、人間の他の感情と比べて取り立てて神聖なんですか? 比較すると他の感情はそこまで神聖ではないってこと? なんで?????

 

あまねのその神聖視さえなければ、この話って、「レシピッピたち(や他の人間たち)を傷つけてしまった。だから、償いのためにレシピッピを守るプリキュアになる」であっさり終わりじゃないですかね……?

 

で、あまねだけがこんな感じというわけでもなくて、戦闘突入後のローズマリー

>(あまねを指して)そして、お料理を愛してる!

>レシピッピに愛されてるのがその証拠よ!

ってテンションなので引いちゃいます。え……今作のプリキュアたちって宗教の代理戦争とかするみたいな話でしたっけ……っていう比喩を使うのはご時世的にちょっとアレですが……。

 

……圧倒的に、レシピッピ&ほかほかハートの掘り下げ不足だと思います。

というか、ほかほかハートはレシピッピが真っ当に掘り下げられていたら結果的に一緒に掘り下げられていたと思うのでひとまず良いとしても、レシピッピの扱いの方針が変わりすぎだと思います。前回第17話と今回第18話、あとレシピッピからミキサーを入手する第10話だけレシピッピの重要度が重すぎると思います。他の回ではレシピッピは「特に情報量を持たせず、可愛いマスコット姿のマクガフィンとしてのみ登場。薄味に徹する」ぐらいの役割だったと思います。

今回のような展開をするなら最初からもっとレシピッピの描写が必要だったと思います。温度差で風を引きそうです。

 

 

■あまねに対し、全否定に近い言葉を投げかけてしまうゆい

>(プリキュアになることを固辞したあまねに対して)あまねさんはそれでいいの?

ゆいのこのセリフにも引いてしまいました。い……いや、ゆいはもともと視野が狭くって、自分が正しいと思ったことにそのまま突っ込んでいく独善的な性質はありました。それで良かった回もあったんですけど……。

深刻に悩んでいて、長い期間学校を休んでいたあいだも延々考えて結論を出したと思われるあまねに、実質的にほぼ全否定のニュアンスを伴う言葉を投げつけないでほしかったです……。もうちょっと柔らかい対応をしないと、余計に苦しめてしまうだけじゃないですか……。

 

 

■あまねの双子兄たちは軽妙さと優しさを両立したやりとりがgood

あまねのことを掘り下げつつ、自分たちのキャラも立てつつ、軽めだけど決して軽すぎない優しいノリで話をするあまねの双子兄たちは良かったです。

>みつき「あまねが大きな声を出すなんておどろいちゃったよ。(略)

> なんで謝るの? あまねに心を許せる友達がいて安心した」

>ゆあん「うむ! あまねは悩んでいても、なかなか話してくれんのだ!」

>みつき「それはゆあんがデリカシーがないから……

  というのは半分冗談で、心配かけたくないみたいなんだよね」

>ゆあん「あまねは人一倍周囲のものを大事にするからな。

> そして頑固だ!」

>みつき「いちずって言ってあげてよ。

> でもいつもみんなのことを思っているのは本当さ」

良い。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』らしい善良さをベースに、サブキャラとしてきっちりキャラが立っていると感じました。

 

 

■双子の兄たちと比較して、メインキャラなのに相対的に薄く見えるあまね

あまねの双子の兄たちは、サブキャラながらしっかりキャラが立っていて魅力的だと思いました。しかし、ふっと別のことも考えてしまいました。

あまねより魅力的に見えてしまう、と。

 

あまねももちろん魅力的なんですよ。ポテンシャルがある子だと思います。が、実際問題、視聴者はあまねのことをまだよく知らないんです。洗脳されていたときの姿と、洗脳されていたときの記憶の罪悪感に押しつぶされそうになっている姿しか知りません。彼女らしい本来の彼女を知らないんです。このことは前から薄々気づいていましたが、第17話の放送から改めてずっと考え込んでいました。

 

そんなあまねに比べると、自然体の生き生きした状態で、双子同士で軽快にやりとりしながら妹あまねのことを優しく心配している二人がどうしても魅力的に見える……とお思ってしまったのです。

もうちょっと言い換えれば、あまねはまだ「洗脳悪堕ち→悪堕ち解除味方化キャラ」とか「責任感が強い真面目委員長キャラ」とか「宝塚口調(であるだ口調)のクールお嬢様」とかの属性以上の深くて有機的なキャラ付けができていない……気がするのです。素材は非常に優秀なので『刺さる』人にはものすごく刺さるでしょうし、「最初から性癖にぶっ刺さってた。たまらん」という人も多いキャラだとは思いますが……。

すみません。自分はまだそこまでついていけません。掘り下げ待ちです。

 

 

■完璧な悪役ムーブを決めてくるナルシストルー

わざわざあまねを「ジェントルー」と呼び、あまねがジェントルー時代に作り出した敵に似せた敵をぶつけてくるナルシストルー、嫌らしすぎます。悪役として完璧なムーブで好きです。ついでに、彼が作る合体ウバウゾーも前回の試作品に比べて圧倒的にパワーアップしていて、ちゃんと『脅威』になっていたのもグッド。

 

>あまね「ずっと、みんなを笑顔にしたいって思って生きてきたのに……!」

>ナルシストルー「はっ! つまらない生き方だな!」

 

いやあ、傷ついているあまねへの悪態の入れ方が最悪すぎる。最高の悪役です。

 

『デリシャスパーティ♡プリキュア』のプリキュアたちは正直、思考が成熟しているというイメージはないのですが(中学生ですしね)、ナルシストルーに「生徒会長の気持ちバカにするな!」と迷いなくノータイムで突っかかっていけるところは本当に善良で良い子たちだと思います。

 

更には、しばしばナルシストルーはプリキュアたちの発言に「虫唾が走る」と返していることも個人的には好感を持っています(一部では「虫唾走りすぎ」とネタにされているようですが)。これは、気力があったら別記事を立てて話そうかと思います。

 

 

■ゆいの、おばあちゃん名言の引用の仕方が良くない

今回のおばあちゃん名言の使い方にも疑問符を浮かべながら引いてしまいました……。制作スタッフとしては今回のゆいには良い出番をたくさん作ったつもりだと思うのですが、個人的には良いとこ無しだと感じました……。

 

>『昨日食べたものが今日の自分を作る。

> 昨日食べたものが今日の自分を作る。』

>過去は変えられない、でも!

>未来は、この瞬間から作っていけるんだよ!

 

後半だけなら良いんですよ。

ジェントルーだった過去は変えられない。そうですね。

そんなことより前を向いて行動していくべきだ。そうですね。

あまねが自分の意志で悪いことをしたという前提なら「いやそんな都合よく過去に目を潰られても」と思います。けど、ジェントルーとしての悪行は本来あまねが責任を取るべき必要があることではないのでこれで良いと思います。特に異議はありません。

 

でも、問題は前半ですよ。この名言を引用しちゃったら、ジェントルーだった過去は覆せないものだと考えているということ、あまね=ジェントルーを追認することになりませんか?

「ジェントルーのときは自分の意志ではなかった(あまね≠ジェントルーだった)が、それでも自分を許せない」というところで葛藤しているあまねにこれを言うのは……無神経であるような気がします。後半の文面から、ゆいがそういう意図で考えていないことは分かるんですけどね。

 

更には、ゆいは直前にナルシストルーの「ジェントルー」呼びを受けて「あまねさんはジェントルーじゃない!」という方向に怒っていた気がするのですが……。理不尽なナルシストルーに対してノータイムで怒ることができること自体は素晴らしいと思っているのですが、ノータイムであることを優先しすぎてちゃんと考えずに怒ってませんかね……。

 

それはそれとして。ウバウゾーの生み出した溶岩(ビーフシチューあたりがモチーフでしょうか)の熱気に顔をほてらせ、目をうるませながら「あまねさん、明日は、どんな自分になりたい?」と聞くプレシャスは、作画も声の演技も最高だったと思います。言ってる内容がちょっと引っかかってついてけなかっただけで。

 

 

■スパイシー&ヤムヤムの応用技が活きる

スパイシーのシールド、便利ですね。丸形パンの形で遠隔にシールドだけ飛ばすこともできるようになったんですね。サンドプレスの応用技……で良いのかな? 名前無しでさらっと発動できるタイプの別の技?

それを活かして寸胴鍋の敵にフタをして攻撃を止めたのはナイスアイデアでした。フタするシーンの叩きつける動き、好き。得意げに「シンデレラフィット!」って言ってるのも好き。でも尺をひっぱらずにすぐにヤムヤムの出番に交代するあっさり感も好き。

 

ヤムヤムの麺も、斬撃だけではなくてリボンのように扱って拘束もできるんですね。こちらも技名言ってなかったから、スパイシーの丸形パンもヤムヤムのリボン麺も「ピリッto(ヘビー)サンドプレス」「バリ(バリ)カッターブレイズ」とは別の技なのでしょうか?

どちらかというと技公開前に「麺モチーフキャラの技」として想像したのはこちらでした。スパイシーが拘束技を使う設定なのでわざと外してきたと思っていたのですが……。ヤムヤムがベタな『縛る』タイプの、汎用性が高い拘束技を使えるならスパイシーの拘束技はあまり有用性がなくなってしまうと思いますが、どうなんでしょうか?

まあ、今回描かれたとおり、スパイシーの技は盾として優秀です。また、押しつぶしの攻撃技として力押しにも使えます。スパイシーの技がヤムヤムの技に食われることはないでしょう。直感系のヤムヤムではなく、「今は拘束したほうが良い」「今は盾として」「攻撃として」と全体の状況を考えながら戦っていそうなスパイシーが拘束技を持っていること自体にも有用性があると思いますしね。

 

なお、スパイシーやヤムヤムのように応用技がなく、やっぱり火力でぶん殴ってるプレシャス。(笑)

 

 

■フィナーレのバンクやデザインは微妙だが、個人の好みの範疇か

①キャラデザイン

フィナーレのキャラデザは、個人的には「カラーリングが好きじゃない。黒髪美少女のあまね原型デザインを活かした紫系か、ジェントルーデザインを敢えて活かした銀系にすればいいのに」「気品あるタイプのキャラデザのテンプレは外してると思いますけどコレわざと?」ぐらいですが、これは本当に好みの問題だと思うのでそれ以上言うことはありません。

 

ところで公式的には、黄色髪のヤムヤムと黄色髪(金色髪?)のフィナーレのカラーリングのかぶりはあんまり気にしないんでしょうかね? そこまでシリーズの歴史に明るくないのでよく分かりません。「それでも金髪キャラはちびっこに人気なんだよ!」って言われたら、それは優先すべきな気がしますし。

 

個人的には気品あるタイプのキャラのキャラデザとは感じられませんでしたが、特にお嬢様らしさを強調する動作をしているわけでもないのに戦闘中の動作が華麗だったので、アニメーターさんは凄いなあと小学生の感想じみたことを思いました。

 

 

②変身バンク

フィナーレの変身バンクは……好きになれないっていうか、「他の3人との同時変身バンクがちぐはぐしてそう」というのが気になって今はまともに評価できませんね……。

自分は、『デリシャスパーティ♡プリキュア』は3人の同時変身バンクに統一感があるってことを高く評価してるんですよ。フィナーレはなんか、変身音楽からして違うんですが、大丈夫でしょうか。

 

 

③必殺技バンク

フィナーレの必殺技のバンク演出は、正直よく分かりませんでした。

・コマ落ちみたいな演出がされていましたけど、多用されすぎで合ってなかったと思います(見ててなんか不安になるし疲れる)。

・戦闘中の素の動作は華麗だったのに、せっかくのバンクではお嬢様らしさや優雅さが感じられなかったのも残念です。

・武器モチーフがクリームの絞り器であること自体はナイスアイデアだと思うのですが、クリームを絞るシーンはカメラワークで誤魔化しているだけで棒立ちだよね……なんてことも気になってしまいました。

・エフェクトの出来は良かったんじゃないかと思いますが、いかんせん色数が多い&黒背景に蛍光色なので見ていて疲れてしまいます。もうちょっとゆめかわパステルぽく統一してくれたら目が楽だったと思います。

 

 

■パフェのレシピッピの掘り下げ不足

パフェのレシピッピが現れたときのほかほかハートが、結晶体を作った。あまねは最初から、結晶体にプリキュアとして選ばれていた。

それは分かるんですけど、その展開をやるならもっとパフェのレシピッピ本人&パフェのレシピッピとの思い出について掘り下げておくべきだったと思います……。パフェのレシピッピとの思い出が他のほかほかハート発生事例と比較して特別だったという雰囲気にも見えませんし、ちょっと納得いかない……。

 

戦闘後のシーンでも、パフェのレシピッピに「レシピッピ」以上の特別な名前がないので、あまねが「レシピッピ!」とそのまま呼ぶしかなかったのも渋い顔をしてしまいました。

 

 

■そのほか

・早い時刻からあっさり戦闘に入り、あっさりあまねが敵につかまった状態から戦闘が開始するのは、展開が早くて良かったです。情報量はそのぶん少なくなりましたが。

 

・これは、設定的には多分あまり正しくないので、単に自分(中の人:グレイ)の好みだと思ってくれれば良いんですが……。今回、あまねはナルシストルーによって思い出を奪われているほうが面白かったと思います。

「みんなを笑顔にできるパフェのような人になりたい」と言った日の大事な思い出を、あまねは忘れてしまった。

プレシャスの呼びかけで、あまねは忘れたはずの思い出と同じ「みんなを笑顔にできるパフェのような人になりたい」という願いを叫んだ。

あまねの願いに共鳴してほかほかハートの結晶体が光り輝き、またパフェのレシピッピ(をエネルギー源にしているウバウゾー?)も共鳴しはじめ、あまねに思い出の記憶が戻る。以下、同じ流れ。

こんな感じに味付けすれば、ちょっとの違いでぐっと良くなった気がするんですけど……まあ、ただの好みです。