『デジモンゴーストゲーム』絆描写のためにはご都合主義が発動しないという話
『デジモンゴーストゲーム』で、ご都合主義が「絆の力」では発動しないみたいな話です。
第33話感想を書く最中に書いたものを独立させたものなので、短いです。
『ゴーストゲーム』って、ご都合主義が「絆の力」では発動しないんですよね。割といっつもそうだと思います。
「俺たちはパートナーだから」という絆描写のためにご都合主義が発生すること、「絆の力」というゴリ押しな理由でご都合主義が発生することがあまり無いと思います。脚本を動かす都合のために絆を否定するかのようなご都合主義のほうが強いので、絆の力は常に競り負けます。
「脚本を動かす都合のために絆を否定する」タイプのご都合主義をぱっと思い出せるものだけ列挙しても、下記ぐらいはあると思います。
・第9話「捻レタ時」で、ガンマモンはルリにスイーツを食べに連れ出されて、体調がおかしかったヒロを一人にして放置し、敵の襲撃を招きます。
脚本都合としてはまさにその「ヒロを孤立させ、敵に襲撃させたい」という意図です。
※このシーンを「離れていてもヒロのピンチに気付いたガンマモンの兄弟愛!」と評価する向きもあるようですが、まず体調が悪くて直前に膝までついているヒロを、本人が大丈夫と言ったからといって一人で放置するのが最悪におかしいと思います。
・第28話「顔取リ」では、顔を失って深刻な精神的危機(廃人状態)にある先輩にジェリーモンは落書きをして遊んでいます。犯人にブチ切れてとっちめようとしたり、逆に先輩の窮状を嘆いて甲斐甲斐しく看病してくれたりはしません。
脚本都合としては、多分「ジェリーモンを戦闘に参加させたくなかった」という意図だと思われます。恐らく戦闘シーンの手間を削減したいがために、戦闘前に脱落させたor話に関わらせなかったと思われるケースは『ゴーストゲーム』では非常に多いです。
・第32話「オマエハ誰ダ」では、ヒロはガンマモンの本物&偽物をまったく検知してくれません。
脚本都合としては……なんだろう……? そりゃ、ヒロを事態解決まで正気に戻したくなかったのは分かりますけど、それなら『ベツモンには凶悪な洗脳能力があり、抵抗は無理なんですよ』ってもっと強調して描けば良かっただけのはずですし……。
一応公平に「パートナーの絆を描写する方向のご都合主義」と感じられるケースもぱっと思いつけるだけ並べておきます。ただ、そこまでの流れでお膳立てが十分にできておらず、効果的ではないものが多いとは思います。まあ、お膳立てがちゃんとできていたら『ご都合主義』ではないのですが……。
・第2話「博物館ノ怪」で、諦めずに戦ってチョコをもう一回食べようというヒロの声掛けでガンマモンがベテルガンマモンに気合初進化する。
・第19話「逢魔ガ時」で、ガンマモンがヒロの本物と偽物を検知してヒロを救った。同じく、アンゴラモンもルリを救った。
この描写はほんとに手放しで良かったと思ってるけど、第19話のこの描写をほめればほめるほど第32話「オマエハ誰ダ」でヒロはガンマモンの本物&偽物をまったく見抜いてない件が相対的に悪くなり……。
・第25話「紅ノ饗宴」で、「二人で乗り越えようぜ!」的なことをヒロが熱く叫べばガンマモンがカノーヴァイスモンに初進化できた。
ヒロ&ガンマモンは困ったらだいたい「気合で叫べばなんとかなる」で済ませている気がするのがしょっぱいです。絆ご都合主義には見えなかったので上記の列挙には含めませんでしたが、カウスガンマモンへの初進化も「飛びたい飛びたい飛びたい!」って気合で叫んでたらどうにかなりましたしね。
最初から「アホの子」にすら到達していない赤ちゃんキャラなガンマモンはまだ良いのです。ドライ&頭脳派と設定されていてめんどくさがりと思われるシーンが多くて気合とは無縁と思われるヒロが実際は熱血&脳筋なバトルスタイルで、ご都合主義でどうにかしているのが厳しい。