灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第7話「鳥」:振り返り感想

デジモンゴーストゲーム』第7話「鳥」の感想です。

 

※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです。

 

 

 

■当たり前みたいに仲間ヅラしているメンバー達に引く

とりあえずとりあえずとりあえず、友情も成立しておらず目的の共有もできてない連中が何故か一緒に動いてるのが気持ち悪い!!! なんでアンタら仲間ヅラして勢ぞろいしてミカちゃんの相談聞いてるの? やめてほしい!

友情成立描写も仲間成立描写も今までなかったでしょおじいちゃん!!!  動機の描写もできてない奴らが大半なんですからね貴方たち!!!

……いやね、うん、その、厳密には、友情描写がなかったわけではないんですよ。カボチャ回(第4話)でヒロとルリが冗談言いあってるよねとか。そのぐらいしか思いつかないけど。あ、うん、前回第5話のホログラムゴースト巡礼を「ヒロ×ルリのデートみたいなもの」「ヒロもまんざらでもなかったのでは」と好意的に補完することはまあできますね。

いやごめん、ちっとも同意できないんだけど。

ルリがヒロをパシってるようにしか見えなかったんだけど??? 

友情がまだ成立してないのに

・突然「オトモダチらしい体裁を先に整える」みたいに名前呼びをしろと持ちかけたり

・「(こんなことも)知らなかったの?」という無礼な揶揄を飛ばしてたり

・「(こんなことも)知らなかった?」と無礼な揶揄の仕返しをしてたりしてた

ようにしか見えなかったんだけど???

 

先輩の友情描写はほんとに無かったでしょ。

「東みた……きよっち!」と言ってわざわざルリが先輩の名前すら覚えておらず友情どころのレベルじゃないという描写をしたのは前回第6話なんですけど? なんでそこから週をまたいだだけでデジモン事件解決サークルの友達&仲間みたいになってんの?

先輩にハッキングを無理強いしてやらせたので、全員一緒に仲良く犯罪者にはなったと思いますが。地元最高!

 

か、仮にね。仮にこの三人(正確にはデジモン含め六人)に友情が発生してたというのは一旦認めたとしてもね、

この連中が仲間としてデジモン事件解決サークルをやる動機が分かんねえんだけど。こいつらが命を賭けてデジモン事件に関わる動機、教えてもらってねえんですけど。

 

 

■今のとこのメインメンバーの動機

メインメンバーの動機が尺を取ってしっかり解説されることがなうし、作中にさらっと印象薄く出てきた動機はことごとく熱意や必要性が見えないんすよ。

だって今のとこのメインメンバーの動機、こんな感じです。

 

ヒロ:緊急性も必要性もない親探し。

ガンマモン:動機はない。赤ちゃんなので兄(扱い)についてってるだけ。

ルリ:SNS映え狙い(命の危険は感じていないらしい)。

アンゴラモン:街や人にデジモンが危害を加えることを好んでいない。街や人を守りたい。

清司郎:動機なんかない。関わりたくないのに巻き込まれてるだけ。

ジェリーモン:今のところ「事態を面白がってる」以上の動機が不明。

 

人間にまともな動機がないのはもう終わってます。だってさ、巻き込まれてるだけの先輩は良いとして、「特に必要はないけど親父を探したい」と「SNS映え(※)」、命が危機に晒される可能性があるデジモン事件に関わる動機として納得できます?

(※)SNS映えがガチの趣味で命賭けちゃうような子なんです、ならそれでも良いけどさ。別にそこまで熱心にやってるようにも見えないんだよな……

 

アンゴラモンの動機が一番理解できちゃうの、ほんとどうかと思います。なんだかだ言ってデジモンより人間を物語の主軸にする傾向が強いデジモンシリーズで、人間の主人公とヒロインを差し置いて、ですよ。

アンゴラモンさんは脅威をある程度分かったうえで腹決めて街を守ろうとしてることがよく分かりますからね。彼はルリにべったり張り付いているのではなく、しょっちゅう抜け出してはパトロールや情報収集に動いているらしいというのも第5話序盤の描写から分かっています。

 

で。

こんなふわふわしてて熱意が感じられない動機の連中ばかり、しかも動機が無い連中も混ざってる状態で、この6人でパーティ結成しましたみたいなツラしてるのほんと何?

 

 

■ルリの暴挙が止まらない

いや待ていや待て、ミカちゃんの相談のあとすぐに先輩はビビって帰ろうとしていた。つまり「デジモン事件が起きたっぽいからみんなで調査するぜ!」ということに事前に同意してあの場に集合したのではないのかもしれない。

あのシーンを『第6話と第7話の幕間で、「動機がある同士でデジモン事件に関わっていこうぜ」と既にみんなで同意し合って仲間になっていた』と読み解くのが間違っているのかもしれない。判断を急いているのかもしれない。

えーと、その場合、なんであそこに全員揃っていたかというと……

ミカちゃんはルリの友達。

ミカちゃんに相談を持ち掛けられたルリが他のメンバー呼びつけてパシってる

またルリのせいじゃねえかよ!!!(絶叫)

 

 

■「仲良くない」を描写しすぎている

前回第6話の感想時に危惧してたことがあっさり高速で当たった。

 

前回第6話ね? 「今後の希望を失わせる感じでほぼすべてが悪い」って書きましたけどね? 主に何がそう思わせたかって結局、

「仲良くなさ」を書いているせいで話が詰んでるんですよ。

 

・あのビビリ先輩が、ジェリーモンに引きずられてってるのにヒロやルリをヘルプに呼ばない。

・ヒロとルリは調査(ホログラムゴースト巡礼)に先輩呼ばない。(パシリの対象にしなかったという意味では良いことだが……)

・ルリは先輩の名前を覚えていない。

 

こいつらの仲良くなさ、相当じゃないですか?

目的は特にない・同じではないが、仲が良いのでとりあえずぐだぐだつるんでいる。そういう逃げ道を潰しました。

こいつら、本来なら仲間になれないんですよ。目的が一致しない(そもそも目的がはっきりしてない)し、仲良くもないから。まあ、「じゃあ仲良くなれば良いじゃん?」と言われたらそうです。数話かかると思うけど。

まあ脚本が「そんなことどーでも良いよね」と言わんばかりに全員を十把一絡げひとやまいくらで仲間にしてしまったみたいなので、逃げ道を潰そうと関係なかったみたいですね。

 

 

■ガンマモンに搭載されるチート、戦闘の茶番化

ガンマモンの進化が割と御都合のよろしいタイミングで発生する御都合気合主義であり、いわゆる『イヤボーン』であるというのは「別にどうでも良いかな。そういう作品なんだろう」と思って言及してなかったんですが、

 

新進化経路まで気合で生える

アンゴラモンの空中サポートが無くても、気合さえ入れれば飛行形態になれる

・飛行形態はアンゴラモンの空中サポートよりよほど優秀

・気合入れて願えば、必要な能力を持った進化形態がその場で生える

 

全部ダメだと思う。何それ、貴方はチート系異世界転生作品の世界からいらしたんですか?

 

例えばですね? あくまで例ですが、

・気合進化ではなく意識的な進化。

・複数進化ルート持ちのデジモンの進化先は、人間が指示する余地がある。

・進化先によってメリットデメリットが大きい。

こういうのなら戦術の要素も生まれてくるんですよ。

 

でもさあ、気合で好きなものになれて、気合で必要な能力が生えてきて仲間の能力が不要になるんなら、もうガンマモン一人が気合出して全部やれよ

「空を自由に飛びたいなー!!!」って叫べば自由に飛べるようになるんなら、「もっと強くなりてー!!!」って叫んで強くなって全部の敵をワンパンしてくださいよガンマ兄貴。今まで解決できなかった事案は気合不足ってことでしょ?  アンゴラモンさん巻き込む前にさっさと気合入れて街守れよ

 

ガンマモン、お前のせいで第6話のせっかくのアンゴラモンさんとの共闘シーンが台無しだよ……共闘なんかしなくてもお前が本気出してれば空飛べてもっと早く終わったんでしょ? なんだよそれ。

 

というか第6話だけじゃなくて今までの戦闘の手数も全部無駄だったんじゃねーの。ガンマモンが本気出してれば進化してワンパンだったんじゃねーの? ほんっと……遡って全部の戦闘が茶番化したんじゃねーのかな……

 

 

アンゴラモンさん、Go To Travel☆南の島

アンゴラモンさん、単に善人だから街や人を守ろうとしてくれてるだけなんだよな。もういいよ貴方がそんなもの背負わなくて……ルリも貴方が守るほどの価値がある子に思えないよ……

アンゴラモンさんには南の島の慰安旅行に行ってもらうからガンマモンが全部戦えよ……。

アンゴラモンさん慰安旅行に行ってくれ、そしてこんな街に二度と戻ってこなくて良いよ……。

 

 

■熱血ヒロの気合論

一応ね? ガンマモンはヒロの「諦めるな、飛べ!」という声に呼応して進化した、つまりヒロとガンマモンの絆で進化をしたのだ、という描き方はされてるんですよ。「ガンマモン単独の気合でどうにかなるなら一人でどうにかしろよ」という指摘は言いがかりです。

 

じゃあお前ら二人の気合でどうにかしろよ。さっきの話が「ガンマモン一人でどうにかしろよ」から「ヒロとガンマモンの二人でどうにかしろよ」になるだけで何も変わらねーよ。

 

②え、いや、「諦めるな、飛べ!」って何?

 

 

えっ、その……何?

 

ヒロさん、なんでそんな急に熱血根性論に目覚めたの?

 

貴方、そのお、どっちかと言うと……頭良くて機転と計算でどうにかする系じゃなかった?

ついでに言えば、貴方、「諦めるな!」って言葉が似合うほどの積極的なキャラじゃないような気が……むしろパシられることに慣れっこになって、毎日うっすら諦めて暮らしてるイメージがあるんですが……

 

いや仮にヒロがそんなことを言うキャラだったとして、「諦めるな、飛べ!」って、その、『諦めなかったら飛べる』前提でおっしゃっている……? いやその、ガンマモンはそりゃ飛行能力はありますけど……

 

本当はここは、あげつらうようなシーンではありません。

飛べるガンマモンだけど、ヤタガラモンに高速で吹き飛ばされ、いくら羽ばたいても減速しない。このままでは叩きつけられる。

ヒロの「諦めるな、飛べ!」という台詞は、ガンマモンの直前の「おれ、飛びたい飛びたい!」という台詞に呼応するもので、「(それしか方法が無いから、今効果が出てなくても)それでも頑張って羽ばたいて減速しろ」という意図です。特におかしくないです。

敢えて言うならおかしいのはガンマモンの「俺、飛びたい飛びたい!(※ガンマモンは飛べはする)」のほうですが、これも「もっと強い飛行能力を得て減速したい」みたいなことを言いたいのに赤ちゃんガンマモンが舌っ足らずなだけですね。

 

いやえっと……。

ガンマモン「もっと強い飛行能力を得て減速したい!」

ヒロ「諦めるな、頑張って羽ばたいて減速しろ!」

うん、意図はこうだよ? ヒロは別に進化しろと言ってるわけじゃない。「別ルート進化をしたら飛行形態になれるぞい!」なんてことを知ってるわけじゃないです。そうです。

 

でも実際の台詞と起きたことは、

ガンマモン「ヒロ! 俺、飛びたい飛びたい!」

ヒロ「ガンマモン! 諦めるな! 飛べ、飛ぶんだ! ガンマモン!」

→飛行形態への進化ルートが生えてマジで飛べるようになる

 

なんだよ「飛びたい!」「諦めるな飛べ!」で諦めなかったら都合良く超パワーに覚醒してほんとに飛べるって。

そんなド根性な連中だったっけ?

 

 

■さいきょう

で、ヤタガラモンに一泡吹かせたあとのガンマモンの台詞がこちらです。

「やった~! 最強(※チョコのこと)のかたき取った!」

……そうだね。貴方、最初から「最強」がどうこう言ってたね。

 

え。

解き放たれた猛禽類が人間を襲うかもしれないとか、横でアンゴラモンさんやジェリーモンがぼろぼろになって倒れていたとかは、もしかしてどうでもよろしいですか……?

 

そういやお前、ベテルガンマモン初進化の時も「チョコをまた一緒に食べような!」で進化してたよな。

もしかしてチョコ>>>>>その他でいらっしゃる?

 

 

■ホラーはもう息切れ

今回もホラーは不発です。うん。

強いて言うなら「データの01に分解する攻撃を仕掛けてくる」は怖いと思いました。が、それは例えばRPGの敵が異常な高ダメージ技を使ってきたときに「うわ、エグっ。コイツこわ」と言うような意味での『怖い』です。ホラーの『怖い』ではありません。

 

ホラー要素は第1話がマックスで、そのあと第4話ぐらいまでは水準高めで保ったものの、今はもう息切れしてると思います。当初から「ホラーなんてネタ出しが高コストそうなジャンル、大丈夫なのか?」と思ってはいましたが、失速が早かったですね。

でもホラーが失速したぶんをカバーできるほどキャラが育ってないのは自業自得です。やりようによってはこの時点でみんな仲良くわちゃわちゃできたと思うよ。

 

 

■そのほか

・ミカちゃんはチロル帰ってきてほんと良かったね! ほんっと良かったよ!

 

・ヤタガラモン戦で風を掴むところは、アニメの枚数が多いわけではないんですが、『風』という目に見えないものを過不足なく分かりやすく表現してて良かったです。

 

・ヤタガラモン、何考えてたのか分かんなくてすっきりしねー……。うん、今作の『敵デジモンを倒さない』縛りの中で、動物的な挙動をしているヤタガラモンが「逃げる」のは新パターンで良い気がするんですよ。でもすっきりしねえ。ここまでの脚本が「大したことない~酷い」ぐらいのレベルなので信用が無いです。「詳細考えるの丸投げしたんかな」って見える。

 

・ゲスト人間のダイゴはカルトな方向に行っちゃったやばい人なので子供たちにアフターケアまでしろとは思わないんですが、それにしてもまたどっかで再犯するかもしれない感じの奴に興味持たず追いかけもしないんだからすげーな。