灰色の本

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『デジモンゴーストゲーム』第15話「占イノ館」:振り返り感想

デジモンゴーストゲーム』第15話「占イノ館」の感想です。

良いほうの回(だいぶマシなほうの回)とは思うんですけど、いつもどおり話の前提に納得できないし、いつもどおり気軽に犯罪はする、そんな感じの回です。

 

 

※この記事は初見当時に他媒体で書いた感想を元に、後から再構築したものです。

 

 

 

◾︎比較的良回だが……

前置きで述べた通り、『ゴーストゲーム』としては割とマシなほうの回だった気がします。が、

 

・ここまでに作品を通して描かれてきた根本的な倫理観からダメ。

・『今回だけ見て想像されるだろう過去の絆描写他の描写は存在しない』こと。

 

この二つを脇に置いておけば、です。

 

ルリとアンゴラモンの絆には同意してねえ。

カマイタチ回で「わたしたちは仲違いしてまた仲良くなりました。仲違いができたということは、仲違いをする余地があるほどもともとの仲が良かったからです」という何一つ同意できない主張がされてから、そのまま『もともと仲は良かったです』と歴史改変されてやがる。

 

 

◾︎占い屋に不法侵入はいつもより更にマズい

今回もまた気安く犯罪をします。また不法侵入です。慣れてきましたね。良い子のみんなは真似しないでね。これ、良い子のみんなが見る番組だと思うんだけどなあ。

 

 

ルリ&アンゴラモン視点で危険性がほぼ判明していない状態なのに店に侵入する時点でアウトなんですけど、

 

『他人が占ってもらっている=お悩み相談してると思われる極めてプライベートな空間』

 

に突っ込んでいって覗き見&盗み聞きしようとするのは普段のホップステップ犯罪とはまた別の方向でも倫理観がクズなんですよそれ。

 

別にルリに相談内容自体を盗み聞きする意図がなくても、関係ありません。もし仮に自分が他人に激・重たい相談とか恥ずかしい相談をしてるときに、全く知らないガキんちょが裏で話を盗み聞きしてたことが分かったらどう思います?

占い屋だとピンと来ませんか? 心理カウンセラーさんでも良いですよ? 家庭の悩みや学校・会社の悩みといったデリケートなことを相談してるときに全く関係ない他人がこっそり聞いている。嫌ですよね? 話の内容によっては、言いふらされるかもといった恐怖すら感じますよね? おんなじことなんですよ。

 

犯罪の度合い的には、普段の侵入と大差ないでしょう。けどデリカシーのなさという意味では、倍増しでアウトなんですよ。

 

まあ「友達に事情を話してもらえないなら、その友達を尾行すれば?」(カマイタチ回)なんて提案が平気でまかりとおるのがゴーストゲーム世界なので、今更な話なんでしょう。

友達を尾行して秘密を暴くのがオーケーな倫理観なら、占い屋で前に並んでたウザい奴の盗み聞きぐらいしますよね。

 

◾︎レッツ軽犯罪(ウィークリーログインボーナス)

こいつら毎回毎回軽犯罪してんな。犯罪をひとつもしなかった回が存在してなくないか?

(※注釈:後になってから確認しましたが、流石に犯罪をしてない回もありました。この回を見た直後の感想ということで。)

 

ルリは美点として

フットワークが軽い(行動力がある)うえに

勇気がある・物怖じしないので

迅速に勇気行動してくれる。

というのが挙げられます。これは一貫してそういう描写になっています。

だがその迅速勇気行動で実際にやっていることがだいたい『必要性・緊急性を確認する前からレッツ軽犯罪』だから困る。

 

勇気行動というイメージはありませんが、『必要性・緊急性を確認する前からレッツ軽犯罪』自体はヒロもやります。

ルリは自発的勇気行動、ヒロは非自発的場当たり行動という違いはありますが、どっちにしてもレッツ軽犯罪だし、どっちも人の心がなくて恐怖とか倫理観というストッパーがない故の行動です。怖い子たちだよ。

 

ヒロとルリ、ああいう『良い子』に見えるキャラデザで『良い子』として描いてそうな脚本筆致じゃなくて、最初からイカレ野郎設定だったら逆に輝いた可能性はあるんで可哀想ですね。そんなイカレ野郎達が主人公なアニメがおこさまに見せたいアニメになるとは思えませんが。

でも『良い子』っぽく描かれてるふうのヒロとルリが毎回ホップステップ軽犯罪して先輩を理不尽に軽んじますっていうアニメがおこさまに見せたいアニメとはもっと思えませんが。

 

 

◾︎アンゴラモンの正体バレを心配する必要ってあった?

ルリの友達には人の心が有って安心しました。

けどそもそもこの子ら、アンゴラモンを見たことあるよね? ルリの連れてるホログラムペット(?)みたいなもんだと認識してるんじゃなかったっけか。

アンゴラモンを他の害獣デジモンと混同する要素はあんまりないのでは……? 「ルリのとこの子って、ただのホログラムペットじゃないな!?」ぐらいは思うだろうけど。

 

それに、デジヴァイスを持っていないルリの友人は、カードから展開する疑似デジタルワールドにはもともと入れないですよね。じゃあもともと、戦闘フィールドに巻き込む心配っていらないですよね?

アンゴラモンを害獣デジモンと思われるかも」の戸惑い方も謎です。だって友人は擬似デジタルワールドに入れないんだから、アンゴラモンのことをそもそも見れないよね?

いや? そもそも良く見たら、アンゴラモンさん、ホログラムゴースト状態でルリの友人の前に姿を現してるみたいなんですが? ホログラムゴースト状態って、疑似デジタルワールドどうこうに関係なく一般人の目にも見えるんじゃなかったっけ?

 

……なんかぐちゃぐちゃです。え? それとも自分がなんか誤解してる?

だーもー、実体化ルール(人間の目に見えるか見えないか)が無駄に複雑すぎるって前々から言ってるだろ。アホにも分かるような設定にしてくださいよう。

 

 

◾︎はやくメガテンをやれ

今回の話はあらすじ的には大したことないんですが、

デジモン実体化ルールを把握したうえで人間の恐怖感情を利用して実体化しようとするデジモン、しかも組織的にその計画を実行するデジモンが出てくるというのは面白かったですね。これからの話の広がりを期待させます。

敵担当デジモン露骨に悪魔デザインなフィレスモンなのも良いですね。人間の恐怖感情を得るために行動するフィレスモン、本気で悪魔の挙動です。

 

 

うん。それさ。世界観のテンションがわりとメガテン

さっさとメガテンノリにして人間の死人をばかすか出したほうがバランス取れると思います。

 

 

なのに脚本が意地でも人間を殺さねえ。

 

 

今回のフィレスモンなんか、目的のために容赦なく人間をゴミみたいに殺して喜んでそうなタイプに見えますが? この回で人間殺さなくていつ殺すの? もうずっと人間の殺害は出さない方針?

フィレスモンは敢えて殺しまではしないことで、時期が来るまでは話を水面下で抑えておこうとする狡猾なタイプなのだ、と言われればそういうタイプにも見えますが……。

 

いやね、ゴーストゲームの『人間は意地でも殺さないし死にかけててもその回の事件が解決すると脈絡なく復活するが、デジモンは大した描写もなく1000人ほど殺す』というあんまりに人間とデジモンで差がありすぎる作劇方向性は未だにひたすら根に持ってるんですよ。

 

 

■和解(専門用語)で良いの?

毎度毎度バトルが『和解(専門用語)』で終わってますけど、敵はむしろばかすか増えてるし、「まだまだやらかしますよ!」って宣言してる連中を放置してますよね。雑草も今回の悪魔モンも放置しないほうが良いと思いますけど。

 

 

ヒロたちって、首は突っ込む割に事件の根本的解決に興味ないですよね。人の生死がかかってるんですよ? 今まで脚本方向性というメタ次元のご意思によって誰も死んでないだけで。

 

 

ほんと、ばかすか人死にを出してメガテンやりましょうよ。

デジモンの無残な数字だけの死とバランス取るために人間を景気良く100万人ぐらい殺そう?

人間世界に紛れ込んできたデジモン社会での1000人死亡のインパクトって、人間社会でのインパクトに置き換えれば最低限それぐらいはあるでしょ? それぐらいやらないと緊張感のないヒロとルリは反省しないと思うよ。ヒロとルリは本当、緊張感とか責任感とか倫理観とか恐怖心とか、人としてまあまあ当たり前な心を実装してほしい。そんな大事件があったら、作中の良心のほうである先輩がメンタルがモゲて引きこもってしまうとは思いますけどね。

 

 

◾︎そのほか

・フェレスモン、組織的犯罪をやってることは怖いんですが、人を無理矢理襲って→「助けて!」と叫んだところで→石にして「これで助かりましたね~願いが叶いましたね~」とか言ってくるクソムーブ、せこいし、しょうもなくて小物っすね。しかも実際にそういう目に遭わせてるんじゃなくて幻覚だしね。大物っぽそうな見た目と言動なのにね。

 

・そう言えば先輩は今回も無理やり引き回されていたし、また例によって「こいつは笑いものにしていい(公式お墨付き)」みたいな扱いだったし、例によって人の心が無い主人公がうっすら暗に「お前、こんなのが怖いの?」と言ってるみたいなノリでしたね。

悲しいかな、スゲの通常運転すぎて麻痺してきてるわ……

 

・どうでも良いけど、占いと『占いに興味を持つミーハー女子(ここまでで一単語)』の描き方が雑ですよね。

女子です→だからミーハーです→だから占いに興味ぐらいあるでしょ~噂ぐらい知ってるでしょ、みたいなテンションで設定されてる気配がじんわりするところが雑です。

ルリが占い屋の前の人のセッションを盗み聞きするというシチュエーションに異議が入らなかったあたり、脚本家は占い屋をテレビに大衆向けに出すレベルの星占いとかラッキーカラーの延長ぐらいに思ってるんでしょうね。……これも今更なツッコミですね。「占い屋を盗み聞きするのはNGでしょ?」なんて細かいツッコミをいれてくれるスタッフがいるなら、そもそも普段の回からいっつも犯罪パラダイスであることをツッコんでほしいです。

 

・擬似デジタルワールド化をためらうルリも意味不明でしたが、進化経緯も地味に意味不明だった気がします。まあ、ゴーストゲームではいつものことです。

 

・せっかくアンゴラモンさんが進化したのに戦闘シーンがびっくりするほど動かなかった印象なんですけど、作画班が力尽きてたんすかね? 自分はあんま、アニメの『動き』を重視して見るほうではないんですが……