灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第6話「呪ワレタ歌」:振り返り感想

デジモンゴーストゲーム』第6話「呪ワレタ歌」の感想です。

 

※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです……と言いたかったんですが、当時の感想を見返してみると「批評する元気がずるずる無くなるような感じの回」とあとちょろっとだけ書いて放棄してました。思い出して書きました。

 

 

 

■死の危機感が欠落したルリという少女

死にそうな目にもう三回ぐらいは会ってるのにホログラムゴースト巡礼してるルリはなんなんだよ。

しかもヒロを引きずり回して。

しかもホログラムゴースト巡礼は、デジヴァイスを得てデジモンが見えるようになったルリが独自に始めたわけではなく『最近の流行り』なんだそうです。ルリ曰く、「本物のゴーストはダメだったけどデジモンには会えたわ」『本物のゴーストをアップしたい(SNS映え狙い)』なので、ゴーストのほうが本命らしいです。お前ほんとなんなんだよ!?

なんだかここまで行くと、命の危機を感じる回路が壊れてて、そのせいで主人公を恩人とも思ってないような気配すらあります。危機を感じてないので恩も感じてないという。……いえ、違いますね。流石に初当番回は怯えていたように思います。命の危機を感じる回路はあるけど喉元過ぎれば五秒で忘れ、一緒に恩も忘れる。そんな子ですね。今のところの描写を繋げるとそうなっちゃうんだよこの野郎。

彼女が何を考えていて何を目的としているかが分からないので「目的もはっきりしないうえ、ホログラムゴースト(=デジモン接触すると命が危険にさらされる可能性を身をもって知っているのに、ホログラムゴースト巡礼のためにまたヒロをパシり倒して引きずり回している」ということになります。酷すぎない?

いやね、ホログラムゴースト巡礼の目的はSNS映えですよ、それははっきり言われてます。でもさあ、『SNS映えに命を賭けちゃう子』とか『フォロワー稼ぎに憑りつかれてて盲目になっちゃうタイプの子』という説明もされてなかったと思うんですけど!? カジュアルなお遊びでカジュアルに命賭けないでほしいしカジュアルに他人を巻き込まないでほしいんですよねえ! 

>「私はみんなのおかげで助かった……」(※だから助ける、という意図)

う、うん。凛々しくてよろしいです。第3話でヒロに助けられた時点でそう思って欲しかったんですよね。助けられた五秒後までは記憶があるのかな、ハハハ。

 

 

■恵まれた第5話から酷い第6話を迎えた先輩

びっくりするほど……びっくりするほど最悪でした……いや致命的に悪いわけじゃあないんだけど……今後の希望をごっそり失わせる感じで悪い……。

あのですね、第5話感想②で、自分、こう書いたんですよ……

>実は、先輩も地味に仲間化フラグは立っていません。しかし、この先輩ならデジモン関係の何かが起きるごとにヒロにとりあえず泣きつくと思われますので、行動を共にする動機は立っていると思います。

泣きつけよ。

なんでっ……なんでジェリーモンに無理矢理連れ去られるまま、単独でカラオケ行ってんの? いやっ、お前、その場にたまたまいたヒロに泣きついてるんじゃダメなんだよ! お前ほんと……ここで積極的に連絡してヒロと行動を共にして仲間フラグを磐石にして置かないと……仲間に加入できなくなるだろ……? え? 違う? 俺が考えすぎなの?

前にも書いた通り、先輩は仲間加入フラグが厳密には立ってないんですよ。ヒロ達に助けられただけですからね。先輩はヒロ達に助けてもらう動機はあっても、例えば「デジモン事件を解決して町を守りたい」とかの一緒に仲間をやるような動機(長期的目標)はないんですよね、今のところ。

だから一緒に行動する理由に唯一なりうる「ヒロに泣きついて助けてもらう」を積極的にやらなかったら仲間加入できないだろ。なんでヒロに連絡もせず、一人でジェリーモンに引きずられてるんだよ。え? ほんとに俺が考えすぎなだけ?

なんかその、ね、先輩とジェリーモンね、細かく言及する元気がないんだけど、「この組をよりにもよって一番最悪の取り扱い方をしてない? 誤魔化しが効いたはずのところを潰してない?」って気がします……。

 

■友情は発生せず、むしろマイナスだけが発生する

ルリが「東みた……きよっち」と名前を覚えてないことをわざわざ強調してくるシーン、一体なんなの。そのシーン、流れに必要だった? こっちは「良いからさっさと仲間になれよ」って思ってるのに友情が存在してないことを強調してくるなよ。

しかもいきなりあだ名呼びするあたりまた地味にじんわり無礼なんだよ! なんかこう……一個一個はいちいち指摘するとこっちが狭量に思われそうな小さな小さなプチ無礼さなんだけど、この子は何個も何個も重ねてプチ無礼なんだよほんともう。

※別に「年上の先輩をあだ名で呼ぶなんて!」って話じゃないですよ。「関係がまだ築かれていない相手に、初手から、許可も得ずあだ名呼びをする」のが無礼って言ってるんです。

 

■ハッキングは犯罪です

ハッキング能力持ちをハッキング役に使う。……うん。妥当です。ハッキング行為自体がまあまあ犯罪(※厳密には違います)なので、犯罪くさい話になってしまうのは仕方ないと言えば仕方ないと思います。

店の人の許可を取らないと、と妥当なことを言いだす先輩を「緊急事態!」って怒鳴りつけて無理矢理やらせるのは何なんですかね。

犯罪なんですけどね。地元最高!

そもそもこれ、『許可なく犯罪行為で対処しなきゃいけないほどの』緊急事態だったんですかね、ってのが呑み込めなかったんですけど……。まあここはまじめに書こうと思うと、状況の可能性のいろんな考慮や情状酌量ポイントや、何故『ヒロ達』が犯罪してまで対処しなきゃいけないのか感情的に飲み込みにくいから犯罪行為が引っかかるんですとかいうことまで書かなくちゃいけなくて非常にぐだぐだと長くなるので割愛します……

 

■バランスを取る気がない、可愛げがないジェリーモンに残るのは

ルリはもう一貫してこういうパシリマンなので良いんですけど、ルリと一緒になって先輩を怒鳴るジェリーモンは既に没個性的に感じました。

前回第5話のジェリーモンは深刻な害獣ですけど「なんだかんだ全体では先輩とバランスが取れてる(案外に押したり引いたりされてる)」印象で、制作側の故意であることは伝わってきたので少なくとも自分は許容できました。

今回第6話のジェリーモンはすべてがすべて一方的です。第6話のジェリーモンは先輩とのバランス取る気ないから本気でただの害獣に見えるのでダメ遡及して第5話もダメという感じです。

まあね、第5話の時点で最初からそう思ってた人もわんさかいるでしょう。第5話のジェリーモンに幻想をいだいてしまったのがダメだったんでしょうね。ははは。

でもまだもうちょっと希望を持ってても良いですか。(泣)

 

■ホラー展開も不発

今回のホラーは……なんか平凡でしたね……。

特定のカラオケ屋で特定の歌を歌う(その曲をかける)と、不気味な声が合わせて歌い始め、頭痛で動けなくなり、襲われる。題材自体が平凡寄りなので限界はあるとは思うんですが、せっかく『カラオケルームで歌わなくても、建物の中でその曲が流れるだけで怪奇現象が発生して襲われる』という不意打ちな良アイデアがあったのに、演出が悪いので怖いと思えませんでした。

セイレーンモンの「私の歌を聞いて?」の声が高めで全然綺麗すぎて怖くないんですよね。セイレーンモンの声の担当は大御所声優の水樹奈々さんなので、演技がヘタなのではないと思います。演技指導・演技指示がヘタなんだと思います。ていうか低音ボイスに加工(?)した声も出してるんだから、ルリへの襲撃のときの声も低音ボイスに加工すればよかったのに。通常の声は戦闘に入ってから出すとかさ。

 

■せっかくの共闘なのに

ガンマモンがムカついて無駄な特攻をして無駄にピンチ→ヒロが「ガンマモォン!」って叫んで進化、という前半の流れの雑な感じはもう良いです。

空を飛べるアンゴラモンがベテルガンマモンを抱きかかえて共闘、という展開には「これこれ! 仲間が出来たからにはこういう展開をしなきゃ! 待ってた!」とそこまでの視聴でメゲてた心がちょっと元気になったんですが。

ヒロの音痴な歌で戦闘中断、そのままセイレーンモンが「感動した」って言い出して『今回の決まり手:ヒロの音痴な歌』で終わる、って……そんな意味不明な尻切れトンボ、ある……?

え、いや、ヒロさん貴方、前半では「音痴なので、歌うように誘われても断ってた」ような気がするんですけど……もごもご……。

説得シーンの説得の仕方も意味不明だったんですけど、細かく言及する元気はないです。

 

■そのほか

・今回使われている「呪いの歌(歌うと怪奇現象が発生する歌)」はシリーズ前作『デジモンアドベンチャー:』の楽曲で、まあそりゃ許諾を取ろうと思えばすぐ取れるんでしょうけど、「呪いの歌」と呼ばれて散々低音加工の不気味な声で歌われた挙句、壊滅的な音痴のヒロに歌われるって、凄いですね。自分なら「そりゃあ許諾は出したけどさあ! こんなふうに使う!?」ってゴネるわ。それとも使用方法もきちんと説明したうえで許諾を取ったのかな。

・セイレーンモン、ファン(そこらへんの人間)のことはちゃんと視認してるのに『歌を聞いて頭痛でのたうち回っている』ことは気にしてくれないあたりが、うーんとても害獣。害鳥。ここは通常運転ですね。

・セイレーンモンさんにはせっかく大御所で歌唱力がとても優れている水樹奈々さんを呼んできたのに、歌はすぐ低音加工されて本来の歌唱力で聞くことが出来ない、通常の喋りは高くてきれいな声すぎて怖くないと、せっかくのお力を生かし切れない出演だったと思います。残念。

・第3話に加えて第4話も実質ルリ&アンゴラモンの当番回みたいなもんだったんだから、第5話に続いて第6話の今回も先輩&ジェリーモンの当番回で良かったんじゃないかと思います。なのに先輩とジェリーモンが薄い。

・ジェリーモンの前回の「ダーリン……」はツッコミを入れられて話を転がされて初めて生きるような設定だと思うんですが、唯一ダーリン呼びを聞いていたルリは先輩の名前を覚えてないぐらいの興味の薄さなので話を転がしてくれません。というか、この連中はちっとも友達じゃないので、「ダーリン」呼びにツッコミを入れる雑談タイミングを逃しました。仲良くなる雑談をしてくれないんですよねこいつら。

 

■第6話の総評

・第5話の次がこの第6話だと、ホラーとして既に息切れを感じる

・ホラーが弱くなると、キャラが全員弱いからキャラ同士のわちゃわちゃに逃げることもできないので悲惨

・ヒロとルリは相変わらずパシリ関係だし、先輩が友達や仲間に格上げされてないと判明したのがきつい

・今までの瞬間最大風速ワーストは第4話のルリによるヒロパシリだが、1話単位でのワーストは今回の第6話。何かが致命的に悪いわけじゃないけど今後の希望を失わせる感じでほぼすべてが悪い