『デジモンゴーストゲーム』第2話「博物館ノ怪」:振り返り感想
『デジモンゴーストゲーム』第2話「博物館ノ怪」の感想です。
※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです。
■今回のホラー:疲れている人が襲われる
今回のホラーは疲れている人がターゲットにされているので、理不尽で怖いですね。
前回みたいに完全ランダムでターゲッティングされるのも理不尽なんですが、「疲れてる」というマイナス要素のせいで「襲われる」というマイナス要素が発生するというのは辛いなあ。踏んだり蹴ったりです。
■赤ちゃんガンマモンとその研究
ガンマモンはやっぱり知能的には赤ちゃんで、可愛いけどちょっとめんどくさいですね。知性も人間界の常識もないけど、ドアは開けられて戦闘能力はあるんですから置いとくわけにもいきません。好奇心旺盛でいろんなものに反応するさまは面白くて可愛いのですが、『合意も事情説明もなく突然クソ親父からお世話を押し付けられた』ヒロは可哀想です。
試食販売を食べられなかったガンマモンの「あああ~」という悲鳴、悲痛で可愛い(笑)。ごめんガンマモン。
わざわざいろんな食材を買って与えているヒロは優しいなあ。と思いましたが、「辛いぞ?」とも言わずに辛子明太子を食わせてたので『優しい』という評価はなかったことになりました。最も、ガンマモンに「辛いぞ?」と言っても、辛いという言葉の意味が分からなかったかもしれませんが。
ヒロはどちらかと言うと、ガンマモンを慈しんでいろいろな食材を食べさせてあげてたのではなく、ガンマモンからデジモンの情報をできるだけ得ようとしてガンマモンの反応をいろいろチェックしていたようにも見えます。
ガンマモンは(クソ親父に『ヒロとガンマモンは兄弟』と教えられたからですが)ヒロに純粋に懐いているようなのに、ヒロはガンマモンと仲良くなることにはあまり興味が無さそうに見えます。興味ありそうに見えるのは、ガンマモンに「チョコ気に入った?」とちょっと嬉しそうに話しかけてるとこぐらいかな。あ、あとガンマモンがチョコを気に入ったことを覚えていて戦闘ピンチ時に「またチョコ食べような!」って声をかけるヒロは良かったとは思います。
せっかく他の仲間の加入を後回しにしてヒロ&ガンマモンの回を設けたのに、ヒロがドライなぶん絆描写が薄めに感じられてもったいないなあと思いました。ヒロくんはこんな感じのドライなキャラでずっと行くのでしょうか?
■何故わざわざ今回の話に出てきてカス言動を見せたんだコタロウ
コタロウ、入院中に呑気に看護師ナンパしてるあたり、短い出番でカスですね。やっぱり1話で『ホラーの序盤で死ぬから許される、腹立つキャラ』として天命を全うしてたほうが良かったんじゃないでしょうか。
「病院を追い出された」ではなくて「母親がブチギレて退院させた」なあたり、母親はマシなようです。
……母親がブチギレるレベルのナンパ……「礼節を守りつつ仲良く会話する」とかではなく、完全にセクハラだったんだろうなあ。ナンパってだいたいセクハラですけど、中でも酷めのセクハラだったんだろうね。
■ヒロの目標って何?
ヒロって、何を目標にしているのでしょう。
いや分かるよ、多分お父さんを探すためにデジタルワールドの情報を得ようとしてるんだよね……でも、その目標ってはっきり言われたことありましたっけ?
父親からの要求は「ガンマモンを弟として保護・養育しろ」です。録画の内容を信用するなら、父親は元気で生きてるそうです。
「助けてくれ」と言われたわけでもなく、逆にヒロが父親にどうしても今すぐ会いたい・会う必要があるという話もなく、急いで探す必要が感じられません。
何が言いたいかというと、博物館に不法侵入(※厳密には侵入ではなく不退去です)して、人さらいをしているという噂の危険なデジモンに接触するほど手段を選ばずに急ぐ必要があるのでしょうか? ということです。
上記の第1話感想で書きましたが、1話から受けたヒロの印象は「人に流されやすく主体性に欠ける」でした。ヒロのガンマモンに対する行動を見ても、まるでガンマモンを淡々と研究しているような様子で、「親父に理不尽にガンマモンを押し付けられたという事態に粛々と対応しようとしている」受け身の姿勢に見えます。
その彼が、ホログラムゴーストの噂本を買うまではまだ分かる。そこで不法侵入してまで危険なデジモンに会いに行こうぜってなる!? この展開にはちょっと困惑しました。
しかもお兄さん、貴方、昨日クロックモンに襲撃されてたはずですが、死の恐怖とかなかったですかね? 貴方自身が危険だったのに加えて、お友達も老化して死にかけてたよーな気がしますが……。
■お医者さんなマミーモンさん
マミーモンが実は医者で、害意はなく、人間を治療して永遠の命を与えようとしていただけ(改心可能)というのは面白かったです。敵が改心せずに捨て台詞を吐いて逃げ去っていく1話のあとの2話目にこういう別パターンを出すと作風が広がります。
最終的に改心すると言え、「永遠の安寧を」「良い兆しだ、希望を持て」などと狂信的に動いていて話が通じないカルト感が出てたのも怖くて良かったです。そのカルトな呟きを聞いたヒロがマミーモンの考えを察したことで解決に繋がるのも、ヒロの冷静な知性を良く表してて良かった。
マミーモン、害意はなかろうと完全にやってることが怪異(ド迷惑)だし、誤解が激しすぎるアホとも表現できちゃうんですが、個人的には「デジモン=人間の常識が通用しない存在である」と一貫してて良かったです。マミーモンさんは多分、デジタルワールドに生きるデジモンとしては頭が良いんでしょうけど、人間や物理世界の常識が分からないだけなんですよね。
(細かく言えば「流石にそこまで人間の常識知らんことある?」とか「たまたまマミーモン(ミイラ)が医者で、たまたまミイラ治療に目を付けたって何?」とかあるんですが、そこまであげつらうほどの話ではないかなあ。)
ミイラなので火に弱い→ベテルガンマモンで弱点を突いて逆転する流れも良かったです。ベテルガンマモン初進化回に適任なデジモンでしたね。
■舞台と時系列
今回の事件の舞台は『ミイラ展を開催中の上野の博物館』でしたが、放送当時、実際に上野でミイラ展が開催されていました。小ネタですし、そもそもゴスゲの世界は近未来なので時系列が現実とは一致しないのですが、それでもこういう現実世界とリンクするネタは面白いですね。
ちなみに1話が「入学式から半年後=10月ごろ」という設定なので、放送時期と月日はざっくり一致しているようです。